研究課題/領域番号 |
23K23661
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補助金の研究課題番号 |
22H02396 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40010:森林科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
飯田 真一 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70375434)
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研究分担者 |
香川 聡 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (40353635)
清水 貴範 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (40353726)
南光 一樹 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (40588951)
岩上 翔 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70612729)
小田 智基 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70724855)
宮沢 良行 九州大学, キャンパス計画室, 学術推進専門員 (80467943)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
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キーワード | 遮断蒸発 / 降雨貯留 / 多面的計測 / 豪雨 / 雨水貯留量 |
研究開始時の研究の概要 |
森林に降った雨の2~3割は地面に届かず、遮断蒸発する。つまり、豪雨時の猛烈な雨の影響は森林によって緩和される可能性がある。しかし、その実態と遮断蒸発のメカニズムには不明な点が多い。本研究では、最新の手法を複数採用して遮断蒸発の多面的計測を行い、遮断蒸発のメカニズムを明らかにすることを目的とする。そして、豪雨時の正確な遮断蒸発データに基づいて、豪雨の影響を森林がどの程度緩和しうるのか、検討を行う。
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研究実績の概要 |
本課題のメイン研究対象地の一つである森林総合研究所千代田苗畑の平地スギ林分において遮断蒸発計測システムを設置するとともに、スギ樹冠部の微気象計測を開始し、当該林分における遮断蒸発量の評価に着手した。
千代田苗畑の開空地に0.5mm転倒マス型雨量計を設置し、林外雨の計測を開始した。同苗畑の平地スギ林分において遮断計測プロットを設置し、同プロット内に生育するスギ13個体の胸高直径、樹高、樹冠投影面積を実測した。樋を用いて集水した樹冠通過雨、ならびに合計13個体のスギ樹幹にウレタンマットを固定して集水した樹幹流について、それぞれ個別に転倒マス型流量計を用いて計量を開始した。樹冠通過雨は空間不均質性が高いことが指摘されているため、直径21cmの受水部を有する貯留型雨量計をプロット内に30個配置し、空間分布の把握に向けた計測に取り掛かった。空間的代表性が担保された樹冠通過雨の評価のため、今後1年間程度の期間について貯留型雨量計による測定が必要であると考えられる。隣接する林分に建設されたタワーにおいて、スギ樹冠上の微気象要素である風速、日射、温湿度、乾球温度、湿球温度の計測を開始した。また、プロット内のスギ5個体に加速度計を設置し、樹体の揺れのモニタリングを開始した。分担者と共同して樹体の揺れを表す加速度データから固有振動数を算出した結果、降雨開始から固有振動数が減少する傾向が得られた。このことは、降雨によって樹体が濡れ、樹体の重量が増加したことを示唆している。今後、他の計測データとの比較検討を行うことで、遮断過程の動態をより詳しく把握することが可能になるものと期待される。葉面吸水実験では、重水を吸水させた凍結切片を大気にリークさせることなく採取する必要がある。このための定まった手法は存在しなかったが、比較的簡便な方法を確立したことから、次年度以降の効率的な実験の遂行が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
従来から広く用いられている林外雨量、樹冠通過雨量、樹幹流量の各計測に基づく遮断蒸発量の評価を確実に実行することが本課題では必要不可欠であるが、初年度においてその目処が立った。さらに、遮断蒸発の解析に必要となる樹冠部の微気象計測を開始できた。また、加速度計データの初期解析から降雨中の良好な傾向が検出できた。以上のことから、おおむね順調に進展していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
平地スギ林において林外雨、樹冠通過雨、樹幹流の連続測定を継続し、高精度なデータを蓄積する。30台の貯留型雨量計を用いた地点樹冠通過雨の計測を継続し、その空間不均質性の検討を開始する。林外雨、樹冠通過雨、樹幹流を1時間毎に自動採水するシステムを構築し、大型の降雨イベントにおいて採水を試行する。スギに樹液流速測定センサーを設置し、降雨中および降雨後の樹液流動特性の把握に着手する。
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