研究課題/領域番号 |
23K23654
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補助金の研究課題番号 |
22H02389 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
山崎 晃司 東京農業大学, 地域環境科学部, 教授 (40568424)
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研究分担者 |
坪田 敏男 北海道大学, 獣医学研究院, 教授 (10207441)
小池 伸介 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40514865)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
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キーワード | ツキノワグマ / 行動生態 |
研究開始時の研究の概要 |
ツキノワグマは秋期の飽食期に蓄えた体脂肪を,冬眠期間中のみならず,冬眠明け後の春から夏にかけても継続して利用する。春から夏は,高栄養で採食効率の良い食物の獲得が難しいためである。そのため,動き回るとエネルギー収支がマイナスになる夏期後半には,活動を停滞させる傾向を突き止めた。一方で,オスはこのような傾向が当てはまらない個体も多い。成獣オスはより多くのメスの獲得と自身の子孫を残すこと,亜成獣オスはより体を大きくすることと安定した自分の行動圏の確保が,行動を決める重要な要素と想像できる。本研究では,オスの齢級に着目しながら,春から秋にかけての行動と生理に関する特徴を個体レベルで明らかにする。
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研究実績の概要 |
これまでの研究で,ツキノワグマは秋期の飽食期に蓄えた体脂肪を,冬眠期間中のみならず,冬眠明け後の春から夏にかけても継続して利用することが明らかになってきた。春から夏は,高栄養で採食効率の良い食物の獲得が難しいことがその理由である。そのためクマは,動き回るとエネルギー収支がマイナスになってしまう夏期後半には,活動を停滞させる傾向を突き止めた。一方で,オスについては断片的な行動と生理に関するデータしか得られていないが,このような傾向が当てはまらない個体も多い。本研究では,オスの齢級に着目しながら,春から秋にかけての行動と生理に関する特徴を個体レベルで明らかにする。 研究対象地域は,奥多摩山地および足尾・日光山地の一帯のそれぞれ数100km2の範囲である。2023年度は,奥多摩山地でオス1頭,足尾・日光山地でオス4頭の計5頭にイリジウム通信型の軽量型GPS首輪あるいはビデカム付きGPS首輪(ドイツVectronic社)を装着した。首輪には3軸アクセラレータが内蔵されており,クマの行動区分をモデル解析により行える。2022年度捕獲個体の背部皮下に挿入した心拍・体温計(アイスランドStar-Oddi社)の再回収を試みたが成功には至っていない。 また,繁殖に関わるマーカーとして,糞中のテストステロン代謝物質の分析を,首輪装着個体の集中利用場所で可能な限り迅速に糞を採取して行った。さらに,同様に糞中のコルチゾルをマーカーとして用いてストレスと栄養状態の評価を行っている。個体の大きな移動前後の食性比較では,採集した糞を用い,内容物の量とその栄養学的評価を行う。並行して,日立市かみね動物園の飼育グマを用いた,性ホルモンの測定値評価を2023年度も実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展している。しかし,当初の計画と異なり,本研究の対象であるオス,特に亜成獣の捕獲頭数が想定していた数に達していない。 また,捕獲個体の背部皮下に挿入した心拍・体温計の回収は現在までのところ成功していない。これは,挿入個体の再捕獲が1頭しかできなかったことによるが,その1頭の心拍・体温計も理由は不明ながら脱落しておりデータの回収に失敗した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通りに進める予定である。2024年度では,心拍・体温計の回収に努めると共に,飼育個体を用いたテストステロンとコルチゾルの計測サンプル数を増やすための補完実験を行う予定である。また,これまでに得られたデータの分析と取りまとめを進め論文投稿を行う。
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