研究課題/領域番号 |
23K23690
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補助金の研究課題番号 |
22H02425 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分40030:水圏生産科学関連
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
伴 修平 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (50238234)
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研究分担者 |
細井 祥子 (田辺祥子) 滋賀県立大学, 環境科学部, 准教授 (80423226)
リュウ キン 滋賀県立大学, 環境科学部, 研究員 (10843360)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 7,150千円 (直接経費: 5,500千円、間接経費: 1,650千円)
2022年度: 8,450千円 (直接経費: 6,500千円、間接経費: 1,950千円)
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キーワード | 共生細菌叢 / 動物プランクトン / 食性 / 琵琶湖 |
研究開始時の研究の概要 |
動物プランクトンの食性は分類群毎に大きく異なることが知られている。しかし、この違いは決定論的でなく多くの例外を含む。近年の研究は共生細菌がミジンコの成長に不可欠であることを明らかにし、これが動物プランクトンの生理・生態に与える影響の重要性を指摘している。本研究では、食性が異なるとされる動物プランクトン種の腸内細菌叢と消化管内容物をメタゲノム解析にて調べ、さらに実験動物の無菌処理と腸内細菌叢の入れ替え実験を行い、それらの個体成長を比較することによって、種の違いを超えて腸内細菌叢が食性を決定しており、餌環境と腸内細菌組成のマッチ・ミスマッチが個体成長に影響を与える可能性について明らかにする。
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研究実績の概要 |
琵琶湖における主要動物プランクトン分類群、Eodiaptomus japonicus、Cyclopoida spp.、Daphnia pulicariaに共生する細菌群集組成について、琵琶湖北湖に設定した一定点において、湖水が鉛直的に循環する3月と、湖水が成層構造を示す6月と9月にそれぞれ調べた。6月と9月には、温度躍層(20 m)以浅と以深に分けて調べた。 いずれの季節においても、共生細菌群集組成は湖水中のそれと大きく異なった。いずれの分類群においても体表と腸管内における細菌群集組成は類似したが、それぞれのホスト分類群間では異なった。NMDS解析では、これら細菌群集構造はCyclopoida spp.とD. pulicariaで大きく異なり、E. japonicusのそれはこれら2分類群の中間に位置した。季節による違いをみると、カイアシ類では季節による特徴は顕著ではなかったが、D. pulicariaにおいては6月と9月で大きく異なる傾向を示した。生息深度による細菌群集構造についてもカイアシ類2分類群では類似したのに対して、D. pulicariaでは大きく異なった。 野外調査とは別途に、D. pulicariaとE. japonicusの共生細菌の入れ替え実験を行った。D. pulicaria卵を除菌処理し、孵化した仔虫をそれぞれD. pulicariaとE. jpaponicusのホモジネートに曝して3日間飼育した個体についてメタゲノム解析を行った。 フラボバクテリウム科はD. pulicariaに、Weeksellaceae科とSphingomonadaceae科はE. japonicusに特異的だったが、それぞれのホモジネートに曝した個体からも特異的に得られた。同様にFrabovacterium属とChryseobacterium属はそれぞれのホストに特異的だった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度は秋以降の採集が悪天候のために実施できなかったが、次年度にそれは達成できたため、本年度は季節による違いも明らかにすることができた。ただ、これの分析に時間を要したために、分類群毎に異なる細菌叢を相互に入れ替えた効果を見る実験は少々遅れており、本年度はD. pulicariaとE. japonicusの共生細菌叢を入れ替えたときに、それぞれの共生細菌叢がどのように変化するのか確かめるのみに留まった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、それぞれの分類群の細菌叢を入れ替えたときにホストの成長がどのように変化するのか確かめる実験を実施する予定である。これまでの細菌群集構造の解析によって、分類群毎にみられる共生細菌組成はホストの食性、季節、生息深度に大きく影響されていることを明らかにすることができた。次年度の実験によってそれぞれのホストが持つ共生細菌が他の分類群に定着するのか、もしそうならそれらが食性を通してホストの成長や再生産に影響を与えるのか明らかにすることができる。
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