研究課題/領域番号 |
23K23712
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補助金の研究課題番号 |
22H02447 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41010:食料農業経済関連
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研究機関 | 共栄大学 |
研究代表者 |
中村 哲也 共栄大学, 国際経営学部, 教授 (80364876)
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研究分担者 |
増田 聡 東北大学, 経済学研究科, 教授 (30231591)
Steven Lloyd 共栄大学, 国際経営学部, 教授 (40348339)
石塚 哉史 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (70571016)
濱島 敦博 桃山学院大学, ビジネスデザイン学部, 教授 (70581528)
西川 芳昭 龍谷大学, 経済学部, 教授 (80290641)
丸山 敦史 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 教授 (90292672)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
12,480千円 (直接経費: 9,600千円、間接経費: 2,880千円)
2024年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 原子力災害 / 東日本大震災 / 福島第一原子力発電所 / ALPS処理水 / 予防原則 / 令和6年能登半島地震 / 南海トラフ地震 / 核廃棄物最終処分場問題 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では原子力災害被災地に適用される農林水産業の予防原則は市民にどのように評価されるのか、実証分析を行う。令和4年度は処理水海洋放流前の風評被害払拭に向けた予防的取組、福島の森林除染と椎茸栽培再開に向けた農家の予防的取組を検証した。令和5年度は、東日本大震災における復興課題と教訓に関する住民評価、ALPS処理水と社会的な問題に関する住民意識、ロシアの軍事侵攻がドイツのエネルギー選択や食料支援対策にもたらす影響を検証した。令和6年度は、ALPS処理水放出後の水産物支援を目的とした住民意識調査、東アジアにおける日本産水産物の購買行動、⑫北欧における放射性廃棄物の最終処分地の決定要因を検証する。
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研究実績の概要 |
本研究では原子力災害被災地に適用される農林水産業の予防原則は市民にどのように評価されるのか、実証分析を行った。令和4年度は処理水海洋放流前の風評被害払拭に向けた予防的取組、福島の森林除染と椎茸栽培再開に向けた農家の予防的取組を検証した。令和5年度は、東日本大震災における復興課題と教訓に関する住民評価、ALPS処理水と社会的な問題に関する住民意識、ロシアの軍事侵攻がドイツのエネルギー選択や食料支援対策にもたらす影響を検証した。 令和5年度は、中村が『放射能汚染と市民意識ー食品の安全性から復興政策まで統計調査から原発災害を考える』を出版した。また、増田・中村・石塚が『東日本大震災と原発事故は何を残したか―大震災・原発事故からの復興・復旧の先にある持続的発展のロードマップ―』、中村・石塚が『大震災・原発事故のインパクトと復興への道: 12年後にひもとく農水産物風評被害と将来戦略』を出版した。令和5年度中に3冊の書籍を出版した。 また学術雑誌は『 Knowledge of Energy Resources and Next Generation Energy Choice Behaviour: A Case Study of Kazakhstan』『The Impact of Russia’s Invasion of Ukraine on Germany’s Energy Choice Attitudes among Residents in German States with Nuclear Power Plants in Commission or Decommissioned』『Public Perceptions of the Aral Sea Disaster in Uzbekistan』等、3つの国際的な学術雑誌に公開した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
令和6年度には『ALPS処理水放出後の香港と中国を事例として、日本産水産物の購買行動に関するWeb調査を実施し、統計的に分析する』研究計画を立てていた。具体的には『香港を事例として、国際社会の関心事や放射線や日本の水産物を購入するかどうか、Web調査を実施し,集計する』という計画であった。この計画は、研究分担者の大学で予算を計上してくれることになり、,『ALPS処理水を放出することに賛成する理由や反対する理由』や『宮城県産のサンマやホタテをいくらぐらいならば買うのか、支払意思額を問う』といったWeb調査をすでに実施した。科研費とは別に予算が付いたこともあって、研究は当初の計画より進んでいる。令和6年度の交付申請書を提出した後、東北大学災害科学国際研究所の先生方と、中国を事例として、日本産水産物の輸入を再開すべきか、また本当に中国人は日本の水産物を危険だと思っているのか、日本の水産物を購入するかどうか、Web調査を実施する相談を行った。東北大学によると、中国での政策評価は中国政府の許可が必要であり、無許可でWeb会社が調査を行うと市場から閉め出され、逮捕される可能性もあることを聞かされた。そのため、中国での調査は断念することにした。しかしながら、令和5年度中に、中村は『放射能汚染と市民意識ー食品の安全性から復興政策まで統計調査から原発災害を考える』という単著を出版し、原子力災害についてまとめた。また、中村・石塚は『大震災・原発事故のインパクトと復興への道: 12年後にひもとく農水産物風評被害と将来戦略』という共著をまとめた。更に中村・増田・石塚は『東日本大震災と原発事故は何を残したか―大震災・原発事故からの復興・復旧の先にある持続的発展のロードマップ―』という共著をまとめている。そのため、研究は計画以上に進んでいるといってよい。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年は、まずALPS処理水放出後の水産物支援を目的とした住民意識調査をWeb調査によって実施する。政府がALPS処理水に対する安全情報の発信のタイミングが適切だったのか、ALPS処理水に対する安全情報を信頼できたのか、調査票を回収する。福島県沖にALPS処理水が放出しても、国民が水産物の安全性を信頼できた情報についても訊ねてみる。更にALPS処理水海洋放出後、国民は太平洋の魚介類を冷静に購入できているのか、スーパーなどで販売されている水産物の産地をみて、安心して購入できる産地はどこか、訊ねてみる。加えて日本政府が風評被害対策として、風評被害を受けた漁家を補償し、必要な経費を支援することに賛成するのかどうか、訊ねてみる。また漁業支援や東京電力の賠償金などに支援することについても賛成するのかどうか、訊ねてみる。第4に、北海道産や常磐もののの支援方法や企画商品の販売方法についても、訊ねてみる。最後に、政府が支払う補償の範囲はどこまでなのか、消費者に訊ね、統計的に分析する。 また令和6年元旦の能登半島地震に始まり、千葉県を中心とした群発地震、愛媛・高知の地震など、日本各地で地震が相次いで起こっている。そこで国民が南海トラフ地震に対してどのくらい対策しているのか、稼働していた原発に不安を感じていなかったのかなど、Web調査を実施し、統計的に分析する。 更に、能登半島地震を経験した者が予想以上に建物の補強や地震保険に加入していなかったため、なぜ事前予防しなかったのか、その理由を問いたい。 加えて、放射性廃棄物の最終処分場が決定しているフィンランドやスウェーデンを事例としてWeb調査を実施し、最終処分場が決定した経緯や、賛成した理由や反対した理由を問う。わが国では放射性廃棄物の最終処分場の候補地選びが決まっていないが、地域の住民が最終処分場を受け入れた経緯について考察する。
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