研究課題/領域番号 |
23K23517
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補助金の研究課題番号 |
22H02250 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38020:応用微生物学関連
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研究機関 | 新潟薬科大学 |
研究代表者 |
高久 洋暁 新潟薬科大学, 応用生命科学部, 教授 (70350717)
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研究分担者 |
油谷 幸代 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究部門付 (10361627)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
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キーワード | 油脂酵母 / Lipomyce starkeyi / ネットワーク構築 / 油脂蓄積変異株 / Lipomyces starkeyi / 油脂 / ネットワーク / ゲノム比較 / ネットワークモデル / 情報解析 |
研究開始時の研究の概要 |
油脂酵母Lipomyces starkeyiは、様々な糖を資化し、細胞内に油脂を蓄積するユニークで産業価値の高い酵母である。本研究は油脂酵母の特徴的な油脂生産を分子レベルで解析し、油脂生産制御メカニズムを解明することを目的とする。本研究では、我々が有するL. starkeyi油脂高/低蓄積変異株を題材に、ゲノム情報や遺伝子発現情報などのオミクスデータを活用し、油脂生産制御メカニズム解明を目指す。具体的には、①ゲノム比較による油脂生産関連遺伝子同定と機能解析、②網羅的遺伝子発現データ解析による油脂生産制御に関わる細胞内因子同定の2課題による油脂生産制御メカニズムの解明を試みる。
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研究実績の概要 |
1.ゲノム比較による油脂生産関連遺伝子同定と機能解析 野生株、油脂高蓄積変異株のゲノム比較解析を行い、油脂蓄積性の原因と考えられる複数の候補遺伝子の抽出後、変異型候補遺伝子導入株の作製、油脂蓄積性評価を行った結果、見いだされた遺伝子はSaccharomyces cerevisiae RIM15ホモログ遺伝子であり、すでにL. starkeyiで報告されている油脂蓄積性関連遺伝子であった。そこで野生株、油脂低蓄積変異株のゲノム比較解析、候補遺伝子抽出、変異型候補遺伝子導入株の作製、油脂蓄積性評価を行い、油脂蓄積性に関与する遺伝子を単離した。今後はこの遺伝子のアミノ酸配列情報から油脂代謝への関与を調査し、油脂生産性向上へ向けた改変を試みる。 2.網羅的遺伝子発現データ解析による油脂生産制御に関わる細胞内因子同定 油脂生産制御ネットワーク構築にあたり、野生株及び油脂高蓄積変異株の発現データ(112ポイント)から油脂量の増加と遺伝子発現量の相関係数が高い遺伝子を選択した。ネットワークは、トランスクリプトームデータから遺伝子発現制御ネットワーク解析が多く行われてきた Bayesian Network を基盤とし構築した。さらに SEM (Structural Equation Modeling (構造方程式モデリング)) によるモデルの最適化を組み合わせ、より高精度なネットワークを構築し、7種類の油脂生産性向上に繋がる遺伝子改変の提案を行った。提案された遺伝子の油脂生産性への関与の評価を行うため、提案遺伝子の高発現及び欠失株を作製したので、油脂生産性の評価に取り組んでいる。さらに野生株、油脂高蓄積変異株、油脂低蓄積変異株の発現データ(232ポイント)から油脂量の増加と遺伝子発現量の相関係数が高い遺伝子を選択し、上記と同様に高精度なネットワークの構築に取り組んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「ゲノム比較による油脂生産関連遺伝子同定と機能解析」の項目においては、野生株と油脂低蓄積変異株のゲノム比較解析から、油脂の蓄積性に関連する複数の遺伝子が同定できた。今後は新規の油脂低蓄積に関する遺伝子の解析に焦点をあてる。 「網羅的遺伝子発現データ解析による油脂生産制御に関わる細胞内因子同定」の項目においては、野生株及び油脂高蓄積変異株の発現データ(112ポイント)及び表現型データから相関性が高い遺伝子を抽出後、高精度遺伝子発現制御ネットワークを構築した。そのネットワークから7種類の遺伝子を提案し、油脂生産性への関与の調査が行われている。さらに野生株、油脂高蓄積変異株、油脂低蓄積変異株の発現データ(232ポイント)を活用した高精度の遺伝子発現ネットワークの構築も試みている。 以上からおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
1.ゲノム比較による油脂生産関連遺伝子同定と機能解析 前年度において油脂蓄積変異株の原因遺伝子として同定された油脂生産関連遺伝子は、油脂高蓄積性に関与するものはすでに報告済みのものであったが、油脂低蓄積性に関与する遺伝子は新規であった。この遺伝子のアミノ酸配列情報から油脂代謝への関与を調査し、その情報を活用して油脂生産性向上へ向けた改変を試みる。 2.網羅的遺伝子発現データ解析による油脂生産制御に関わる細胞内因子同定 野生株、油脂高蓄積変異株の発現及び表現型データ(112ポイント)を活用し、遺伝子発現制御ネットワークを構築後、提案遺伝子の高発現又は欠失株を作製したので、油脂生産性を評価する。さらに野生株、油脂高蓄積変異株、油脂低蓄積変異株の発現及び表現型データ(232ポイント)を活用した油脂生産制御ネットワークから提案される遺伝子についても油脂生産性との関与を評価し、関連性のあるものは機能の解析を進める。
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