研究課題/領域番号 |
23K23719
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補助金の研究課題番号 |
22H02454 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41030:地域環境工学および農村計画学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
吉川 夏樹 新潟大学, 自然科学系, 教授 (90447615)
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研究分担者 |
宮津 進 新潟大学, 自然科学系, 助教 (30757844)
長野 宇規 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (70462207)
田中丸 治哉 神戸大学, 農学研究科, 名誉教授 (80171809)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
14,820千円 (直接経費: 11,400千円、間接経費: 3,420千円)
2024年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 6,890千円 (直接経費: 5,300千円、間接経費: 1,590千円)
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キーワード | 田んぼダム / ため池 / 流域治水 / 相乗効果 / 簡易評価手法 / ポテンシャルマップ / 洪水軽減 |
研究開始時の研究の概要 |
田んぼダムおよびため池・農業用利水ダムの事前放流がもつ洪水軽減ポテンシャルを全国規模で網羅的に評価する手法を開発する.要素技術として,(1)田んぼダムおよびため池・農業用利水ダムによる洪水軽減効果評価手法,(2)衛星画像による水稲作付面積の判別手法およびため 池貯水量の推定手法を確立し,大規模河川流域を事例に水田およびため池・農業用利水ダムそれぞれの洪水軽減効果,両者の相乗効果を評価す る.この解析結果を標本とし,統計モデルによって主たる効果発現の規定要因を抽出し,全国の河川流域における有力な選択肢と効果規模を可 視化する全国規模のポテンシャルマップを作成する.
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研究実績の概要 |
本研究は,流域治水への貢献が期待されている田んぼダムおよびため池・農業用利水ダムの事前放流の取組みを対象に,その洪水軽減ポテンシャルを全国規模で網羅的に評価する手法を開発し,国や地方自治体などの計画主体が流域治水にかかる施策を展開する上で不可欠な取組適地や効果規模などの基礎的情報を提供することを目的とする.2023年度までに,要素研究I の「河川流域スケールの洪水軽減ポテンシャル評価手法の開発」は完了した.また,要素研究IIの「衛星リモートセンシングによる資源賦存量把握手法の開発」についても,概ね順調に進捗している.ただし,II.2の「ため池貯水量推定手法」の流域スケールへの適用が完了しておらず,2024年度の早い時期に完了を目指す予定である.要素研究IIIの「事例流域における手法の適用」については,方針を一部変更した.申請段階では,信濃川流域および加古川流域全体へのモデル適用を想定していたが,各流域の地形的・土地利用的特性を鑑み,信濃川流域は主に下流域に存在する機械排水流域における田んぼダムの簡易評価手法の,加古川流域はため池群の簡易評価手法開発の事例として位置づけることとした.また,III.3の「統計モデルによる個別効果および相乗効果規定要因の分析」についても解析の方針を変更した.これは,統計モデルによらない田んぼダムおよびため池群の簡易推定モデルを開発することに成功したことからである.すなわち,これらの変更による最終成果「全国規模のポテンシャルマップの作成」への支障はない.ポテンシャルマップの作成は最終年度に開始する予定であったが,上記の簡易推定モデルを宮城県や栃木県などに適用し,既にポテンシャルマップの作成している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書作成当初に予定していた研究方針を一部変更した.本研究の最終成果である全国規模のポテンシャルマップの作成に必要な情報は,田んぼダム及びため池群がどの程度洪水軽減効果を持つかということである.申請書には,「統計モデル」による分析を提案したが,2023年度の研究で,全国の河川流域に汎用的に適用できる田んぼダムおよびため池群の効果を簡易に推定できるモデルの開発にそれぞれ成功した.この成果はポテンシャルマップ作成において鍵となるもので,既に複数の都道府県への適用を試行的に進めている.この意味では,当初計画以上に進展している.一方,実際のポテンシャルはため池の貯水量に依存しているため,簡易手法を実用面で用いるためにはため池の貯水量の推定が求められる.要素研究II.2で計画していた貯水量推定手法の開発がまだ道半ばであるため,2024年度の早い時期に開発を完了させる予定である.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度が最終年度となるため,最終成果であるポテンシャルマップの作成を目指す.上述の通り,解析手法に一部変更があったが,新たな発想で開発した簡易推定手法によって最終成果達成をより近づけたと考えている.今後は,まず簡易推定手法のさらなる妥当性検証を進め,信頼性の高い手法とした上で,全国規模の田んぼダムおよびため池群のポテンシャルマップそ作成する予定である.
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