研究課題/領域番号 |
23K23576
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補助金の研究課題番号 |
22H02310 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39010:遺伝育種科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
土井 一行 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (80315134)
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研究分担者 |
犬飼 義明 名古屋大学, 農学国際教育研究センター, 教授 (20377790)
西内 俊策 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (30726980)
杉浦 大輔 名古屋大学, 生命農学研究科, 講師 (50713913)
槇原 大悟 名古屋大学, 農学国際教育研究センター, 准教授 (70452183)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2025年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
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キーワード | イネ / 登熟 / 遺伝解析 / 収量 / 登熟能 / 非構造性炭水化物 |
研究開始時の研究の概要 |
これまでに、ジャポニカ品種T65と比較してインディカ(aus)品種であるDV85は出穂時に茎葉部NSC含量が高く、出穂後にNSCおよび茎葉部乾物重が急速に減少し、穂重は急速に増加するという登熟様式を示すことを明らかにし、関与するQTLとしてqNSC1、qNSC2、qSWTR11を見出した。また、T65と高収量品種の北陸193号(H193)の交雑後代によるQTL解析では、H193の高いバイオマス生産性に関与するQTLとしてqPW1を、二次枝梗の種子稔性に関与するQTLとしてqPF_SB10を見出した。これらのQTLを多面的に評価して登熟能・実際の収量との関連を解析する。
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研究実績の概要 |
ジャポニカ品種T65とインディカ品種DV85では、登熟時の茎葉重の変化や茎葉部に蓄積される非構造正炭水化物(NSC)の動態が大きく異なる。これまでに、これらの形質に関与する量的形質遺伝子座(QTL)を両系統の交雑に由来する組換え自殖系統で検出した(Phung et al. 2019)。本研究はこれらのQTLをT65の均一な遺伝的背景をもつ染色体部分置換系統(TD-CSSL)で評価し、QTLの原因遺伝子単離を目指している。 2021年、2022年のTD-CSSLの形質評価の結果をまとめた結果、シンク容量は収量の最も大きな決定要因であり遺伝率が高いこと、充てん率は遺伝率が低く年度間の相関が低いこと、そしてT65の背景をもつTD-CSSLsでは出穂後のバイオマス生産が収量と高い相関を示すことが明らかとなった。 TD-CSSLのNSCに関しては、qNSC2(Phung et al. 2019)をもつ系統では登熟期間中の茎葉部のNSC減少量が大きいことを確認した。また、qSWTR11は登熟期慣中の茎葉部バイオマスの減少に関与するQTLとして検出されたが、このQTLのDV85アリルが導入されたTD-CSSL(1741)では茎葉部バイオマス減少はT65と差がない一方で、出穂時の茎葉部NSC含量が高く、収穫期の茎葉部NSC量が低くなっていることを2年間にわたって確認した。また1741では青未熟粒が多発しており、原因QTLが染色体8にあることを明らかにした。 材料の育成では、TD-CSSLからQTLのピラミディング系統の作出を継続し、2系統のTD-CSSLsのF1にさらに3系統目を交配した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
【形質評価】TD-CSSLs系統についてほぼ完了し、2023年度は特徴的な形質を示したTD-CSSLsとT65の交雑に由来するF2によるQTLの連鎖解析を試みた。酷暑およびカメムシ被害により収量の評価はできなかった。qNSC2をターゲットとする集団では染色体2のDNAマーカーと出穂時の茎葉部NSC量に有意な連鎖を確認できなかった。qSWTR11をターゲットとする集団ではNSC量に関するマッピングを試みたが、こちらも連鎖するDNAマーカーを見つけられなかった。qSWTR11をターゲットとする集団を用いて青未熟粒に関するQTLを染色体8に検出した。 【新規系統の作出と評価】DV85由来のqSWTR11、qNSC1、qNSC2をターゲットとしている。2022年に交配して得たTD-CSSLどうしの交雑のF1にさらに3系統目を交配した。有用アレル導入系統の作出では、申請者らが育成したNERICA背景の超穂重型系統(Reyes et al. 2021)にDV85やH193由来のアレルを導入した材料にNERICA1による戻し交雑を継続した。 【登熟関連形質の評価】TD-CSSLについては穂重(収量)・充てん率・茎葉重、登熟期間中の茎葉重・穂重の変化・NSC動態・一次枝梗・二次枝梗ごとの種子稔性などの形質評価を完了し、出版した。T65と北陸193号の交雑に由来するRHLに対して継続する。NSC定量では粉砕法を改善しスピードアップを達成した。 【マップベースクローニング】高精度連鎖解析:既知QTLの高精度連鎖解析は開始できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた知見から、充てん率に関する遺伝解析は困難であることが示された。また、T65の背景をもつTD-CSSLsでは出穂後のバイオマス生産が収量と高い相関を示すことが明らかとなったため、出穂後のバイオマス生産について遺伝解析を開始する。そこで、以下について研究を進める。 1.TD-CSSL1741の青未熟粒形質および茎葉部NSC量の高精度連鎖解析:染色体8に青未熟粒を引き起こすQTLが存在することが明らかとなった。TD-CSSLsは出穂時の茎葉部NSC量がTD-CSSLsの中で最も高く、登熟に有利であるはずだが収量は高くなっていなかった。その一因と考えられる青未熟粒の原因遺伝子の高精度連鎖解析をおこなう。また、同じ集団を用いてNSCに関与するQTLを探索する。qNSC2に関しては存在はほぼ確実であると考えられるものの連鎖解析が困難であるため小規模の分離集団による解析を継続する。H193由来の集団についても小規模な解析を継続する。 2.登熟期間中のバイオマス生産に着目した遺伝解析:登熟期間中にT65よりも高いバイオマス生産を示したTD-CSSLsを選抜した。これらのTD-CSSLsについて収量や充てん率の他に時間を追って穂重・茎葉重・SPAD値・茎葉部NSC量などを計測し、多収に貢献し、遺伝解析しやすい形質を絞り込む。また、これらのTD-CSSLsに由来するF2集団で原因QTLを探索する。また、UAVによるNDVI測定やセンサーによる葉面積測定を時系列で行うことができる方法を導入し、そのフィージビリティを評価する。
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