研究課題/領域番号 |
23K23713
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補助金の研究課題番号 |
22H02448 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41020:農業社会構造関連
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研究機関 | 東京都市大学 (2024) 岩手大学 (2022-2023) |
研究代表者 |
木下 幸雄 東京都市大学, 環境学部, 教授 (90323477)
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研究分担者 |
荘林 幹太郎 総合地球環境学研究所, 研究部, 特任教授 (10460122)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
9,750千円 (直接経費: 7,500千円、間接経費: 2,250千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 土地改良区 / 組織マネジメント / 戦略 / 複式簿記 / バランス・スコアカード / パブリック・マネジメント |
研究開始時の研究の概要 |
農村振興政策の一課題として土地改良区の持続的な組織運営が指摘されているが、抜本的な組織改革への道筋は見えない。そこで本研究では、土地改良区がしたがうべき経営原則と、実践可能で有効性のある新しいマネジメント手法を具体的に提案することを目的にして、①アンケート調査による全体像の把握、②事例調査による内部メカニズムの把握、③国際比較による妥当性の吟味、④戦略マップの構築、の研究計画で進める。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、土地改良区(灌漑事業体)がしたがうべき経営原則と実践可能で有効性の高いマネジメント手法を新しく提案することにある。研究計画(3か年)は、①全国の土地改良区を対象としたアンケート調査による全体像の把握、②事例調査による内部メカニズムの把握、③国際比較による妥当性の吟味、④戦略マップの構築、によって構成されている。 当該年度では、研究計画①・②に関わる作業として土地改良区の基礎情報と先端事例の収集を行い、③に関わる作業として海外研究協力機関との共同研究を実施した。これらによる研究成果は次の通りである。 土地改良区の全体像の把握と内部メカニズムの把握については、農林水産省の協力のもと、調査対象とすべきサンプルの選定を行うとともに、先端事例の把握およびその評価を行った。また、土地改良区の運営基盤強化の政策方向として、これまで推進されてきた土地改良区の広域事務化・合併に加え、組織マネジメントの改善という新たなアプローチの検討が始められている。農林水産省の担当部署および土地改良事業関連団体における検討過程において、本研究が目指している戦略マップに対する政策的・実務的ニーズが極めて高いことが確認された。この点は、本研究が政策形成過程に影響を与えたものとして強調しておきたい。 海外研究協力機関との共同研究については、サウス・オーストラリア大学とチャールズスタート大学と連携して、オーストラリア灌漑事業体における経営成果の影響要因に関する調査を行い、国際比較による妥当性の吟味を行うことができた。 なお、研究成果は学術論文として公表したとともに、研究代表者が委員を務める食料・農業・農村政策審議会や公的・私的な研究会・検討会の場において、土地改良区の運営課題を含む土地改良事業のあり方について問題提起を行うことで、その積極的な発信と社会還元に努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画のうち、①については当初の想定よりも遅れている。その理由は、土地改良区の基礎情報の収集活動は完了したものの、その調査設計については精査に時間を要しているからである。すなわち、当該年度の研究過程において、類似する全国調査を土地改良事業関連団体が実施中であることが判明し、その調査結果を待って重複を避けつつ、さらに深堀りする調査を本研究では実施するのが、合理的であると判断した。 また、当初の想定より遅れていた研究計画③については、調査報告書「Strategies for land improvement districts in Japan: Lessons from Australia」として、国際共同研究の成果をとりまとめることができた。これによって、研究計画①についても、分析モデルと整合性をとりながら、国際的に比較可能なかたちとなるよう調査設計の改善を図ることができる。研究計画④については、検討を始めている。 以上から、総合的に判断すると進捗状況は、「やや遅れている」との自己評価を下した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画①・②については、調査設計の作業が完了次第、全国アンケート調査が実施できる体制にある。調査設計は、土地改良区、土地改良事業団体連合会、農林水産省、都道府県庁の担当者に対するヒアリングとともに、国際共同研究の成果を踏まえて効率的に進めることができる。 研究計画④については、すでに成果をあげている研究計画③に加え、研究計画①・②の結果を踏まえながら、理論的な整合性を検討する。 研究成果はまとまり次第、海外研究協力機関との連携体制を活かして、国際共著論文の執筆、国際学術誌への学術論文の発表などにより国際発信に努めていく。 以上、当初の想定と異なる事情が発生しながらも、柔軟に研究計画を調整して、研究目的が効果的に達成されるよう研究を推進している。やや遅れている現在までの進捗状況を挽回できるよう努めたい。
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