| 研究課題/領域番号 |
23K23619
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| 補助金の研究課題番号 |
22H02354 (2022-2023)
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| 研究種目 |
基盤研究(B)
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| 配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
| 応募区分 | 一般 |
| 審査区分 |
小区分39040:植物保護科学関連
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| 研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
今野 浩太郎 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (00355744)
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| 研究分担者 |
光原 一朗 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, グループ長 (80370683)
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| 研究期間 (年度) |
2024-04-01 – 2026-03-31
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| 研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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| 配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2023年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2022年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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| キーワード | クワ乳液由来耐虫性タンパク質MLX56 / キチン結合領域(hevein領域) / Extensin領域 / 囲食膜 / カイコ / MLX56非感受性メカニズム / キチン結合性タンパク質 / 消化液 / MLX56耐虫性タンパク質 / 植物耐虫性遺伝育種 / MLX56の耐虫性機構解明 / 昆虫におけるMLX56耐性機構解明 / 植物昆虫間相互作用 / MLX56 / クワ乳液由来耐虫性タンパク質 / 囲食膜の肥厚 / MLX56発現組換えアブラナ / MLX56非感受性(抵抗性)メカニズム / エリサン / ハスモンヨトウ / 耐虫性タンパク質 / MLX56組換えアブラナ / 耐虫性増強遺伝子改変と合成耐虫性物質開発 / MLX56の耐虫性機構と昆虫のMLX56耐性機構 |
| 研究開始時の研究の概要 |
1.MLX56を高発現するシロイヌナズナ系統の育成を目指しアブラナ科を食害する広範な害虫を用いて耐虫性試験を行い、耐虫性スペクトルを確認する。 2.MLX56の遺伝子(増強MLX56遺伝子)の作成およびMLX56の各領域(Extensin領域・Hevein領域)の機能解析をMLX56からExtensin、Hevein各領域の数を増減したものを作り解析する。 3.MLX56に適応しているカイコ(クワコ)でMLX56への適応の生化学・分子メカニズムを解明する。 4.MLX56を昆虫の体外から散布し農薬的に用いることが可能か検討する。 5.MLX56の働きを模した安価な耐虫性物質の開発を行う。
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| 研究実績の概要 |
MLX56はキチン結合領域(Hevein領域)、Extensin領域、キチナーゼ様領域(活性がない)から構成される。これまでの研究でMLX56はキチン結合領域で中腸の囲食膜に結合しExtensin領域で囲食膜を膨潤させると考えられたが、各領域の耐虫活性への貢献は実験的には確認されていなかった。Hevein領域のみから構成されるWheat Germ Agglutinin(WGA、キチン結合性レクチン)は弱い耐虫性活性を示すため、MLX56のキチン結合部位単独でどの程度の耐虫性を示すかは興味深く実験的確認を試みた。アグロインフィルトレーション法でMLX56を発現させたタバコ葉をハスモンヨトウに摂食させると顕著な耐虫性(成長阻害・高死亡率)が確認されたが、同様にMLX56のキチン結合部位のみをタバコに発現させても耐虫性は検出されなかった。このためMLX56の耐虫性活性にはキチン結合領域だけでなく他の領域の存在が必要なこと、MLX56が単なるキチン結合性レクチンよりも耐虫活性がはるかに強力であることが確認された。 一般の昆虫に顕著な成長遅延を起こすMLX56にカイコがなぜ非感受性で悪影響を受けないか昨年度に引き続き検討した。昨年までにMLX56はカイコの囲食膜に全く結合しないことを発見したが今年度は詳細な化学メカニズムを調べた。その結果、カイコの消化液や囲食膜にはエリサンと違い常に多量のキチン結合性タンパク質が存在していることが発見された。また囲食膜からタンパク質を除去したキチン繊維をMLX56溶液に浸すとMLX56は吸着するが、予めカイコ消化液のキチン結合タンパク質を付着させてからMLX56溶液中に浸してもMLX56はあまり膜に吸着しなかった。このためカイコはキチン結合性タンパク質で囲食膜のキチンをガードしてMLX56の結合を防いでMLX56に適応している可能性が示唆された。
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| 現在までの達成度 |
現在までの達成度
2: おおむね順調に進展している
理由
カイコのMLX56非感受性メカニズムの研究において画期的な進展があった。MLX56はチョウ目昆虫(ハスモンヨトウ幼虫、ヨトウガ幼虫、エリサン幼虫)、コウチュウ目幼虫(ニジュウヤホシテントウ)、アザミウマ目(ミカンキイロアザミウマ)など広範な分類群の重要害虫を含む昆虫に極めて低濃度(0.01%)で広く顕著な耐虫性(成長阻害効果・致死効果)を示す。このように極めて広いスペクトルを示すにも関わらず、またMLX56のターゲットが囲食膜という昆虫に普遍的に存在する構造であるにも関わらず、カイコにはMLX56は高濃度でも全く効果を示さず大きな謎であった。昨年までに、カイコではMLX56を摂食しても囲食膜にMLX56が吸着せず、囲食膜の肥厚も起こらないことが解明された。すると、キチンからできた囲食膜にキチン結合活性があるMLX56がなぜ吸着しないかという新たな謎が出てきたが、今年度カイコの消化液に過剰なキチン結合たんぱく質が溶解しており、カイコの囲食膜にもこのキチン結合たんぱく質が主要な構成成分になっていて、このタンパク質はMLX56のキチンへの結合を阻害するという実験結果が得られた。すなわち、カイコは消化液地位にキチン結合タンパク質をガードタンパク質として保持していてMLX56の囲食膜への結合を防いでいることが示唆された。この研究はそれ自体がクワーカイコ間の分子攻防的生態関係を理解する上で重要なだけでなく、今後、MLX56の農業で利用された場合に発達することが予測されるMLX56抵抗性発達の可能性に関する理解を深めうるものであり意義が大きい。このように計画通りカイコMLX56抵抗性に関して解明が進みつつあり意義ある新知見が得られたため、計画はおおむね順調に進展していると評価できる。
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| 今後の研究の推進方策 |
MLX56の各領域が果たす役割については、各領域を欠損させたり組み合わせたり数を増やしたりすることで、機能解析を引き続き行う。その過程でもしMLX56より耐虫性が強いものが出てきた場合には利用可能性を検討する。 カイコのMLX56に対する非感受性に関しては、カイコ消化液に存在するキチン結合たんぱく質がMLX56のキチンや囲食膜への結合を防止するメカニズムの詳細な解明や、キチン結合たんぱく質の構造の解明を進める予定である。
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