研究課題/領域番号 |
23K23575
|
補助金の研究課題番号 |
22H02309 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39010:遺伝育種科学関連
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
永井 啓祐 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 助教 (30648473)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
|
キーワード | 耐水性 / イネ / 茎 / 通気組織 / 節 / 髄腔 / 環境適応 / 洪水耐性 / イネ科作物 / 低酸素応答 / 茎構造 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、イネの茎における通気組織の形成に関わる分子メカニズムを解明することを目的とする。イネの茎は節間と節によって構成され、節間の中央部には髄腔が形成されるとともに、節における細胞の間隙が拡張することで、通気組織としての重要な役割を果たしている。しかし、これらの構造がどのように形成されるのかなど、その分子機構は未解明である。そこで、本研究では遺伝子発現解析による逆遺伝学的アプローチおよび、変異体集団を用いた順遺伝学的解析を組み合わせることで、髄腔の形成や節の細胞間隙の拡大に関わる分子機構を明らかにするとともに、耐水性におけるイネの茎の生理的機能を明らかにすることを目指す。
|
研究実績の概要 |
近年の地球環境の変動に伴い、東南アジアの季節性洪水地域に加え、世界各地や日本においても洪水による甚大な農業的損失が頻繁に発生している。将来にわたって食料を安定的に供給し、食糧安全保障に作物の遺伝育種学の分野から貢献するためには、洪水耐性作物の創出は喫緊かつ重要な課題のひとつであると考える。そこで本研究では洪水耐性作物の創出に向けた分子基盤の構築のために、イネの茎が、どのようにして水田環境でも効率的に気体を透過し、水田環境における生存を可能にしているのかを明らかにすることを目的とし、2023年度は以下の研究を行なった。 1.イネの茎は節間と節で構成されるが、節は細胞間隙が拡大することで気体透過を可能にしている離生通気組織である。この通気組織が節内部でどれほどの体積であり、また複雑に発達した節の維管束間においてどのように配置しているかは不明である。そのためX線マイクロCTスキャンにより節の離生通気組織を形態学的に解析し、3次元再構築することで離生通気組織の非侵襲的な可視化を行なった。 2.イネの節に離生通気組織が形成される際に、細胞接着面と細胞乖離面における細胞壁成分がどのように分布しているかについては不明である。そこで各種細胞壁成分の特異的抗体を用いた免疫染色を行い、離生通気組織発達における細胞壁成分の分布の可視化を行なった。 3.節に離生通気組織が形成される際に細胞に突起状構造が形成され、この構造が隣接する細胞の同構造と結合することで細胞間隙が拡大する。植物細胞の形態変化には表層微小管が関与していることが報告されていることから、突起状構造の形成過程において表層微小管およびアクチン繊維がどのように配向するかを組織化学的に可視化することを試みた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の研究実施項目として3つの研究課題を掲げ、それぞれにおいて進捗があったため。 研究概要の項目1に関してはX線マイクロCT解析により、節の通気組織とその他の組織を区別した画像の撮影および3次元再構築が可能となった。項目2に関して、各細胞壁成分に特異的な抗体による免疫染色がイネの節においても実施できることが確認でき、さらに細胞壁成分ごとに分布が異なることを明らかにしつつある。項目3に関しては微小菅構成因子のTubulinにGFPを融合した形質転換体を作出した。
|
今後の研究の推進方策 |
今後に関しては各研究項目において以下のように推進していく予定である。 項目1に関して、節の離生通気組織のX線マイクロCTによる撮影が可能であることが明らかとなったため、節の通気組織の体積や細胞形態が冠水の有無で変化するかなどの環境応答性に関して詳細に解析していく。項目2については節の離生通気組織形成過程における各細胞壁成分がどのように変化するかといった経時的変化を観察していく。項目3に関して、節の離生通気組織形成過程における微小管の配向変化をTubulin-GFPを過剰発現する形質転換体を用いて可視化する。またアクチン繊維については免疫染色法によって可視化を試みる。
|