研究課題/領域番号 |
23K23588
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補助金の研究課題番号 |
22H02323 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39020:作物生産科学関連
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研究機関 | 高知工科大学 (2024) 名古屋大学 (2022-2023) |
研究代表者 |
大井 崇生 高知工科大学, 理工学群, 准教授 (60752219)
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研究分担者 |
小林 英和 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 西日本農業研究センター, 上級研究員 (60360450)
高橋 宏和 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (50755212)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
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キーワード | イネ / 蒸散 / 高温障害 / 塩腺 / 3D解析 |
研究開始時の研究の概要 |
イネ表皮に存在する小型の毛状突起(小毛)からの排水という現象に着目し、その機能形態と制御機構を解明する。活発に排水を行う籾表面の小毛と、不活性な葉表面の小毛について連続切片-電子顕微鏡法によって細胞内全体の微細構造を三次元再構築して3D観察し、各構造の出現頻度や体積等を定量比較する。また、細胞活性に影響するとされる核内倍加の程度をフローサイトメーター等で調査するとともに、小毛細胞をレーザーマイクロダイセクションで切り出してトランスクリプトーム解析を行い、排水機能に関わる遺伝子群を同定する。本研究は、気孔を介さない未知の排水機構を解明するもので、イネの高温障害対策等にも繋がると期待される。
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研究実績の概要 |
本研究では、イネ表皮上の小毛について排水器官としての機能形態とその制御機構を解明することを目的とする。 まず、供試イネ品種‘日本晴’を栽培し、籾、葉鞘、葉身の着目部位ごとに、小毛の解析を行うための組織観察の予備調査を行い、特に小毛を構成する細胞の核内倍加状態を比較検証する条件を確立した。併せて、塩分を含み蒸発しにくい排水を行う小毛を持つ耐塩性イネ科牧草ローズグラスについても葉組織の核内倍加の調査を行い、小毛を構成する基部細胞、頂部細胞はともに核内倍加していることを明らかにした。また、C4光合成植物であるローズグラスは発達した葉緑体を備えた大型の維管束鞘細胞を有しており、これらについても核内倍加していることを明らかにした。これらの成果を日本作物学会にて報告し、現在、国際学術誌へ投稿準備中である(担当:小林)。 同上の供試植物、部位、時期ごとの小毛の細胞内微細構造の網羅的解析を目指し、迅速簡便な3D解析法の確立を目指した。小型で操作も容易な卓上走査型電顕(卓上SEM)を導入し、ミクロトームで作製した薄切片を透過型電子顕微鏡(TEM)ではなく、数百枚単位の切片を載せることができるスライドガラスに回収してSEMで撮影する一連の条件を精査し、連続切片から組織・細胞構造を三次元再構築する手法を確立した。本手法を用いて、葉組織内に普遍的に存在する葉肉細胞および維管束鞘細胞の細胞内微細構造の3D解析に成功し、日本作物学会にて発表し、現在、国際学術誌へ投稿準備中である(担当:大井)。次に、葉組織内に散在する小毛についても3D解析を行うべく、切片作製法を洗練中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究室の統廃合に伴う人員整理のため十分なエフォートを確保できない状況が続いているため、小毛の3D形態解析については大幅に遅れている(代表者・大井)。 なお、核内倍加に関する調査については順調に進んでおり、成果の一部を論文発表する準備まで整っている(分担者・小林)。
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今後の研究の推進方策 |
小毛の3D形態解析について、進捗の遅れを取り戻すため、消耗品等の経費の節約し、研究補助者を雇用して写真撮影およびデータ解析の効率化を図る(代表者・大井)。
核内倍加に関しては引き続き調査を進め、順次成果報告も行っていく(分担者・小林)。
トランスクリプトーム解析については、引き続きレーザーマイクロダイゼクションによるサンプリンングの条件検討を行い、その後の遺伝子発現解析に必要なデータベースを整理を進める(分担者・高橋)。
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