研究課題/領域番号 |
23K23615
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補助金の研究課題番号 |
22H02350 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39040:植物保護科学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
伊原 誠 近畿大学, 農学部, 准教授 (30466031)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
18,330千円 (直接経費: 14,100千円、間接経費: 4,230千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 15,860千円 (直接経費: 12,200千円、間接経費: 3,660千円)
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キーワード | リガンド開口イオンチャネル / ネオニコチノイド / 薬剤選択性 / ニコチン性アセチルコリン受容体 / 選択毒性 / 殺虫剤 / リニコチン性アセチルコリン受容体 / 分子メカニズム |
研究開始時の研究の概要 |
ほ乳類のみならずミツバチなどの益虫に対しても安全な合成殺虫剤は、持続可能な農業生産において非常に重要であり、非標的昆虫種に対して毒性を示さない薬剤、すなわち昆虫種間で選択性を示す薬剤の開発が期待される。これまでに、申請者らは、昆虫種由来nAChRを機能発現させる手法を確立してきた。本研究では、同手法を発展させることで様々な昆虫種由来のnAChRの再構築系を確立し、多種類のケミカルリガンドの作用特性を電気生理学的に解析するとともに、標的受容体におけるリガンド認識機構をX線結晶構造解析およびクライオ電子顕微鏡法により解析することで、昆虫種間で選択性を示す薬剤開発の分子基盤の構築を目指す。
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研究実績の概要 |
ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)は、主要な殺虫剤であるネオニコチノイド系殺虫剤や殺虫性糸状菌代謝産物の分子標的である。ネオニコチノイドはミツバチの蜂群崩壊症候群や環境生物への悪影響が取り沙汰されるようになり、批判の矛先が向けられている。一方、糸状菌代謝産物は、選択毒性を有する化合物が種々知られているが、選択毒性が生じる分子メカニズムの理解が限られている。そこで高度な選択毒性を有する薬剤の開発にむけた基盤研究が重要となっている。研究計画年度2年目は、1年目に引き続き「昆虫類のCys-loop受容体の機能発現方法および薬剤評価系の確立」と「Cys-loop受容体を標的とする殺虫剤の受容体種間選択性の評価」の2テーマに取り組むとともに「昆虫のnAChRの構造解析研究」を開始した。 ニコチン性アセチルコリン受容体は5つのプロトマーから構築されることから、機能的受容体を再構築できるプロトマー(サブユニット)の組み合わせと、再構築に適した補助因子の組み合わせや量比を検討した。その結果、機能的発現が確認された受容体に対するネオニコチノイドや関連化合物の作用特性を明らかにした。また、補助因子は基本的な受容体の薬理学特性には有意な影響を与えることなく、構築される機能的な受容体数に有意な影響を与えることが示された。本実績により、選択毒性をチューニングするための計算科学および昆虫の立体構造解析に向けた受容体の構築条件の本格的な検討が可能となったと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画どおり、新たな昆虫のCys-loop受容体の取得と機能的発現可能な受容体サブユニットの組み合わせを明らかにすることが出来ている。また、機能的発現が可能となった構造解析に向けた受容体コンストラクトの作成と、構造解析に向けたタンパク質の精製条件の最適化も順調に進んでいる。これらを踏まえて、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に基づき、着実に研究を遂行していく。 2024-2025年度は、昆虫のnAChRの構造解析研究にウェイト移し、これまで誰も明らかにできなかった昆虫のnAChRの立体構造を明らかにするとともに、相互作用メカニズムが解明されていない糸状菌代謝産物との複合体の構造解析にも挑戦する。
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