研究課題/領域番号 |
23K23543
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補助金の研究課題番号 |
22H02276 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分38040:生物有機化学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
瀬戸 義哉 明治大学, 農学部, 専任准教授 (40620282)
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研究分担者 |
米山 香織 埼玉大学, 研究機構, 准教授 (20769997)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 9,360千円 (直接経費: 7,200千円、間接経費: 2,160千円)
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キーワード | 根寄生植物 / トリプトファン / オーキシン / N-アセチルトリプトファン / 幼根伸長 / ストリゴラクトン / 根寄生雑草 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、アフリカ等の地域で農業被害を及ぼしている根寄生植物を材料に、その発芽過程においてトリプトファン関連分子が示す作用を分子レベルで解明することを目的としている。得られる成果を通じて、根寄生植物の成長を効果的に制御できる化学ツールが獲得できる可能性もある。また、作用メカニズムを明らかにすることにより、より効果的な化学ツールを創出するための基盤が構築されることも期待される。
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研究実績の概要 |
本研究では、トリプトファン(Trp)関連分子が根寄生植物の発芽を制御するメカニズムを解明し、より強力な作用を有する分子の創出を目指して研究を行っている。特に、Trpそのものは、発芽阻害ならびに発芽後の幼根伸長阻害作用を示すが、Trpから生合成される植物ホルモンの一種であるオーキシンも同様の作用を示した。このことから、Trpがオーキシンに変換されてから作用する可能性が考えられた。そこで、重水素標識Trpを投与し、オーキシンの一種であるインドール-3-酢酸に変換されるか否かを調べた。その結果、重水素標識IAAと思われるピークを検出した。また、高等植物では、Trpからオーキシンへの変換に、TAAとYUCCAと呼ばれる二つの酵素が関与している。かつ、これらの酵素に作用する阻害剤に関する報告がなされている。そこで、これらの阻害剤が及ぼす効果を調べたところ、予想に反して、Trpによる幼根伸長阻害作用を弱めることはなかった。ヤセウツボの該当酵素に対しては何かしらの理由で作用しなかった可能性も考えられるため、今後さらなる検討が必要である。さらに、オーキシン機能制御剤として、オーキシンの輸送を阻害することで植物生長制御活性を示すcis型のケイヒ酸も同様の活性を示すことを明らかにした。種々類縁体も合成して、活性評価を行ったところ、活性はcis型の異性体に特異的にみられることを明らかにした。 Trp類縁体の中で、N-アセチルトリプトファン(NacTrp)に関しては、発芽促進作用が認めらえたことから、類縁体を種々化学合成したが、これらの実験を行っている過程で、そもそもNacTrpが示す活性について再現性が得られないという問題が生じた。種子のロットが変わったことが一つの可能性として考えられるが、現在、合成の際に生じる副産物が活性本体である可能性を考慮し、検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
NacTrpの発芽促進活性について、課題申請当初見られていたような活性の再現性が見られないという問題が生じている。現在、幾つかの可能性を検討している段階である。Trp関連分子による発芽阻害作用に関しては、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
Trp類縁体が示す発芽阻害、幼根伸長阻害作用に関しては、オーキシンとしての作用である可能性が強く示唆されている。今後、さらにこれまでに報告されているオーキシン機能制御剤を用い本可能性について詳細な検討を行う。NacTrpに関しては、合成の際に生じる副産物が活性本体である可能性を追究する。
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