研究課題/領域番号 |
23K23614
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補助金の研究課題番号 |
22H02349 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39040:植物保護科学関連
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
八丈野 孝 愛媛大学, 農学研究科, 教授 (10404063)
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研究分担者 |
吉田 健太郎 京都大学, 農学研究科, 教授 (40570750)
久野 裕 岡山大学, 資源植物科学研究所, 准教授 (70415454)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2024年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
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キーワード | オオムギうどんこ病菌 / カルシウムスパイク / 絶対寄生 / mlo / カルシウムイオン / 半活物寄生 |
研究開始時の研究の概要 |
オオムギうどんこ病菌の侵入時にカルシウムイオンの流入が引き起こされるが、そのメカニズムはわかっていない。GCaMP6fを活用した時空間的解析を行なった結果、侵入時にカルシウムスパイクが形成されること、膜貫通タンパク質であるMLOがその制御に関与することが明らかとなった。MLOに相互作用するタンパク質群を同定し、相互作用及びカルシウムスパイク制御の分子メカニズムの解明に取り組んだ。
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研究実績の概要 |
オオムギうどんこ病菌のレースに依存せずに抵抗性を発揮するmlo変異体が抵抗性遺伝資源として長らく利用されてきたが、生育阻害などのデメリットがあるため、不明である抵抗性付与メカニズムを詳細に解明することが求められている。本研究においてMLOタンパク質がカルシウムイオンの流入に強く関与することが明らかになっており、また、シロイヌナズナ花粉管研究によりMLOオルソログがカルシウムイオンチャネルである可能性が示唆された(Gao et al., 2022)。当初は、CNGCカルシウムチャネルとMLOが相互作用することで制御すると想定されていたが(Meng et al., 2020)、MLO相互作用タンパク質の網羅的解析からはそれを支持するデータは得られていない。したがって、オオムギにおいてもMLO自身がカルシウムイオンチャネルとして機能すると仮説を立て、詳細な解析を行うために必須となるカルシウムイオンセンサーを発現するmlo変異体をCRISPR/Cas9システムを利用して作製した(Koide et al., 2023)。これまでは一過的発現系を利用した実験において、カルシウムセンサーが導入されたmlo表皮細胞でのカルシウムイオンの流入を解析していたが、安定形質転換体であるため多細胞を同時にリアルタイム解析できるようになり、流入パターンを統計学的に解析できるようになった。さらに、形質転換が容易な品種であるGolden Promiseで作製しているため、MLOの機能相補解析を行うことが可能となった。また、プロテーム解析より、カルシウムイオン流入の制御に関与すると考えられる新たなMLO相互作用タンパク質を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は、カルシウムイオンのCNGCカルシウムチャネルとMLOが相互作用することで流入を制御すると想定されていたが(Meng et al., 2020)、MLO相互作用タンパク質の網羅的解析からその可能性は懐疑的ではあった。そこにシロイヌナズナの花粉管研究の報告(Gao et al., 2022)があり、MLO自身がチャネルである可能性が強く示唆されたため、MLOの機能解析に注力できる状況となった。一過的発現系によりカルシウムセンサーであるGCaMP6を発現させた表皮細胞においてカルシウムイオンの流入を解析していたが、CRISPR/Cas9システムを利用してGCaMP6を持つmlo変異体を作製して安定して解析できるようにした(Koide et al., 2023)。この系統を利用することで同時に多細胞をリアルタイムに解析できるようになり、カルシウムイオンスパイクを統計学的に解析できるシステムが完成した。プロテオーム解析によりMLOと相互作用する新たなタンパク質を見つけており、カルシウム流入制御に関与するか解析している。また、MLOの第2ループに変異を持つコンストラクトを多数作製し、機能相補実験および相互作用解析を行える準備ができた。相互作用解析する際に、一般的にベンサミアナタバコが用いられるが、オオムギタンパク質はベンサミアナタバコ細胞内では本来の機能・挙動を示さない可能性がわかってきているため、オオムギのプロトプラストを用いた発現系を確立した。以上のようにバイオイメージング解析およびタンパク質相互作用解析の手法を整備することができている。
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今後の研究の推進方策 |
mlo/GCaMP6形質転換体をベースに、MLO機能相補実験および相互作用タンパク質発現実験を1細胞を行う。1細胞発現系についてはすでに確立しており、レーザー熱膨張式マイクロインジェクション法により狙った1細胞に導入することで、その細胞におけるカルシウムイオンの流入、mloアレルの機能相補、相互作用タンパク質との結合様式を解析しつつ、オオムギうどんこ病菌の侵入を解析する。
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