研究課題/領域番号 |
23K23649
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補助金の研究課題番号 |
22H02384 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
谷川 東子 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (10353765)
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研究分担者 |
平野 恭弘 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (60353827)
松田 陽介 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (30324552)
眞家 永光 北里大学, 獣医学部, 准教授 (00453514)
和穎 朗太 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 上級研究員 (80456748)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2024年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
2023年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
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キーワード | 適地適木 / 土壌劣化 / 土壌酸性化 / 細根動態 / 針広混交林 / 混交林 / 広葉樹林化 / 針葉樹林 / 林業 / 木材収穫 |
研究開始時の研究の概要 |
樹種混交効果を期待する生態系プロセスとしてリター分解に着目し、1樹種、2樹種混合、3樹種混合・・というように、樹種数を段階的に増やすデザインで細根と葉の分解試験を実施する。また、人工林において土壌鉱物存在下での細根と葉のリター分解試験を行う。適宜回収した試料を、比重分画やNMR分析などに供し、細根の分解残渣は鉱物と親和しやすいかを評価する。これらの結果から、塩基枯渇ベクトルを発生させない森林の条件として樹種混交は有効か、塩基枯渇の進む人工林土壌では、細根増産が土壌有機物の増産をもたらすのかを検討する。
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研究実績の概要 |
土壌塩基の枯渇ベクトルを見出しているスギ林およびヒノキ林は、上層種が単一である。そこで多樹種で構成される森林では、塩基枯渇が起きにくいのではないかと仮説を導き、1樹種、2樹種混合、3樹種混合・・というように、樹種数を段階的に増やすデザインで細根と葉の分解試験を実施し、その過程で得られる溶脱液と分解残渣の分析を進めている。その結果、樹種混交効果(「単一樹種の実験結果に基づく樹種混交の予想値」と実験値との乖離)は、カルシウムなどの栄養成分がリターから溶脱することを抑制することを見出した。この結果は、塩基など生物にとっての栄養成分が立地から失われる量は、単一樹種で構成されている人工林の混交林化により低く抑えられる可能性があることを示している。 酸緩衝能が高い土壌が構成するスギ林では、時間と共に土壌の酸緩衝能はますます高く、低い土壌はますます低くなること、ヒノキ林ではもともとの土壌の性質にかかわらず、時間と共に酸緩衝能が低くなることを先行して明らかにしてきた。また昨年度は、スギ林の酸緩衝能が低い土壌では有機物の分解が進んでいたことを明らかにした。これらの背景に基づき、今年度は表層のみではなく40cm深までの土壌を対象として、土壌有機物の分解が進んでいるのかを検討した。今回はヒノキ林も対象とした。比重分画法して得た土壌の軽比重画分と中比重画分をアルカリ溶液で有機物を抽出し、EEM-PARAFAC法で分析した。主成分分析を用いて、10種類の蛍光成分を、その起源、酸化分解、高度分解の3つの主成分に分類した。この3成分の組成から、酸緩衝能が低い土壌の有機物は高い土壌のそれよりも樹種を問わず分解が進んでいることが明らかになった。当該研究結果をまとめた論文が、国際誌Plant and Soilに掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スギ林・ヒノキ林において酸緩衝能の低い土壌では有機物分解が進んでいることを、国際誌に掲載した。またリターから塩基を流亡させない方法を実験室レベルで発見した。これらのことから、順調に課題を遂行していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
樹種数を段階的に増やすデザインで実施した細根と葉の分解試験について、得られた試料の分析項目をさらに増やし、樹種を混交するとなぜ塩基溶脱が抑制されるのかについて研究を進める。 酸緩衝能の低い土壌をもつスギ林では細根バイオマスが高くなり、酸緩衝能の低い土壌をもつヒノキでは細根が細長くなることを我々は先行して明らかにしてきた。これらの現象はともに、土壌に還元される細根リター量が増えるベクトルを持っている。そのようにして土壌に多く還元される細根リターは、土壌鉱物存在下で微生物による分解を免れ土壌における滞留時間を延ばすことができるのか、その程度は葉と比して同等かを、現地リター分解試験で引き続き検証する。当該の試験では埋設1年目と2年目のリター分解試料を回収した。試料には「リターのみ」と「リターに鉱質土壌」を加えたバリエーションを設けているため、鉱物との親和性について器官差(葉vs細根)を評価することができる。得られた試料を用いて、器官差に着目したリター残存性とそれにかかわる鉱物の役割を明らかにする。これらの研究から、「塩基の貯蔵・枯渇ベクトル」の発生要因を考察し、「土壌塩基を枯渇させない森林施業の在り方」を模索する。
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