研究課題/領域番号 |
23K23524
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補助金の研究課題番号 |
22H02257 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38030:応用生物化学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
神戸 大朋 京都大学, 生命科学研究科, 准教授 (90303875)
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研究分担者 |
加藤 紀彦 京都大学, 生命科学研究科, 准教授 (40724612)
木下 政人 京都大学, 農学研究科, 准教授 (60263125)
田中 佑樹 千葉大学, 大学院薬学研究院, 助教 (50824041)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2024年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | メラニン色素 / チロシナーゼファミリー / 亜鉛 / 銅 / トランスポーター / チロシナーゼ酵素群 / 亜鉛輸送体 |
研究開始時の研究の概要 |
メラニン色素の合成には、チロシンナーゼ(TYR)、チロシナーゼ関連タンパク質1と2(TYRP1、TYRP2)の3つの酵素が重要な役割を果たす。TYRは銅が配位する銅酵素であり、この銅を供給する銅輸送体ATP7Aが同定されているため、TYR と相同性の高いTYRP1とTYRP2も銅酵素であると長年信じて疑われてこなかった。しかしながら、研究代表者は、最近、TYRP1が銅ではなく亜鉛によって制御されることを見出し、さらに、TYRP1に亜鉛を供給する亜鉛輸送体を発見した。本研究では、同定した亜鉛輸送体が実際にTYRP1の制御を介してメラニン生合成に関わることを証明し、メラニン生合成において謎の多いTYRP1の機能発現のメカニズムを解明する。
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研究実績の概要 |
メラニン色素の生合成には、チロシンナーゼ(TYR)、チロシナーゼ関連タンパク質1と2(TYRP1、TYRP2)の3つの酵素が重要な役割を果たす。これらの中で、TYRは銅が配位する銅酵素であり、この銅を供給する銅輸送体ATP7Aが同定されている。そのため、TYR と相同性の高いTYRP1とTYRP2も、銅酵素であると長年信じて疑われてこなかったが、最近我々は、TYRP1がこれまでの予想に反して、銅ではなく亜鉛によって制御されることを見出し、この亜鉛が亜鉛トランスポーターZNT5-6とZNT7によってTYRP1に供給されることを発見した。TYRP1の機能発現のメカニズムは長年の謎であるため、TYRP1とTYRの変異体を駆使して、両分子の金属獲得機構に関する解析を実施した。TYRとTYRP1の間で比較的相同性の低い領域や糖鎖修飾部位を含む領域を交換したドメイン交換キメラ変異体を作成し、ZNT5ZNT7二重欠損株(ZNT5-6とZNT7の機能喪失株)およびATP7A欠損株に導入して、TYRP1とTYRの活性・発現を完全に入れ換えるキメラ変異体を探索した。その結果、TYRP1とTYRの特性を制御する領域に関する知見を得ることができたが、最小領域の同定にはいたらなかった。また、TYRのN末端Cys-rich領域とC末端の領域に、銅の配位に重要と予想される領域を特定した。現在、ヒトのTYRとTYRP1の中間のアミノ酸配列相同性を有するゼブラフィシュのTYRを使用して、TYRの最小領域の同定を進めている。本解析と並行して、TYRP2の活性・発現を変化させる株を特定する解析を実施しているが、現在まで顕著な知見を得るのは至っていない。本研究からは、美容や医薬をはじめとする幅広い分野に新しい展開をもたらす成果が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TYRのN末端Cys-rich領域とC末端の領域に、銅の配位に重要と予想される領域を特定したが、特にC末端領域は、これまでその重要性が全く予想されていなかった領域であり、TYRの活性化に関わる新規知見として重要である。このようなTYRの金属要求性の制御機構に関する新たな発見に加え、その他の研究も予定通りの進捗を示しているため。
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今後の研究の推進方策 |
・前年度にひき続き、TYRとTYRP1の間でいくつかの領域を交換したキメラ変異体を作成し、これらの変異体をZNT5-6とZNT7の機能欠損株およびATP7A欠損株に導入して、TYRP1とTYRの活性・発現を完全に入れ換える変異体を同定し、TYRP1とTYRの特性を制御する最小領域の特定を目指す。この領域に結合して相互作用する分子を免疫沈降にて精製し、質量分析装置(LC-MS/MS)を用いて同定する。同定した分子の機能解析を実施し(欠損株を樹立し、細胞機能解析や亜鉛応答性に関する解析他を計画)、ZNT5とZNT7がどのようにTYRP1とTYRを区別して亜鉛を供給するのか、あるいは、なぜTYRには銅で、TYRP1には亜鉛が結合するのかなど、未知の制御機構に関する知見を収集する。 ・ヒトメラノーマSK-MEL-2細胞やマウスメラノーマB16細胞の野生株およびZNT5ZNT7二重欠損株から代謝産物を抽出してメタボローム解析を実施する。二重欠損株で影響を受ける代謝経路を精査し、メラニン生合成経路との関連について明らかにする。さらに、TYRの活性発現に不可欠となる銅輸送体ATP7A欠損株のメタボローム解析の結果と比較することで、ZNT5とZNT7がメラニン生合成にどのように関わるのか、その分子機序を明示する。 ・亜鉛輸送体欠損株ライブラリーにTYRP2を発現させ、TYRP2の活性・発現を変化させる株を特定する解析を並行して実施し、TYRP2に配位する金属に関する情報の収集に努める。
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