研究課題/領域番号 |
23K23610
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補助金の研究課題番号 |
22H02345 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39040:植物保護科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
黒川 俊二 京都大学, 農学研究科, 教授 (50370581)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2026年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2025年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2024年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 雑草性 / 雑草性遺伝子 / アサガオ / アメリカアサガオ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、「雑草性」に関わる形質群を遺伝子レベルで総合的かつ定量的に評価するための研究材料として、雑草種アメリカアサガオと栽培種アサガオの戻し交雑により雑草性レベルを段階的に変化させた系統群(雑草性レベルメー ター系統と名付ける)を作出することを目的とする。作出した系統群の実用性を評価するた め、両種間の一塩基多型(SNPs)マーカーを用いて系統間のゲノム割合の段階的変化および 遺伝子多様度(H)を評価するとともに、雑草性形質の違いを比較する。
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研究実績の概要 |
雑草性レベルメーター系統の作出のための園芸種Ipomoea nilと雑草種I. hederaceaの交配については、結実率が想定よりも低く、温室で行った交配では98花に対して結実したものは0であった。人工気象器において再度交配を行ったところ197花に対して5個が結実した。これは既報の7%よりもかなり低い結実率であったが、23個のF1と思われる種子を得ることに成功した。 雑草性評価についてはダイズとの競合試験を京都大学附属農場(京都農場)の2つの試験圃場で行った。それぞれの圃場においてI. nilとI. hederaceaの休眠打破処理を行なっていない種子を30粒ずつ30cm×30cm枠内にダイズと同時に播種を行い、出芽動態、つるの伸長、およびダイズ収量と両Ipomoea植物の乾物重を測定した。その結果、I. nilの方が出芽数が多く、葉齢進展も早かった。収量調査の結果、ダイズ精選子実重/Ipomoea属植物乾物重の割合はIpomoea属植物の初期出芽個体数が多くになるのに応じて下がり、初期出芽数が最も多かったI. nilの区において最も低くなった。これらの結果、園芸種のI. nilであっても発生密度が多い場合ダイズに対して減収をもたらしうることを明らかにした。 雑草性レベルメーター系統の実用性評価に用いるSNPsマーカーの開発については、本年度は15対の染色体それぞれに10個程度のCAPSマーカーを作出するため、I. hederaceaのリシーケンスデータをI. nilの疑似染色体レベルのAsagao_1.2ゲノムにマッピングした。マッピングデータに基づいて各染色体について10箇所合計150箇所についてindel変異を検出した。それぞれについてPirmer3Plusを用いたプライマー設計を試み、84箇所(3~10箇所/染色体)についてプライマーを設計することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
雑草性レベルメーター系統の作出のための園芸種Ipomoea nilと雑草種I. hederaceaの交配については、想定よりも結実率が低かったもののF1種子を得ることに成功している。予定では戻し交配まで終了することとなっているが、2022年度に確立した世代促進(3世代/年)よりもさらなる世代促進が可能な条件(4世代/年)が見つかったことと、結実率の低さを考慮し交配計画を変更することにより予定期間内での系統作出が可能な見込みである。 雑草性評価については圃場試験において、I. nilがI. hederaceaと同様に雑草害をもたらしうることを見出すことができた。自然種子散布した同圃場において引き続きダイズとの競合試験が行える見込みがたったとともに、個体群動態の調査を行う準備が整った。 全染色体にマーカーが作出できたことから、雑草性レベルメーターの実用性評価を行う準備が整った。さらなる変異箇所が見つかっていることから必要に応じて残りの変異箇所についてマーカーを作出することも可能である。 以上のことから、おおむね順調に進展していると判断された。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降の交配試験については、結実率が想定よりも大幅に低かったことから、F1種子を直接用いた戻し交配ではなく、F1を自殖して得られるF2分離個体を用いて戻し交配を行うこととした。得られる系統のゲノム割合についてはF1種子を用いたものと大差はないと考えられる。この方法によりF1由来のRILs作出と戻し交配系統の作出を同時に進めることとする。 雑草性評価については、競合性と個体群動態に分けて研究を展開する。次年度は、競合性については、光競合、水分競合および養分競合試験を開始する。個体群動態に関しては、作物の非作付け期間、作付け期間に分けた出芽動態を見るとともに、バイオマスと種子生産量の関係について播種期移動試験により定量化することを試みる。次々年度以降は、それぞれのパラメータに関連する生物的・生態的特性を明らかにすることで、最終年度における雑草性レベルメーター系統を用いた雑草性評価での表現型データを得ることとする。 染色体レベルで両種のゲノムを識別できるマーカーについては、F1およびF2個体を用いてマーカーとしての有効性を確認するとともに、交配試験を進める際に実際のゲノム構成の変化について評価することに用いる。
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