研究課題/領域番号 |
23K23716
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補助金の研究課題番号 |
22H02451 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41020:農業社会構造関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
櫻井 清一 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 教授 (60334174)
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研究分担者 |
寺岡 伸悟 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (90261239)
中村 貴子 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (70305564)
大橋 めぐみ 農林水産省農林水産政策研究所, その他部局等, 研究員 (10355266)
澤野 久美 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 本部, 上級研究員 (10445851)
椋田 瑛梨佳 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中日本農業研究センター, 研究員 (50984639)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
13,780千円 (直接経費: 10,600千円、間接経費: 3,180千円)
2025年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2024年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 多角化 / 労働の質 / 生活の質 / 農村経済 / 農業経営 |
研究開始時の研究の概要 |
農業を核とした経済多角化の進展は,農業従事者の日常的な労働および生活のプロセスも変化させている。新たな多角化活動に従事することは,経済的/社会的成果をもたらしうる半面,慣れない業務による労働時間や負担感の増加,余暇時間の減少にもつながる。農業者の総合的な生活満足度・生活の質(QOL)の向上につながるかどうか,検証が必要である。 そこで本研究では,経済多角化に取り組む家族経営農家/組織経営体/農家グループの農業従事者を対象に,多角化活動の導入が労働の質をどのように変化させ,それが農業者の総合的な生活の質にどのように影響を及ぼしているのかを定量・定性の両側面から解明することを目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は以下の4点について分析を行った。 1)農業従事者のQOLについて、特に労働面に配慮しつつ生活実態を把握するための分析枠組となる生活時間調査の設計に取り組んだ。NHK国民生活時間調査や総務省社会生活基本調査などを参考に、15分刻みで生活記録をとる枠組みを設計したが、労働の内容をどこまで詳しく記録させるかに課題を残している。設計は継続中である。 2)農林業センサスで把握されている農業生産関連事業の従事日数と各種関連事業の関係性を把握するため、センサス個票の利用申請を行い、認められた。2005年より4年次(5年おき)の時系列データを用いて農業生産関連事業の従事状況を時系列的に考察するための基盤を整えた。また2020年センサスデータについては、4府県にて農業生産関連事業に従事しない経営体のデータも利用も認められたので、従事者・非従事者間の比較分析を行う基盤を整えた。 3)海外との比較研究として、台湾における日本式農産物直売所と欧米式ファーマーズ・マーケット(FM)の出荷者を対象にした質問紙調査のデータを用い、両タイプの出荷者の出荷に対する総合満足度を規定する要因を定量的に分析した。FM出荷者のほうが相対的に高い満足度を示していること、また出荷時の交流経験と直売施設マネジメントの充実度が出荷満足度を高めることを解明した。 4)その他、集落営農組織を対象にした定性的調査により、集落営農が農村経済多角化活動のプラットフォームとなりうることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究のデータ収集の核となる生活時間調査については、時間を把握するためのフォーマットは確立できたものの、労働面をどの程度まで詳細に把握できるかの考察が十分なされておらず、初年度内に調査フォーマットを確定させることはできなかった。 一方、申請および利用許可に時間がかかると想定していた農林業センサス個票については、想定より早く、また詳細な項目について利用を認められた。また、2020年センサスについては4府県にて非農業生産関連事業従事経営体のデータ利用も可能となり、すぐれた比較考察の対象を得た。申請時の想定より詳細な定量的分析が期待でき、そのための基盤を整えることができた。 また海外の農業多角化とQOLの分析の一環として、台湾における直売型農産物流通施設を利用する出荷者の満足度に関する分析を短期間のうちに取りまとめることができた。この研究については、国際学会でオーラル報告できた点も評価できる。 これらを総合的に評価すると、予定より遅れている部分と進んだ部分の双方が混在するが、全体としてはおおむね順調に進展したと評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
まず、生活時間調査のフォーマットを精緻化するとともに、調査する期間(長期と短期双方を設定できるのが望ましい)に応じた記入・記帳の具体的方法を次年度の早期に確立する必要がある。そのうえで早急に多角化経営体を対象にした実態調査を行う。 農林業センサスデータは、代表者に加え全分担者も利用可能となったので、利用規約に従い適切にデータを配分するとともに、研究協力者として連携している栗原伸一教授(千葉大学)の支援も得ながら具体的な分析を加速化させる。 海外研究についてまず、本年度に実績を出せた台湾を対象に、茶業をめぐる農業部門の多角化と、農業者の多角化活動従事状況について次年度に調査を行う予定である。また、新たな比較対象国として、代表者が現地研究者・Mina Ceptryl氏を受け入れる予定のあるフィリピンが浮上している。可能であればMina氏を研究協力者に据え、フィリピンの協同組合における農業および多角化活動の従事状況についても予備調査を行う。
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