研究課題/領域番号 |
23K23628
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補助金の研究課題番号 |
22H02363 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分39050:昆虫科学関連
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
新屋 良治 明治大学, 農学部, 専任准教授 (30802798)
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研究分担者 |
佐藤 一輝 国立研究開発法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (90842071)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2022年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
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キーワード | 性決定 / 植物寄生線虫 / サツマイモネコブセンチュウ / VIGS / tra-1 / ネコブセンチュウ / 線虫 / 糖 |
研究開始時の研究の概要 |
植物寄生線虫は農作物に寄生し甚大な被害をもたらす重要な農業害虫である。一般に植物寄生線虫は高い環境適応力を有し、種ごとに異なる独自の生活史戦略を進化させている。申請者らはネコブセンチュウのユニークな性決定様式に注目し研究を行っている。本研究では、これまで申請者らが蓄積してきた予備的データと独自の技術を大いに活用し、トランスクリプトーム解析と分子機能解析を基軸にネコブセンチュウ性決定カスケードの解明に取り組む。本研究により、植物寄生初の性決定遺伝子が明らかになることで、特異性の高い新規の線虫防除手法の開発への将来展開が期待できる。
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研究実績の概要 |
今年度はサツマイモネコブセンチュウの性決定を制御する分子機構を解明することを目的として、ウイルス誘導性ジーンサイレンシング(VIGS)を利用したサツマイモネコブセンチュウのtra-1ホモログ機能解析を行った。VIGS実験では、TRV RNA2ベクターにサツマイモネコブセンチュウのtra-1ホモログ配列断片304bpと575bp をそれぞれ挿入し、2種類のベクターを作製した。このTRVプラスミドを用いて形質転換したアグロバクテリウムをベンサミアナタバコの葉に感染させ、感染から10日後に線虫を1500頭ずつポットに接種した。線虫接種から10日後に、根に形成されたゴールを切り出し1.5 mLチューブに回収し、破砕した後RNAを抽出した。抽出したRNAからcDNAを合成し、tra-1ホモログの発現量を調査した。tra-1ホモログの発現量を比較するため、ハウスキーピング遺伝子としてタンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(Disu)遺伝子を用いた。また、線虫接種から6週間後に、植物の根を水で洗って土を落とし、根の外部に露出したサツマイモネコブセンチュウの卵嚢を回収した。実体顕微鏡下で卵嚢を解剖し、卵嚢内の卵の数を計測し、雌1個体当たりの産卵数を計測した。実験の結果VIGSによるtra-1ホモログの発現抑制を試みた処理区において、産卵数を含め線虫の表現型の変化はほとんど観察されなかった。また、対照区と比較してtra-1遺伝子発現量の抑制も見られなかった。tra-1ホモログの発現抑制が見られなかった理由としては、線虫が目的遺伝子のRNAを植物から十分に取り込めていないことや、発現抑制は生じているものの性決定のタイミングとずれていることなどが考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度にサツマイモネコブセンチュウtra-1遺伝子の機能解析が終了する見込みであったが、実験を実施した結果これまでに明確な結果を得ることができていない。このことは、標的とするtra-1ホモログが想定した機能を有していない可能性もあるが、ネコブセンチュウが十分にdsRNAを体の中に取り込めていない可能性も残されている。このような可能性や、ベンサミアナタバコがdsRNAを発現するタイミングの精査なども1つずつ確認をする必要が生じたため、進捗がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
リアルタイムPCRにより、tra-1遺伝子発現量と、線虫体内へのdsRNA取り込み量を精査できる技術は確立した。今後はこの技術を用いて、これまでに表現型が得られていない原因を調べる。また、tra-1だけでなく、性決定に関与する可能性のある他の遺伝子についてもVIGSによる機能解析を実施する。
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