研究課題/領域番号 |
23K23727
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補助金の研究課題番号 |
22H02462 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41040:農業環境工学および農業情報工学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
岩渕 和則 北海道大学, 農学研究院, 教授 (00193764)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,940千円 (直接経費: 13,800千円、間接経費: 4,140千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 11,960千円 (直接経費: 9,200千円、間接経費: 2,760千円)
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キーワード | 再生可能エネルギー / ガス化 / バイオマス |
研究開始時の研究の概要 |
小型バイオマスガス化装置はバイオマス収集運搬エネルギーが削減可能なバイオマス発生源(森林圏や農畜産圏など未利用バイオマス発生源)近傍への持ち運びや設置が可能になり、また家庭レベルまでの小型化は年間一千万トン発生する家庭ごみをゼロにし、かつ燃料化による発電にも資することになる。本研究は、小型化したガス化反応装置の安定的稼働かつガス化効率の高い反応の実現を目指し、小型ガス化熱電併給装置開発の基礎試験を行い、実現可能性を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究は科学的根拠に基づいてガス化炉・ガス化原料を設計・開発することで、小型ガス化システムが抱える諸課題を解消し、小型ガス化熱電 併給システムの実現可能性について検討することを目的としている。 2023年度の実験計画は、下記の(1)、(2)である。 (1)数値実験で得られた設計により試作したガス化炉による原料輸送、反応炉内閉塞リスク回避、安定した燃焼、燃焼後残さの取り出し輸送等の確認:試作したガス化炉については、安定した原料輸送、反応炉内閉塞リスク回避が出来るように、下記(2)に示した設計に変更し、加えて通気方法の改善や反応炉の断熱を施すことにより、かなり安定したガス化反応を行うことが可能になった。 (2)ガス化炉内での流動性を担保する原料物性の検討: 当初は、ガス化原料の大きさや形状、密度、炉内壁との摩擦係数などを、ガス化原料毎に、木質バイオマス、草本系バイオマス、廃棄物系バイオマス、およびそれらの炭化物を対象とした検討を詳細に行う計画であった。しかしながら、特に水分が異なるガス化原料を投入した場合には炉内のブリッジ現象を回避することは困難であることがわかった。小型ガス化炉では流動性を担保出来る材料物性の探索ではなく、ガス化炉内部に耐熱性オーガー(主要な物品:特注縦型フィーダー機構)を設置して、強制的に上下の材料輸送を行う方法を新たに設計し、この方法による安定的運転について検討した。この結果、炉内原料輸送の問題がほぼ全て解消され、炉内での原料ブリッジ現象も起きず、ガス化原料の安定的な炉内輸送やより安定的なガス化反応が生じ、反応温度も安定して500℃以上を保つことができるようになった。 次年度には、ガス化炉の安定性:8時間以上の連続運転可能;ガス化炉の温度推移:900±50℃を目標とし、より社会実装に近づけるようにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度に、固定床ダウンドラフト式ガス化炉を基本にした設計および開発を進め、計画通りに発注を予定していたが、国際情勢不安定の影響により、部品調達ができず、計画にやや遅れが生じていた。本年度では、「ガス化炉内での流動性を担保する原料物性の検討」が課題であったが、前述のように多様なガス化原料に対応する反応炉の特性を検討するよりも、ガス化炉内部に耐熱性オーガーを設置して、強制的に上下の材料輸送を行う方法を新たに考案、設計した。この結果、原料供給の問題がほぼ全て解消され、炉内での原料ブリッジ現象も起きず、ガス化原料の安定的な炉内輸送やより安定的なガス化反応が生じ、反応温度もより安定する成果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
実証ガス化装置での基礎試験を行う。前年度までの成果に基づきながら基礎試験を進め、次の目標値を達成できるような最適運転条件を決定する。【目標値】ガス化炉の安定性:8時間以上の連続運転可能;ガス化炉の温度推移:900±50℃;生成ガス低位発熱量:4.0 MJ/Nm3以上;タール発生量:100 mg/Nm3以下;ガス化効率:80%以上基礎試験終了後は熱電併給実証試験(24時間連続稼働)を行い、実際の発電効率と熱効率を求める。発電装置にはCOも発電可能な固体酸化物型燃料電池(SOFC)を用いて行い、熱供給はSOFCで発生する熱から温水を製造することにする。なお、出力規模0.25-0.75 kWe級のSOFC(電力消費量6-18 kWh/(日・世帯)を24時間で賄うと仮定)は国内の大学・研究機関から提供を受ける予定であり、本システムに適したSOFCを制作可能な研究グループに協力を要請する。本試験で得られた結果、装置導入に関わるライサイクル分析、さらには実用化への課題等を整理し、提案システムの実現性を明らかにする。 得られた成果については学会での口頭発表や国際誌へ投稿し発表する。
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