研究課題/領域番号 |
23K23684
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補助金の研究課題番号 |
22H02419 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
市田 健介 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (70882637)
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研究分担者 |
鈴木 究真 群馬県水産試験場, 群馬県水産試験場, 研究員 (80450386)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2024年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2022年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
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キーワード | 生殖細胞移植 / 凍結保存技術 / アユ / 凍結保存 |
研究開始時の研究の概要 |
アユには湖産系と海産系の存在し、湖産系が友釣りの際に放流種苗として好まれてきた。一般的に養殖魚の放流は遺伝子汚染のリスクを内包するが、アユにおいてはこれまで放流した湖産系アユと海産系アユとの交雑もないと捉えられてきた。しかしながら近年、放流した湖産系アユが海産と交雑し在来集団が遺伝的にかく乱されていることが明らかとなった。そのため、現行の放流事業の見直しと現段階のアユ地域集団の遺伝子資源を長期保存するバックアップ体制の樹立が喫緊の課題として新たに浮上している。そこで本課題では生殖細胞の凍結保存技術と代理親魚技術を組み合わせた半永久的なアユ遺伝子資源バックアップ体制の構築を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では群馬県水産試験場の群馬系アユをモデルとし、アユにおける代理親魚技法樹立のための条件検討を行った。代理親魚技法におけるドナーおよび宿主の移植適齢期を推定するため、ドナーとして群馬系アユ若魚を、宿主として海産系アユ仔魚を経時的にサンプリングし、HE染色による生殖腺の組織学解析を行った。また、F群馬系アユ精巣の緩慢凍結保存に用いる適切な凍結保護剤とその濃度を探索した。さらに、海産系アユ仔魚腹腔内へ群馬系アユ凍結生殖細胞を移植し、宿主生殖腺への生着の成否を検証した。 組織学的解析の結果、ドナーとなる群馬系アユの生殖腺は生後4か月齢までは未分化生殖細胞が増殖していたが、その後急激に分化が始まった。このことから4か月齢がドナー適齢期と判断した。また、生殖細胞の緩慢凍結の条件検討の結果から、1.3M DMSOが凍結保護剤として最適であることを明らかにした。さらに、宿主となる海産系の生殖腺の発達状況から、その移植適齢期は孵化後8-10日齢であることが推定された。各日齢の宿主を用いた生殖細胞移植実験の結果、ドナー生殖細胞の宿主生殖腺への生着効率は10日齢で82.1±3.9%, 平均生着細胞数3.16±0.75細胞という最も高い値がみられ、宿主生殖腺の組織学的解析の結果と一致した。以上、シラス型仔魚期を有するアユの生殖細胞の凍結・移植条件が至適化された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アユは1年で成熟して産卵後に斃死する年魚である。そのため1年で1度しか特定の成熟段階の魚を入手する機会がないが機会がないが、本年度の1度の機会でドナーおよび宿主の条件の指摘化を全て完了できた。これは当初の計画通りの進捗状況であり、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は上述の通り指摘化した条件のドナー、宿主を用いて、実際に移植を施した代理親魚から次世代個体の生産を試みる。また、宿主としては通常の2倍体に加えて、受精後に0℃,30分の冷水温処理によって三倍体化させた8-10日齢の不妊海産系アユ仔魚を用いる予定である。さらに、不妊海産系アユ仔魚の腹腔内へとドナー凍結生殖細胞を移植し1年間飼育を行うことにより、宿主からのドナー由来配偶子生産および個体の復元を目指す。
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