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エゾアワビの地域個体群維持メカニズムにおける再生産・加入過程の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K23682
補助金の研究課題番号 22H02417 (2022-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2022-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分40030:水圏生産科学関連
研究機関東京大学

研究代表者

峰岸 有紀  東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (80793588)

研究分担者 早川 淳  東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (10706427)
黄 國成  東京大学, 大気海洋研究所, 助教 (40526901)
松村 義正  東京大学, 大気海洋研究所, 助教 (70631399)
福場 辰洋  国立研究開発法人海洋研究開発機構, 技術開発部, 主任研究員 (80401272)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
13,000千円 (直接経費: 10,000千円、間接経費: 3,000千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
キーワードエゾアワビ / 現場濾過装置 / 環境DNA分析 / 幼生分散 / 粒子追跡シミュレーション / 自動濾過装置 / 自動現場濾過装置
研究開始時の研究の概要

エゾアワビの地域個体群維持メカニズムにおける再生産・加入過程を解明するため、岩手県大槌湾をモデル海域として野外調査、水槽実験、現場濾過装置による自動サンプリングに基づく環境DNA分析、連続海洋環境観測、粒子追跡シミュレーションを組み合わせ、(1)親貝の繁殖生態および行動と(2)幼生分散過程の全貌をそれぞれ解明する。これらから得られるデータを合わせ、(3)毎年の新規加入量と初期減耗率の推定を行い、大槌湾個体群の維持メカニズムを総合的に明らかにする。また、海洋環境および気候変動を考慮した将来の資源変動予測も行う。

研究実績の概要

自動現場濾過装置については順調に製作・改良を進めた。2022年中に大槌湾内での係留・サンプリング試験を行い、良好な結果を得た。これを受けて、エゾアワビの本来の産卵期中の2023年9月末に装置を大槌湾に投入し、携帯通信網を介した遠隔制御によるオペレーションにより1週間程度係留・サンプリングを行うことができた。環境DNA分析のための定量PCR系を確立し、自動現場濾過装置で取得したサンプルの解析を行ったところ、エゾアワビのDNAを十分な感度で検出することができ、自動濾過装置および定量PCR系が良好に作動することを確認した。また、潜水による定期調査を継続し、個体密度、成熟の程度、稚貝の分布等を観察し、モニタリングデータの蓄積を進めた。これに加え、産卵期前から産卵期後のおよそ半年にわたって、船艇による環境DNA分析のための定期採水を実施し、61サンプルを取得することができた。海洋物理の面では、大槌湾を約15mの高い空間解像度で表現する3次元流動場シミュレーションを用いる粒子追跡実験システムを構築した。粒子の鉛直移動や着底判定にアワビ卵・幼生の生態を反映させている。気候値強制による予備的実験で湾内の着底分布の推定を実施し、現場での目視観測による知見とある程度整合する結果を得た。
昨年度および今年度にかけて、それぞれが担当する研究内容を着実に進めることができ、エゾアワビの繁殖生態および幼生分散の過程を推定するための素地をほぼ整えることができた。来年度の産卵期には、自動濾過装置を投入し、台風・大きな時化に合わせたサンプリングおよび定期採水を実施する予定である。これにより、繁殖のタイミングの特定を目指すとともに、それらの情報と潜水調査で得られる情報を粒子追跡実験に条件として付与し、幼生分散過程の推定を目指す。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

繁殖のタイミングや幼生分散過程の推定を目指し、本年度のエゾアワビの産卵期(晩夏から秋)を前に、粒子追跡実験に付与する生物および環境データを本格的に取得する準備を整えることができた。しかし、2023年度は放卵放精のトリガーとなる台風や大きな時化が観測史上初めて来なかった年となったため、明瞭な繁殖のタイミングを捉えることができず、ひいては、幼生分散過程の推定を試みることができなかった。そこで、定期潜水および採水で取得したデータをその代替として分析している。これにより、当初想定はしていなかったものの、台風・大きな時化がない場合の繁殖生態および幼生分散の過程をある程度推定できるものと期待される。

今後の研究の推進方策

2024年度は最終年度であり、これまでに開発した自動濾過装置や定量PCR系、潜水調査で得られる情報を付与して粒子追跡シミュレーションを行い、大槌湾におけるエゾアワビの繁殖生態および幼生分散の過程の推定を目指す。具体的には、産卵期前もしくは初期に自動濾過装置を投入・交換し、台風や大型の時化のタイミングに合わせて時間的に密なサンプリングを行い、繁殖のタイミングを特定する。一方で、定期潜水および採水も行い、個体群密度や環境DNA濃度などの情報を長期的に取得する。以上の情報を付与して粒子追跡シミュレーションを実施する。また、2023年度、台風・時化のなかった年とも比較することで、大槌湾における幼生分散の過程を再現する。

報告書

(2件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件)

  • [学会発表] Comparisons of amount of movement and degree of aggregation by adult Haliotis discus hannai between spawning and non-spawning seasons2023

    • 著者名/発表者名
      Hayakawa, J., Ohtsuchi, N., Kanki, T., Minegishi, Y., Kawamura, T.
    • 学会等名
      International Abalone Society
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] A feasibility study of automated underwater sampling devices to analyze environmental and microbial DNA2023

    • 著者名/発表者名
      Goto, S., Fukuba, T., Wong, M.K.-S., Minegishi, Y., Hyodo, S., Makabe-Kobayashi, Y., Sugai, Y., Hamasaki, K.
    • 学会等名
      The eDNA Society International Meeting 2023
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 環境 DNA 技術の可能性:水産業の観点から2023

    • 著者名/発表者名
      峰岸有紀
    • 学会等名
      日本水産学会理事会シンポジウム「我が国水産業の成長産業化と強靭化に向けた今後の研究と技術開発」
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 環境DNA自動分析装置開発の現状と展望2023

    • 著者名/発表者名
      福場辰洋
    • 学会等名
      Ocean DNA Tech 2023
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 環境DNAサンプル自動採取・保存装置の開発と現場遺伝子解析への展開2023

    • 著者名/発表者名
      福場辰洋, 賀来将大, 西澤岳人, 下島公紀, 後藤周史, 峰岸有紀, 濵﨑恒二
    • 学会等名
      海と地球のシンポジウム2022
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 環境DNA自動分析装置開発の現状と展望2022

    • 著者名/発表者名
      福場辰洋
    • 学会等名
      Ocean DNAテック2022
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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