研究課題/領域番号 |
23K23510
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補助金の研究課題番号 |
22H02243 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
廣田 隆一 広島大学, 統合生命科学研究科(先), 教授 (90452614)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2025年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 8,840千円 (直接経費: 6,800千円、間接経費: 2,040千円)
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キーワード | リン / 亜リン酸 / 化学独立栄養細菌 / 酸化還元 / 嫌気培養 / 独立栄養細菌 / 還元型リン化合物 / マイクロコズム試験 / 物質循環 |
研究開始時の研究の概要 |
従来の生物学の一般的な認識では、リンの生物循環に酸化還元状態の変化は介在せず、酸化数+Ⅴのリン酸(HPO42-)およびそのエステル化合物のみで循環すると考えられてきた。ところが最近、多くの微生物にリンの酸化還元を行う能力が存在することが見出され、リンの循環に関しても酸化還元反応が関与することが示唆されている。本研究では、還元型リン化合物およびこれらを利用するバクテリアの環境分布を調べ、それらのリン循環におけるインパクトを考察する。リンの生物循環は環境における生物の増殖に大きく影響を及ぼすことから、水圏、土壌など多様な環境における炭素循環や生態系維持にも関わる重要な知見が得られると期待される。
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研究実績の概要 |
昨年度までの研究において、亜リン酸センサー菌(淡水性藍藻)の生育限界亜リン酸濃度の確認を実施し、約5.0μMの亜リン酸が存在すれば十分に検出できる事が確認できた。また、バイオアッセイによる環境亜リン酸の検出系を構築し、淡水条件では0.1μMの検出限界値を示す測定系を構築した。しかしながら、本バイオアッセイで使用するRalstonia sp.由来亜リン酸デヒドロゲナーゼ(PtxD)は塩類(マグネシウム、カルシウム、アンモニウム)に対して高い感受性を示したため、濃縮された環境水サンプルにおいては期待された性能を発揮できないことが明らかとなった。そこで、今年度は様々なバクテリアが持つPtxDをデータベースで探索し、そのうち4種類について組換えタンパク質を作製し、その活性を評価した。その結果、海洋性藍藻Cyanothece sp. 由来のPtxD(Ct-PtxD)は非常に高い塩耐性を示し、塩濃度が高いサンプルにおいても有効な亜リン酸測定系として利用できることが明らかとなった。また、環境中の独立栄養性亜リン酸酸化細菌(DPOM)のサンプリング範囲を拡大し、スクリーニングを実施した。主に広島沿岸部から大阪湾にかけての瀬戸内海、有明海、一部鹿児島県の沿岸部にてサンプリングを実施した。その結果、複数のサンプルからDPOM活性が検出され、DPOMの環境分布の一般性が示唆された。また、集積培養を行ったDPOMの培養液からDNAを抽出し、ショットガンメタゲノム解析を実施した。現在、得られたデータの解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
スクリーニングを行った70箇所以上のサンプルのうち、15サンプル以上からDPOM活性が検出され、予想以上にDPOMが多様な環境に分布していることが明らかになった。またこれらの解析から、DPOMのゲノムおよび代謝様式の多様性に関する知見が多く得られている。さらにこれらのショットガンメタゲノム解析により亜リン酸代謝系遺伝子クラスターの比較および系統解析が可能な情報も得られつつある。亜リン酸の検出においては、当初予定していたバイオアッセイへの予期せぬ課題が見つかったものの、新規亜リン酸デヒドロゲナーゼの単離によってこの課題を回避することができた。以上のことから、本研究は当初の計画以上に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、得られたメタゲノムデータの解析を行い、各地点から得られたDPOMのゲノム構造、予測代謝経路の比較およびその多様性解析を行う。また、ロールチューブ法によって集積培養系からDPOMの単離を試みる。これにより、DPOMのゲノムが単一化されれば、株単位でのゲノム解析および代謝経路の予測をおこない、メタゲノム情報との整合性を評価する。また、+III価のリン化合物であるホスホン酸の生合成経路との関係性も調査する。以上の結果を包括的に評価し、リンの生物循環への貢献を考察する。 また、亜リン酸センサー菌を活用したマイクロコズム試験も行う。既に予備的な実験を完了しており、マイクロコズム環境での生存期間の見積もり等が完了している。同条件で詳細な評価を行い、亜リン酸センサー菌の増殖により亜リン酸の有無を推測する。さらに、DPOM由来亜リン酸デヒドロゲナーゼの組換えタンパク質の精製を行い、亜リン酸からのエネルギー生成系の解析にも取り組む。
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