研究課題/領域番号 |
23K23598
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補助金の研究課題番号 |
22H02333 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39030:園芸科学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
吉岡 洋輔 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (50462528)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2025年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
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キーワード | 雑草メロン / 両性花 / 単性花 / 主枝成性 / エチレン / 花性 / 性決定 / 果実形態 |
研究開始時の研究の概要 |
瀬戸内海の島から収集された雑草メロンは新規性決定遺伝子を有し、既知の性決定モデルでは説明できない特異的な性表現を示す。その交雑後代は既知の性決定遺伝子にみられる果実形態に対する負の多面発現効果が認められず、単性花であっても完全な球形果実を着けるという農業上極めて有用な特性をもつ。本研究課題ではこの雑草メロンが有する新規性決定遺伝子を同定する。また、性表現と性決定遺伝子配列解析に基づき、東洋に伝播したメロンの性表現の多様化機構を解明する。これにより、メロンひいてはウリ科植物の性決定メカニズムの全容解明に迫るとともに、新規性決定遺伝子を利用した新しいメロンのF1種子生産システムを提案する。
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研究実績の概要 |
令和5年度は(1)遺伝解析材料の育成、(2)戻し交雑後代を用いたQTLの位置と効果の再検証、および(3)多様な遺伝的背景をもつメロン遺伝資源の性表現の調査を行った。具体的な研究内容とその成果は下記のとおりである。 (1)半促成栽培および抑制栽培において、雑草メロンを1回親、アールス系メロンの代表品種であるアールスフェボリット春系3号等を反復親とする戻し交雑を進めた。 (2)ポジショナルクローニング用マーカーを用いて、戻し交雑後代の遺伝子型と性表現の関連を調査した結果、第3染色体上の主枝成性QTL(Opbf3.1)の候補領域が約0.2 Mbまで絞り込まれた。また、その領域に含まれる25個の遺伝子のうち、エチレン応答性転写因子をコードするMELO3C010784とエチレン生合成を律速するACC合成酵素をコードするCmACS11において主枝成性と非主枝成性個体間で非同義置換が検出されたことから、これら2つの遺伝子が主枝成性に関与する有力な候補であると考えられた。一方、第8染色体上の雄蕊形成関連QTL(tpbf8.1)には既報の性決定関連遺伝子であるCmCPR5が存在し、この遺伝子において両性花個体と雌花個体間で非同義置換が検出されたことから、雄蕊形成関連遺伝子はCmCPR5であることが強く示唆された。 (3)多様な遺伝的背景をもつメロン遺伝資源100系統の性表現と主要な性決定遺伝子の1つであるCmACS7の遺伝子型を調査した結果、表現型が調査できた83系統のうち13系統で遺伝子型から推定される花性(雌花または両性花)と実際の花性が一致しなかった。ただし、供試した遺伝資源のうち16系統が全雄花性を示すなど、環境条件(特に長日)が花性に大きな影響を与えた可能性が高いことから、次年度も引き続き同様の調査を行い、本年度の結果を再検証することが必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、本年度は戻し交雑等による遺伝解析材料の育成を進め、昨年度に設計したポジショナルクローニングのためのマーカーを用いて戻し交雑集団の遺伝子型と表現型の関連性を調査し、本研究が対象とする性決定遺伝子座の位置を絞り込むとともに、有力な候補遺伝子を決定することができた。また、多様な遺伝資源を用いた解析により、新規性決定遺伝子を有する可能性のあるメロン遺伝資源が複数発見されるなど、興味深い結果も得られた。以上の点から、本課題の現在までの達成度を「おおむね順調に進展している」とした。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は(1)戻し交雑等による遺伝解析材料の育成を進めるとともに、(2)本年度に開発したポジショナルクローニング用マーカーを用いて、戻し交雑後代の性表現と遺伝子型との関連を調査し、QTLの位置と効果を再検証する。なお、雑草メロンの雄蕊形成に関与する第8染色体上の遺伝子座については、その原因遺伝子がCmCPR5であることが強く示唆されることから、次年度以降は第3染色体上の遺伝子座のみを対象にする。また、(3)多様な遺伝的背景をもつメロン遺伝資源約100点の性表現を再度調査するとともに、既報の性決定遺伝子のシーケンス解析を行う。
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