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過去の気候変動から読み解くミドリイシ属サンゴの適応

研究課題

研究課題/領域番号 23K23634
補助金の研究課題番号 22H02369 (2022-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2022-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分39060:生物資源保全学関連
研究機関琉球大学

研究代表者

守田 昌哉  琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 准教授 (80535302)

研究分担者 大木 駿  広島大学, 医系科学研究科(医), 助教 (30834519)
深見 裕伸  宮崎大学, 農学部, 教授 (50402756)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2025年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 7,670千円 (直接経費: 5,900千円、間接経費: 1,770千円)
キーワードミドリイシ属サンゴ / 種分化 / 生殖隔離 / 気候変動 / 遺伝子進化 / 遺伝子浸透 / 交雑 / 配偶子種認識 / 適応進化 / 造礁サンゴ / 繁殖 / 受精 / 浸透交雑
研究開始時の研究の概要

ミドリイシ属サンゴはサンゴ礁を形成するサンゴである。過去の気候変動時に大量絶滅と適応放散を経て多くの種へ分岐した。この過程で、雑種形成と種の境界線となる生殖隔離機構を獲得してきたが、気候変動に対する適応と種分化の関係は不明なままである。本研究課題では、種分化過程と遺伝子の進化の関係を検証し、生殖隔離機構の成立と気候変動に対する適応の歴史を明らかにすることを目的とする。そのために、混乱しているミドリイシ属の分類の整理、ゲノム情報を利用した種分化過程や関連した遺伝子の進化(配偶子構成タンパク質の進化など)、そして水温に対する順応に関与する遺伝子の探索、などを複合的に行う。

研究実績の概要

本研究課題では、気候変動に対するサンゴの適応の可能性を繁殖から明らかにするものである。当該年度は、受精前に機能する精子鞭毛運動の制御に関わるタンパク質の単離とその共通性や遺伝子進化を明らかにした。例えば、繁殖時に卵に到達するために必要な鞭毛運動の活性化に機能するタンパク質の遺伝子を調べると、その多くは動物に共通しており、そしてミドリイシ属サンゴ内で遺伝子の進化(非同義/同義置換率)を調べると、約1/4は適応進化していることが判明した。これは、鞭毛運動がミドリイシ属サンゴに特徴的な多種同調産卵に対して適応進化したことに関連している可能性がある。また、産卵時に配偶子の互換性が非常に高い種間で形態とゲノムワイドアンプリコンシーケンスを行い解析を行った。その結果、形態的にどの種にも入らない群体がいることが明らかとなった。それらの群体をSNPを用いた解析を行なった結果、どの種も属さない雑種であることが判明した。これはインド太平洋で見つかった初めての明確な雑種となる。この雑種はどれもF2であることが判明した。また遺伝子浸透が起きた時期を推定した結果、昨年度に解析した種と同様に、この50~30年以内近年に遺伝子浸透が起きていることが判明した。この時期は白化現象が起きた時期とも一致し、雑種形成は繁殖危機時に起きる可能性が明らかとなった。現在は、この種間で遺伝子浸透がおきているゲノム領域を解析中であり、未確定ながら、精子や卵の構成タンパク質の遺伝子が座位していることが明らかとなりつつある。24年度により詳細に解析していく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

インド太平洋地域で初めての野外で明確な雑種群体を発見したことにより、その形成時期や適応的な意義を多角的に研究できる材料が揃ってきた。また、学生の協力を得ながら、水温適応に関する研究を進める上で重要な種の存在も明らかになりつつあるだけでなく、その水温適応に関係している遺伝子座も明らかとなりつつある。さらに、繁殖に関する側面として精子や卵形成に関する研究も順調に進んでいる。水温適応や配偶子形成のメカニズムが明らかとなることで、水温と繁殖の関係を遺伝子レベルで解析することが出来るようになるだけでなく、進化の過程も遺伝子から推定することが可能となる。このような解析を分類やインフォマティクスの専門家と研究を進めており、その研究基盤がしっかりした状態になった。そのため、非常に効率よく研究が進んでいる。

今後の研究の推進方策

昨年と同様に今後のこれまでの方向を維持しつつ、分類、繁殖、遺伝子進化の観点から研究を推進していく。特に、水温適応や遺伝子浸透時に浸透の起きている遺伝子の単理と機能解析に注力していく予定である。23年度に明らかとなったある種間で白化と遺伝子浸透の起きている時期が一致することから、生息数と遺伝子浸透が関係していると推定できた。しかし、このような現象がミドリイシ属に一貫して起きているか=他の種でも同様のことが起きているかは不明なままである。そこで、配偶子の互換性のある種間で、白化後の生息数の減少が種間で異なるか、それが遺伝子浸透と相関するか解析する予定である。また遺伝子浸透が確認できた種ではゲノム情報のない種もおり、その取得なども目指していく。

