研究課題/領域番号 |
23K23674
|
補助金の研究課題番号 |
22H02409 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40020:木質科学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
渡辺 憲 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (90582734)
|
研究分担者 |
井道 裕史 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (30370274)
村野 朋哉 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 研究員 (30845243)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2024年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 10,270千円 (直接経費: 7,900千円、間接経費: 2,370千円)
|
キーワード | 心去り平角 / 内部割れ / 強度予測 / X線CT / AI / 非破壊検査 |
研究開始時の研究の概要 |
木造住宅の梁や桁には平角と呼ばれる断面の大きな木材が使用される。樹木の中心部を避けて製材された平角(心去り平角)を人工乾燥すると、表面からは観察できない内部の割れ(内部割れ)が発生し、これによって心去り平角の強度が低下するという事例が報告され始めている。本研究では、強度の著しく低い心去り平角の流通を未然に防ぐことを目的に、X線CTを用いて心去り平角のCTデータを大量に収集し、AI画像診断技術を用いた内部割れ自動検出技術を開発する。さらに、心去り平角の強度試験を行い、得られた強度データとCTデータを統合してAIによる強度予測技術を開発する。なお対象樹種はスギとする。
|
研究実績の概要 |
心去り平角の非破壊検査に用いるX線CT装置を移設した。昨年度にX線CT装置を導入した際には心去り平角の搬入土場から遠い場所にあり、装置周辺の取り回しに時間がかかったため大量の平角をスキャンすることができなかった。そこでX線CT装置を搬入土場から近い場所へ移設し、平角の搬入およびスキャン時の取り回し等の作業性が向上した。 強度予測に必要なスギ心去り平角の強度および内部割れのデータを収集した。生材状態の断面寸法200mm×135mm、長さ約4mのスギ心去り平角70本を調達し、昨年度に使用した乾燥スケジュールに従って心去り平角を人工乾燥した。その後、断面寸法180mm×120mmに仕上げ加工し、X線CT装置を用いて心去り平角をスキャンした。なお、スキャン範囲は4等分点3点曲げ試験の荷重点間にあたる中央部長さ方向108cmの領域とし、撮影条件は昨年度に決定した管電圧70kV管電流5mAとした。得られたスキャン画像から強度予測に必要な内部割れ等のデータを収集した。現在は心去り平角の強度試験を実施中である。 AI画像診断技術を用いた内部割れ自動検出技術の開発を進めた。上述の心去り平角とは別に、内部割れを発生させた心去り平角を用意してそのCT画像を収集し、内部割れを判別する深層学習モデルを構築した。その結果、このモデルによって平角の内部割れを3次元で抽出、可視化することができたことから、内部割れ自動検出技術については開発の目途が立った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画に比べて2、3か月ほど遅れが生じている。X線CT装置に関して、長尺の平角を撮影できるように改造を行ったことに加えて、今年度は大量のCTスキャンを行ったため、装置のトラブルも多く、修理を3回行った。これにより心去り平角のCTスキャンに時間がかかり、その後の強度試験を今年度中に完了できなかった。なお、X線CT装置のトラブル以外については特に問題はなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
X線CT装置の不具合は今のところすべて解消されており、次年度以降はトラブルも減ると考えられる。装置のメンテナンス等、メーカーと連携して柔軟に対応していきたいと考えている。 今後は、まず始めに次年度に先送りとなった強度試験を行い、5月までに完了する計画とした。次に、心去り平角を追加で50本調達し、今年度に引き続き強度予測に必要なデータの収集を行う。特に、今年度用いた心去り平角は想定より内部割れの発生量が少なかったので、内部割れの多い心去り平角を重点的に選択してデータ収集を行う。 データ収集を完了した後、AI画像診断技術を用いた内部割れ自動検出技術を開発するため、得られたCT画像から内部割れを判別する深層学習モデルを再び構築し、その判別精度を検証する。さらに、AIによる強度予測技術を開発するため、強度データとCTデータを統合し、ニューラルネットワーク解析を行う。これによってCT画像から曲げ強度を予測する数理モデルを構築し、この予測精度を検証する。
|