研究課題/領域番号 |
23K23529
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補助金の研究課題番号 |
22H02262 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38030:応用生物化学関連
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
榊原 陽一 宮崎大学, 農学部, 教授 (90295197)
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研究分担者 |
上地 珠代 宮崎大学, 医学部, 准教授 (10381104)
黒木 勝久 宮崎大学, 農学部, 准教授 (20647036)
橋口 拓勇 宮崎大学, 地域資源創成学部, 特別助教 (80826305)
寺本 岳大 九州大学, 農学研究院, 助教 (80868993)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | チロシン硫酸化 / 翻訳後修飾 / 硫酸転移酵素 / プロテオミクス |
研究開始時の研究の概要 |
翻訳後修飾としてのチロシン硫酸化は、分泌シグナル、タンパク質間相互作用、ウイルス宿主間相互作用の制御に関与する。チロシン硫酸化を担うTyrosylprotein Sulfotransferase (TPST) は、その細胞内局在性、組織特異性など発現の詳細に関する研究はほとんど行われていない。さらに基質となるタンパク質に関しても、いつ、どこで、何が、何のためにチロシン硫酸化されているかの情報はほとんど無い。そこで、チロシン硫酸化の空間および時間的制御機構を酵素と基質両面から理解する。さらに、チロシン硫酸化を標的としたプロテオーム解析技術やTPST特異的阻害剤開発にも取り組む。
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研究実績の概要 |
翻訳後修飾としてのチロシン 硫酸化は、タンパク質の分泌のためのシグナル、タンパク質間相互作用、さらにウイルス宿主間相互作用の制御に関与する。本研究 では、チ ロ シン硫酸化を担う酵素Tyrosylprotein Sulfotransferase (TPST)に関し、細胞レベルおよび個体レベルでのTPST発現時期、発現部位や局在性を 明ら かにし、いつ、どこで、どの基質タンパク質が何のために硫酸化を受けるのかを解明する。 硫酸化を受ける標的タンパク質から考え れば、いつ、どこで、何 が、何のためにチロシン硫酸化を受けるのか。本研究 計画は、これらのチロシン硫酸化に関する学術的な「問い」を解明することを目的とする。 ACE2タンパク質のチロシン硫酸化の検討を行った。リコンビナントACE2、TPST酵素、[35S]PAPSを用いてチロシン硫酸化反応を行った。35Sオートラジオグラフの結果より、ACE2のバンド位置にて放射活性が見られたことから、ACE2がチロシン硫酸化されたことを確認した。質量分析計での分析のために、ACE2-1,2を用いて硫酸化反応を行い、脱塩・濃縮処理を検討した。その結果、オクタデシル基を結合したC18カラム、フェニル基を化学修飾したPhカラムによる前処理で質量分析計にて硫酸体を検出することができた。 さらに、大腸菌ライセートを用いたin vitro合成では、硫酸供与体PAPSの代わりにPAPS合成酵素とTPSTによる連続的な酵素反応でGST融合ペプチドが十分に硫酸化されるが明らかになった。反応条件を最適化後、HPLC解析により硫酸化ペプチド合成の硫酸化反応率を算出した結果26%だった。また、硫酸化ペプチドの精製の検討を行った結果、PSGL-1ペプチド硫酸体はC18、Phospholipid(酸化ジルコニウム/酸化チタン)、Ph(フェニル基)カラムのいずれでも精製でき、特にPhospholipidカラムで精製できていた。一方、C4ペプチド硫酸体に関してはPhospholipidカラムで精製できず、C18カラムが適していることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1:質量分析によるチロシン硫酸化部位の定量解析法開発( 解析ツール開発)に関連した成果として、ACE2をモデルとしてペプチドを調製し、硫酸化ペプチドの前処理方法が確立できた。 2:ACE2のペプチドに加えて全長タンパク質を用いた結果、酵素的に硫酸化されることが確認できた。 これらの成果から、2年目の進捗状況としては順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
1.質量分析によるチロシン硫酸化部位の定量解析法開発( 解析ツール開発!):MRM定量解析法の開発に必須となる、従来から行われていたRIを用いたチロシン硫酸化解析技術に代わる技術として、チロシン硫酸化部位特異的なMRM定量解析法の開発は不可欠である。 2.TPST阻害剤探索と阻害剤複合体の構造解析( 解析ツール開発!):各TPSTアイソタイプ特異的な阻害剤を探索する。さらに、構造活 性相関解析により、TPST阻害効果を有する化合物の構造情報を決定し、候補化合物のTPST阻害効果を評価する。加えて、日本医療開発機構(AMED)の創薬等先端技術支援基盤プラットフォーム(BINDS)の化合物ライブラリーを活用し、効率的にTPST阻害剤探索を進める。 各TPSTアイソフォームに特異的な阻害剤が開発 できれば、細胞レベルや個体レベルでのTPSTの機能解析のための有用なツールとなり得る。 3.TPSTの細胞レベルでの空間および時間的発現解析(いつ、どこで硫酸化される?):TPSTがどの細胞内小器官で発現しているのか、GFP標識TPSTまたはTPST特異的抗 体(合成抗原ペプチドにより各TPSTアイソタイプ特異的抗体を調製予定)を用いてTGN38などの細胞内局在性マーカーとの比較から詳細に解析する。 4.TPSTの個体レベルでの空間および時間的発現解析(いつ、どこで硫酸化される?):ゼブラフィッシュをモデル実験動物として、各TPSTアイソタイプのホールマウントin situハイブリダイゼーションや特異的抗体を用いて組織切片上での発現解析を行う。
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