報告書

(2件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (12件)

すべて 2024 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 9件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Integrative taxonomic analyses reveal that rapid genetic divergence drives Acropora speciation2024

    • 著者名/発表者名
      Furukawa Mao、Kitanobo Seiya、Ohki Shun、Teramoto Mariko M.、Hanahara Nozomi、Morita Masaya
    • 雑誌名

      Molecular Phylogenetics and Evolution

      巻: 195 ページ: 108063-108063

    • DOI

      10.1016/j.ympev.2024.108063

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Positive selection on ADAM10 builds species recognition in the synchronous spawning coral Acropora2023

    • 著者名/発表者名
      Morita Masaya、Kitanobo Seiya、Ohki Shun、Shiba Kogiku、Inaba Kazuo
    • 雑誌名

      Frontiers in Cell and Developmental Biology

      巻: 11 ページ: 1171495-1171495

    • DOI

      10.3389/fcell.2023.1171495

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Response of resistant larvae of the coral Acropora tenuis to future thermal stress2023

    • 著者名/発表者名
      Hazraty-Kari S, Morita M, Tavakoli-Kolour P, Nakamura T, Harii S
    • 雑誌名

      Marine Pollution Bulletin

      巻: 192 ページ: 115060-115060

    • DOI

      10.1016/j.marpolbul.2023.115060

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Energy allocation trade-offs as a function of age in fungiid corals2023

    • 著者名/発表者名
      Grinblat Mila、Eyal-Shaham Lee、Eyal Gal、Ben-Zvi Or、Harii Saki、Morita Masaya、Sakai Kazuhiko、Hirose Mamiko、Miller David J.、Loya Yossi
    • 雑誌名

      Frontiers in Marine Science

      巻: 10 ページ: 1113987-1113987

    • DOI

      10.3389/fmars.2023.1113987

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Variability in thermal stress thresholds of corals across depths2023

    • 著者名/発表者名
      Tavakoli-Kolour Parviz、Sinniger Frederic、Morita Masaya、Nakamura Takashi、Harii Saki
    • 雑誌名

      Frontiers in Marine Science

      巻: 10 ページ: 1210662-1210662

    • DOI

      10.3389/fmars.2023.1210662

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Plasticity of shallow reef corals across a depth gradient2023

    • 著者名/発表者名
      Tavakoli-Kolour Parviz、Sinniger Frederic、Morita Masaya、Hazraty-Kari Sanaz、Nakamura Takashi、Harii Saki
    • 雑誌名

      Marine Pollution Bulletin

      巻: 197 ページ: 115792-115792

    • DOI

      10.1016/j.marpolbul.2023.115792

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Acclimation potential of Acropora to mesophotic environment2023

    • 著者名/発表者名
      Tavakoli-Kolour Parviz、Sinniger Frederic、Morita Masaya、Harii Saki
    • 雑誌名

      Marine Pollution Bulletin

      巻: 188 ページ: 114698-114698

    • DOI

      10.1016/j.marpolbul.2023.114698

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Reactions of juvenile coral to three years of consecutive thermal stress2023

    • 著者名/発表者名
      Hazraty-Kari Sanaz、Morita Masaya、Tavakoli-Kolour Parviz、Nakamura Takashi、Harii Saki
    • 雑誌名

      Science of The Total Environment

      巻: 863 ページ: 161227-161227

    • DOI

      10.1016/j.scitotenv.2022.161227

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Adaptations by the coral Acropora tenuis confer resilience to future thermal stress2022

    • 著者名/発表者名
      Hazraty-Kari Sanaz、Tavakoli-Kolour Parviz、Kitanobo Seiya、Nakamura Takashi、Morita Masaya
    • 雑誌名

      Communications Biology

      巻: 5 号: 1 ページ: 1371-1371

    • DOI

      10.1038/s42003-022-04309-5

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] テーブル状ミドリイシ属サンゴの種分化に遺伝子浸透は関与しているのか2022

    • 著者名/発表者名
      古川真央、北之坊誠也、守田昌哉
    • 学会等名
      日本サンゴ礁学会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 同所的に生息するミドリイシ属サンゴ交雑検出の試みーGrasdi 解析を用いてー2022

    • 著者名/発表者名
      北之坊誠也、古川真央、大木駿、Sanaz Hazraty-Kari、Tangya Singh、守田昌哉
    • 学会等名
      日本サンゴ礁学会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [備考] 高水温にさらされたサンゴは熱に強い子供をより多く作る?

    • URL

      https://www.u-ryukyu.ac.jp/news/40939/

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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