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フィールド・マルチオミックス解析によるムギ類出穂期不安定性の遺伝学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K23580
補助金の研究課題番号 22H02314 (2022-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2022-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分39010:遺伝育種科学関連
研究機関岡山大学

研究代表者

加藤 鎌司  岡山大学, 環境生命自然科学研究科, 特命教授 (40161096)

研究分担者 西田 英隆  岡山大学, グローバル人材育成院, 教授 (30379820)
松山 宏美  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中日本農業研究センター, 主任研究員 (50508140)
岡村 夏海 (牧 夏海)  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中日本農業研究センター, 主任研究員 (50738573)
高橋 飛鳥  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究部門, 主任研究員 (60502929)
小島 久代  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究部門, 主任研究員 (70547728)
島崎 由美  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中日本農業研究センター, 上級研究員 (80414770)
塔野岡 卓司  国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 作物研究部門, 主席研究員 (00414649)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
キーワードコムギ / オオムギ / 出穂期不安定性 / フィールド・マルチオミックス解析 / 育種学 / ムギ類
研究開始時の研究の概要

近年、気象の極端現象が頻発し、作物生産への影響が現実の問題となっている。これまでに早生化が進められてきたわが国のムギ類品種は、暖冬年に幼穂形成と出穂が著しく早期化するため、寒の戻りによる凍霜害発生リスクがきわめて高く、新たな形質として出穂期不安定性に着目した育種が不可欠である。そこで本研究は、出穂期不安定性系統として申請者らが注目しているコムギ・オオムギ品種について、フェノロジー(幼穂形成、出穂期)解析、出穂期関連遺伝子の特定、及び既知・新規出穂期関連遺伝子のマルチオミックス(トランスクリプトーム、エピゲノム)解析を行い、出穂期制御の環境応答及び出穂期不安定性の遺伝機構を解明する。

研究実績の概要

先行研究において、コムギ系統「超極早生」の出穂期不安定性に関わる早生遺伝子PCL1(概日時計遺伝子)がデュラムコムギの超極早生化に利用可能なことを明らかにした。ただし、「超極早生」由来のPCL1を保有するにもかかわらず超極早生を示さない系統が存在したことから、PCL1と相互作用して超極早生化を可能にする新規早生遺伝子exh-2がデュラムコムギにも存在することが明らかになった。exh-2が分離すると考えられたデュラムコムギF2集団を供試し、DArT-seq、MIG-seq、dpMIG-seqなどの手法によりSNPsを検出し、出穂期変異と密接に関係するものを特定した。その結果、exh-2の候補領域として3B染色体短腕、5B染色体長椀、6B染色体短腕が検出され、これら3つのQTLが晩生型ホモの個体は早生化しないことが明らかになった。当該領域に出穂期QTLが座乗するという報告例がないことから,これらは新規出穂期QTLsであると考えられた。
オオムギの出穂期関連遺伝子が生長相転換および生殖成長に及ぼす影響はあまり明らかになっていないため、二条品種「ユメサキボシ」と六条品種「早木曽2号」の遺伝的背景を有する準同質遺伝子系統(各4系統)を国内3地点で圃場栽培し、幼穂形成ステージ、幼穂長、及び主茎長を調査した。その結果、昨年度と同様に、春播性遺伝子Vrn-H1と光受容体遺伝子HvPhyCは全ての形質において相互作用が見られた。一部の系統ではこれら3形質の進展と出穂の早晩が対応せず、その原因として節間伸長の開始時期や速度が考えられた。したがって、幼穂形成の進展と出穂期を別々に制御して出穂期安定化を図る可能性が示唆された。国内3地点における遺伝子の効果は類似していたが、岡山、つくばと比べて上越ではVrn-H1の効果が大きかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

先述の通り、デュラムコムギにおいて新規早生遺伝子exh-2の候補領域3か所を検出することに成功しており、今後行う実験の準備・実施状況も順調である。
オオムギについては、国内3地点における調査・サンプリングが無事完了し、出穂期関連遺伝子が生長相転換や生殖成長に及ぼす作用を明らかにすることができた。

今後の研究の推進方策

デュラムコムギにおいて新規早生遺伝子exh-2の候補領域3か所(3B、5B、及び6B染色体)を見出すことができたので、新たに3B染色体、5B染色体、もしくは6B染色体の候補領域のみが分離する大規模な分離集団を育成し、候補領域の絞り込みと原因遺伝子の特定を進める予定である。さらに、exh-2とPCL1の相互作用及び出穂期不安定化機構を解明する予定である.
オオムギについてはVrn-H1とHvPhyCの相互作用や、出穂期関連遺伝子によって幼穂形成と出穂期に及ぼす作用が異なることが明らかになったので、そのメカニズムについてRNA-seqによる網羅的な遺伝子発現解析により解明を試みる。また今後、エピジェネティクス解析や、播種期移動試験及び加温試験による詳細な表現型解析も予定している。

報告書

(2件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (7件)

  • [学会発表] デュラムコムギにおける出穂期関連遺伝子の相互作用の解析2023

    • 著者名/発表者名
      藤岡明雅・門田有希・西村和紗・西田英隆・加藤鎌司
    • 学会等名
      第15回中国地域育種談話会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] オオムギ品種「ユメサキボシ」におけるRNA-seqによる生育ステージ特異的遺伝子発現の解析2023

    • 著者名/発表者名
      中田 知里・中谷 勇・大熊 眞歩・西村 和紗 ・門田 有希・加藤 鎌司・西田英隆
    • 学会等名
      第15回中国地域育種談話会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] オオムギ出穂期関連遺伝子が幼穂形成及び節間伸長に及ぼす影響の解析2023

    • 著者名/発表者名
      中谷 勇・中田 知里・西村 和紗・門田 有希・加藤 鎌司・西田英隆
    • 学会等名
      第15回中国地域育種談話会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] ムギ類における出穂期不安定性の遺伝研究と育種2022

    • 著者名/発表者名
      加藤鎌司
    • 学会等名
      日本育種学会第142回講演会 ワークショップ
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] デュラムコムギにおいてPCL1と相互作用する新規早生QTLsの解析2022

    • 著者名/発表者名
      藤岡明雅・門田有希・西田英隆・加藤鎌司
    • 学会等名
      日本育種学会第142回講演会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] デュラムコムギにおいてPCL1 と相互作用する新規早生QTLsの解析2022

    • 著者名/発表者名
      藤岡明雅・門田有希・西田英隆・加藤鎌司
    • 学会等名
      第14回中国地域育種談話会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] オオムギの出穂期関連遺伝子が生長相転換および生殖生長に及ぼす影響の解析2022

    • 著者名/発表者名
      中田知里・門田有希・加藤鎌司・西田英隆
    • 学会等名
      第14回中国地域育種談話会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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