研究課題/領域番号 |
23K23590
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補助金の研究課題番号 |
22H02325 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39020:作物生産科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
三屋 史朗 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (70432250)
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研究分担者 |
杉浦 大輔 名古屋大学, 生命農学研究科, 講師 (50713913)
土井 一行 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (80315134)
カルタヘーナ ジョイス 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (10519929)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 9,230千円 (直接経費: 7,100千円、間接経費: 2,130千円)
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キーワード | イネ / 塩ストレス / 耐塩性 / 葉鞘 / 塩排除 / 塩害 / 塩排除能 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、世界の特に沿岸地域で問題となっている塩害に対処するため、イネの耐塩性を向上させてより多くのコメを生産することが目的である。塩害下でイネは主に塩を吸収し、葉身に高濃度塩害蓄積すると光合成が阻害されて生育と収量が著しく減少する。そのため、イネの耐塩性には葉身の塩蓄積を増加させないため、塩排除能と呼ばれる機構が重要である。本研究ではイネの葉鞘における塩排除の分子機構の解明を目指し、葉鞘の塩排除に関わる遺伝子群を同定し、分子機構を解明する。また、QTL解析により葉鞘の塩排除能のみ異なる遺伝的背景の同一な系統を作出し、塩害下のイネ生産性における葉鞘の塩排除能の生理的意義を調 べる。
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研究実績の概要 |
昨年度の実験結果より、葉鞘の塩排除に関わると考えられる塩輸送体遺伝子のノックアウト変異株に塩輸送体遺伝子を導入した相補株の世代を進めた。特にAKT1遺伝子のノックアウト変異株にAKT1遺伝子をカリフラワーモザイクウィルス35Sプロモーターの下流につなげたコンストラクトを導入したところ、AKT1遺伝子のノックアウトで減少したカリウム排除能が増加した。このことはAKT1遺伝子が葉鞘のカリウム排除能に何らかの役割を担うことを示唆した。またCRISPR-Cas9法による遺伝子ノックアウトのため、葉鞘の塩排除能に関与すると考えられる3遺伝子についてコンストラクトを作製し、現在イネ(品種日本晴)のカルスにアグロバクテリウムを介して感染させた。 MeDIP-qPCR法を適用し、対照区と塩処理区での各遺伝子のプロモーター領域のDNAメチル化程度を調べた。具体的にはRNA-sequencing法で見出された11遺伝子について、対照区と塩処理区から抽出したゲノムDNAを用いて、MeDIP-qPCR法によりDNAメチル化程度を調べたところ、RNA-sequencingの結果と一致する結果は見られなかった。したがって、葉鞘での転写レベルの塩応答は、DNAメチル化によって制御されないことが示された。 IR-44595と318の交雑系統について今年度はさら にQTL-seq解析に用いるためのF6系統を作出した。また、ノナボクラ/コシヒカリCSSLのSL502およびSL509とコシヒカリの交雑集団を用いて、QT L解析を行った。その結果、まず親系統(コシヒカリと比較してSL502, 509)の間に葉鞘の塩排除能の違いが見られず、またQTLも検出されなかった。その原因として、前年度コシヒカリとSL502,509とを比較したときと異なる水耕容器や場所で行ったため、植物の生育環境が異なったことが原因と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
CRISPR-Cas9による遺伝子ノックアウトについて、イネカルスへアグロバクテリウムを感染させた後、再分化個体が得られなかった。その理由は不明であるが、所有している植物ホルモンなど試薬の劣化が問題ではないことが明らかになり、現在供試するカルスの数を増やして検討している。またイネ葉鞘を用いたメタボローム解析を外注で行ったが、年度初めにサンプルを送付したものの、年度内に結果を得ることができず、進捗状況は想定よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
CRISPR-Cas9法による葉鞘の塩排除に関すると予想される遺伝子のノックアウトが想定よりやや遅れていることについて、イネのCRISPR-Cas9によるノックアウトを行っている他の研究者よりアドバイスを受け、再分化培地のレシピを変更して引き続き行っていく。
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