研究課題/領域番号 |
23K23623
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補助金の研究課題番号 |
22H02358 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
池田 素子 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (20262892)
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研究分担者 |
浜島 りな 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (20784408)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2022年度: 7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
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キーワード | 核多角体病ウイルス / 全タンパク質合成停止 / リボソーム分解 / カイコ / 抗ウイルス応答 / リボソームRNA分解 |
研究開始時の研究の概要 |
核多角体病ウイルス(NPV)に感染した昆虫細胞に誘導される全タンパク質合成停止は,昆虫のウイルス感染に対する生体防御の重要な要素である.これまでに,NPV感染によって全タンパク質合成停止となるカイコ細胞で,リボソームRNA(rRNA)が急速に分解減少することを見出した.本研究では,カイコ細胞におけるrRNA分解の分子機構を解析することによって,全タンパク質合成停止のメカニズムを明らかにする.
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研究実績の概要 |
これまでAcP143最小領域と相互作用するカイコ細胞因子を探索するため,アフィニティーカラム法の実験系構築を進めてきたが,相互作用する因子の同定には至っていない.そこで,実験方法を変更し,近傍にあるタンパク質をビオチン標識する酵素,TurboID(ビオチンリガーゼ)を用いた近位依存性標識法により,AcP143最小領域と相互作用する可能性のある因子を網羅的に探索することにした.ストレプトアビジンビーズによるアフィニティー精製の後,標識タンパク質の質量分析を行った結果,23種類の候補タンパク質が得られた.実験を繰り返すことによって候補タンパク質の絞り込みを行い,ノックダウン法を用いてrRNA分解誘導への関与を調査する. AcMNPV感染によってカイコ細胞のrRNAが断片化し分解減少することから,生じた断片の末端配列の解析を行った.その結果,28Sβの5’末端から715 ntが分解されることによって断片が生じることがわかった.この分解に関与するリボヌクレアーゼの探索を進めている. サイズ排除クロマトグラフィー(Ribo Mega-SEC)の開発者である徳島大学の吉川治孝先生の協力を得て,カイコ細胞抽出液からポリソーム,80Sリボソーム,60S,40Sの各サブユニットを分画することに成功した.80Sと60SのフラクションからrRNAの分解断片が検出されたため,同じフラクションに分画されているタンパク質のウイルス感染に伴う挙動を調査することによって,rRNA分解機構を明らかにしていく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
これまでAcP143最小領域と相互作用するカイコ細胞因子を探索するため,アフィニティーカラム法の実験系構築を進めてきたが,相互作用する因子の同定には至らなかった.そこで,これまでの実験方法を変更し,近傍にあるタンパク質をビオチン標識する酵素,TurboID(ビオチンリガーゼ)を用いた近位依存性標識法を試行した.その結果,23種類の候補タンパク質が得られたことから,同定されたタンパク質の機能解析を通してrRNA分解の誘導経路を予測する計画である. 細胞粗抽出液のショ糖密度勾配による分画を計画していたが,実績がなく,実験系の構築に苦労していた.吉川先生の協力の元,サイズ排除クロマトグラフィー(Ribo Mega-SEC)によって,カイコ細胞抽出液からポリソーム,80Sリボソーム,60S,40Sの各サブユニットを分離することに成功したため,各フラクションの解析を進める予定である.
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今後の研究の推進方策 |
近位依存性標識法を繰り返すことにより,相互作用する因子の候補タンパク質の絞り込みを行う.候補タンパク質のノックダウンにより,AcP143によるrRNA分解誘導への関与を調査する. Ribo Mega-SEC法により得られた80Sと60Sのフラクションに含まれているタンパク質の中で,ウイルス感染により増減するタンパク質を特定し,rRNAの分解ならびに誘導に関わるタンパク質の探索を進める. カイコNPV感染細胞抽出液についてもリボソームの分画を行い,各分画に含まれているタンパク質をAcMNPV感染細胞抽出液のものと比較することによって,rRNAの分解の回避機構を解析する.
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