• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

落葉果樹の冬の長さの認識を取り巻く環境応答シグナルの『速度論的』解析

研究課題

研究課題/領域番号 23K23599
補助金の研究課題番号 22H02334 (2022-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2022-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分39030:園芸科学関連
研究機関千葉大学

研究代表者

齋藤 隆徳  千葉大学, 大学院園芸学研究院, 助教 (20753479)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2025年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 10,140千円 (直接経費: 7,800千円、間接経費: 2,340千円)
キーワード自発休眠 / 温暖化 / エピジェネティクス / DNA損傷 / 深層学習 / 転移学習 / 細胞培養 / RNA-seq
研究開始時の研究の概要

温暖化によって生じる環境変化に適応する農作物の開発は、世界的な食料問題の解決に不可欠である。リンゴなどの落葉果樹は、一定期間の冬の寒さにあうことで萌芽できるようになる性質を持つため、冬季の温暖化が進むと萌芽不良が生じる。ところが細胞レベルでのどのように冬の長さを感知しているかという萌芽メカニズムの本質ともいえる問いは明らかになっていない。そこで本研究では、独自に開発した細胞モデルを利用し、様々な環境シグナルの伝達について『速度論的に』理解することを目指す。すなわち細胞レベルでの時間認識を明らかにし、さらに実際の樹体における応答も合わせて評価することで、果樹の冬の長さの認識システムの本質に迫る。

研究実績の概要

これまでの実験から、低温シグナルが概日リズムを介して茎頂の成長制御を駆動していることを明らかにするとともに、アブシシン酸を軸とした低温に非依存的な経路によって自発休眠が制御されていることを明らかとしてきた。そこでアブシシン酸を軸とした低温に非依存的な経路について、細胞分裂サイクルとの連動を鑑みてCUP-SHAPED COTYLEDON2遺伝子に着目をした解析を実施したが、当該遺伝子は自発休眠期に発現していない遺伝子であることが明らかとなった。また培養細胞を用いた実験についてさらなる解析を行ったところ、培地にABAを添加したときに発現が増加するABA応答性遺伝子と、自然条件下での芽の自発休眠誘導期において発現が増加するABA応答性遺伝子が異なることを見出した。
また低温シグナルが概日リズムとの関係をクロマチン構造の変化から見出したものの、その後のRNA-seq解析の結果から、必ずしも遺伝子発現とクロマチン構造の変化が一致しないことが明らかとなった。このことから概日リズムとの関係性については否定されていないものの、低温によるDNA損傷が生じているとともに、その修復が行われている可能性が明らかとなった。これまでにDNA損傷と自発休眠については議論された事例は存在しないものの、自発休眠中の芽では活性酸素種が蓄積されていることが報告されている。多くの動植物において活性酸素種はDNA損傷を引き起こすことが知られていることから、今後は低温シグナルと概日リズムとの関連について、DNA損傷(修復)を考慮しながら検討する必要性を明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

仮説とは異なる結果が続いたが、新たにDNA損傷の観点から環境、特に低温シグナルの伝播を観測できる可能性を見いだすことができた。このことは自発休眠現象を定量的にモデル化できる可能性があり、新たな研究展開に期待が持てることからおおむね順調に進展していると考えられた。

今後の研究の推進方策

2024年度は自発休眠が導入される際に生じるDNA損傷を測定し、低温シグナルの伝達速度について、DNA損傷の程度によって定量化できるかを試みる。さらにDNA損傷を取り巻く因子として、ミトコンドリアの電子伝達系に着目し、活性酸素種やNAD(H)などの測定も行う予定である。またすでに自然条件下での芽での応答と低温処理をした培養細胞についてのRNA-seq解析を完了しており、2024年にはこのデータを比較解析することで、茎頂の成長制御を駆動する低温シグナルとDNA損傷に関わる低温シグナルを明確にする。
一方で、アブシシン酸を軸とした低温に非依存的な経路について、自然条件下での芽と低温処理をした培養細胞におけるRNA-seq解析により、低温に非依存的なABAシグナル関連遺伝子の抽出を行う。

報告書

(2件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] 小規模データセットを用いた深層学習によるリンゴ芽の休眠誘導期における転写調節領域の構造解析2024

    • 著者名/発表者名
      齋藤隆徳
    • 学会等名
      第65回日本植物生理学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] Deep learning unveils the limited contribution of chromatin remodelling in the winter dormancy of apple axillary buds2023

    • 著者名/発表者名
      Takanori Saito, Shanshan Wang, Katsuya Ohkawa, Hitoshi Ohara, Satoru Kondo
    • 学会等名
      7th International Plant Dormancy Symposium
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 深層学習を利用したリンゴ側芽の休眠誘導期におけるクロマチン構造変化の解析2023

    • 著者名/発表者名
      齋藤隆德, 大川克哉, 小原均, 近藤悟
    • 学会等名
      園芸学会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

URL: 

公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi