研究課題/領域番号 |
23K23538
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補助金の研究課題番号 |
22H02271 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38040:生物有機化学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
滝川 浩郷 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (40271332)
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研究分担者 |
岡村 仁則 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (80845785)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2025年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
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キーワード | ストリゴラクトン / 生合成経路 / 電子環状反応 / 天然物合成 |
研究開始時の研究の概要 |
ストリゴラクトン(SL)は根圏情報物質および植物の枝分かれを制御するホルモンとして認知されている。その生合成経路の解明も急速に進展しているが、典型的SLのBC環形成過程は未解明であった。 代表者は、電子環状反応を基盤とした独自のBC環形成仮説を案出し、その仮説に基づいたBC環形成反応をフラスコ内で実現することに成功した。この成果は典型的SL生合成の全貌解明に資するものであるが、代表者は電子環状反応がSL生合成に頻出する鍵反応である可能性に気付いた。 本研究では、電子環状反応を新機軸とし、有機合成化学の力を駆使してSL生合成をより深く理解することを目指している。
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研究実績の概要 |
ストリゴラクトン(SL)は根寄生雑草の種子発芽刺激物質として単離された化合物群である。典型的SLのBC環形成過程は極めて最近まで議論されていなかったが、研究代表者は電子環状反応を基盤とする完全に独自のBC環形成仮説を提唱し、その仮説に基づいたBC環形成反応をフラスコ内で実現することに成功した。また、それらの研究を通じて、電子環状反応がSL生合成に頻出する鍵反応である可能性に気付いた。本研究では、典型的SLのみならず非典型的SLも研究対象に据え、電子環状反応を新機軸としたSLの合成化学的研究を展開している。 成果1:既に、独自のBC環形成仮説に着想を得た連続環化反応を基盤としたオロバンコールの新規効率的合成法を確立しているが、この方法論に酵素を用いた速度論的光学分割を組み合わせて、オロバンコールおよびその類縁化合物の光学活性体合成を達成した。なお、不斉な酸を用いた連続環化も検討中である。 成果2:ロータスラクトンの合成研究を展開し、シクロペンテノン環部分の立体選択的構築法確立に引き続き、側鎖部分の修飾法を確立した。ロータスラクトンのA環部簡略化モデル化合物の合成完了まであと一歩に迫った。 成果3:昨年に達成したゼアピラノラクトンのラセミ・ジアステレオマー混合物合成を基盤とし、合成中間体の光学分割によるゼアピラノラクトンの光学活性体合成に取り組んでいる。その効率に問題が残されてはいるものの、ラクトール中間体のジアステレオマー法による光学分割が可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述のように、期待された成果が順調に出ている。成果1:オロバンコールおよびその類縁化学物群の光学活性体合成は世界初である。成果2:ロータスラクトンの合成は、最後のホルミル化とD環導入を残すのみである。成果3:ゼアピラノラクトンのラセミ体合成は論文公表に至った。光学活性体合成に向けて順調な成果を得ていると認識している。 さらに、オロバンコールのさらなる改良合成や、7-オキソオロバンコールの合成なども進行中である。
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今後の研究の推進方策 |
典型的SLのBC環形成反応の理解は概ね完了し、既にその反応を応用する段階へと進んでいる。成果1に示したように、光学活性体合成への展開も可能であることが証明された。現在、7-オキソオロバンコールおよびフェリパンコールの合成に取り組んでおり、近い将来、その完遂が期待される。また、この方法論の更なる効率化およびその応用展開を検討したい。 ロータスラクトンのA環部構造簡略化モデル化合物の合成は完遂直前まで到達しているので、早期にそれを実現したい。 ゼアピラノラクトンの光学活性体合成研究も継続する。なお、ゼアラクトン/ゼアピラノラクトンの生合成経路解明を志向した研究において、新たな独自の生合成仮説を提案できる可能性がある。現在、その論理的な妥当性を精査しており、今後、実験的な検証を行う可能性がある。
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