研究課題/領域番号 |
23K23645
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補助金の研究課題番号 |
22H02380 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
百原 新 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 教授 (00250150)
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研究分担者 |
渡辺 洋一 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 助教 (30763651)
吉田 明弘 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 准教授 (80645458)
糟谷 大河 慶應義塾大学, 経済学部(日吉), 准教授 (90712513)
冨士田 裕子 北海道大学, 農学研究院, 農学研究院研究員 (50202289)
近藤 玲介 北海道大学, 農学研究院, 博士研究員 (30409437)
鈴木 毅彦 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 教授 (60240941)
工藤 雄一郎 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 准教授 (30456636)
設樂 拓人 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (40868329)
紀藤 典夫 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (30214836)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2022年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
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キーワード | 最終氷期終末期 / 気候温暖化 / 植生変化 / 植物化石分析 / 古環境復元 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は,地球温暖化が急激な植生変化をもたらした最終氷期終末期の約15,000年前を対象に,北海道東部,本州北部・中部での同じ山域の複数標高域で多層準の放射性炭素同位体年代測定に基づく花粉分析,大型植物化石分析を行い,従来よりも高精度な植生の時間・空間分布復元を行うことで,急激な気温上昇下で植生がどのように変化して現在に至ったかを明らかにすることを目的とする.さらに,木炭分析,菌類化石,考古資料による古環境データや,遺伝子データ,分布予測モデリングなどの現生データとの総合化により,植生変化をもたらした詳しい気候要因と,森林火災や人為,土壌の変化などの間接的影響を明らかにする.
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研究実績の概要 |
北海道東部(根室半島の納沙布岬湿原,歯舞湿原,牧ノ内湿原,および茨散湿原),長野県東北部の南軽井沢および栄町野々海湿原で,露頭観察や湿原での手掘りボーリング等を用いた地質調査,試料のサンプリングを行った.調査地点の植生調査や地形調査を行うと共に,地層の堆積環境とテフラ層序を把握しながら,採取した試料について大型植物化石,花粉・菌類化石,テフラ分析を行った.大型植物化石試料は水洗篩分を行い,同定可能な植物の部位を抽出し,同定・計数した上で,植物の地上部について放射性同位体年代を測定した.大型植物化石と花粉・菌類化石から復元された古植生・古環境と,テフラ層序と放射性炭素同位体年代によって設定した高精度の時間軸に対応させることで,最終氷期最盛期以降のグローバルな気候変化が植生に及ぼした影響を考察した.その結果,根室半島の台地上の湿原では,これまでサンプリングされることがなかった,最終氷期最盛期の堆積物を手堀ボーリングで入手することができ,カバノキ属が多く,エゾノヒメクラマゴケや水生植物の多い植生が最終氷期最盛期に広がっていたことが明らかになった.一方,栄町野々海湿原ではコケスギランの産出に基づき,最終氷期最盛期には森林限界の高度が標高約1000mにまで低下していたことが明らかになった.種分布モデリングと植物化石データとの比較に基づく植生変化の過程と要因の解明については,グイマツについて分布変化予測と環境要因の評価を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた野外調査地で,必要な堆積物サンプルを採取することができ,分析や年代測定を順調に進めることができた.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに採取した北海道東部(根室半島の納沙布岬湿原,歯舞湿原,牧ノ内湿原,および茨散湿原),長野県東北部の南軽井沢および栄町野々海湿原の試料について,大型植物化石と花粉分析,菌類化石や木炭分析を進め,追加の放射性炭素同位体年代測定を行う.大型植物化石と花粉・菌類化石から復元された古植生・古環境と,テフラ層序と放射性炭素同位体年代によって設定した高精度の時間軸に対応させることで,最終氷期最盛期以降のグローバルな気候変化が植生に及ぼした影響を考察する.分析によって得られた大型植物化石について,現生植物標本と比較することで,種レベルの同定を行い,より詳細な古環境解析や,植物の分布変遷についての資料とする.種分布モデリングと植物化石データとの比較に基づく植生変化の過程と要因の解明については,グイマツやトウヒ属などの最終氷期の代表的な植物について検討を行う.
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