研究課題/領域番号 |
23K23744
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補助金の研究課題番号 |
22H02479 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41050:環境農学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
眞家 永光 北里大学, 獣医学部, 准教授 (00453514)
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研究分担者 |
中山 奈津子 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産技術研究所(廿日市), 主任研究員 (20612675)
静 一徳 地方独立行政法人青森県産業技術センター, 水産部門, 主任研究員 (50753307)
池永 誠 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (70511822)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2022年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
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キーワード | 2-MIB / カビ臭 / 発生予測 / 発生防除 / ファージ / 水環境修復 / 微生物生態 / ファージレメディエーション |
研究開始時の研究の概要 |
この研究は,富栄養湖における異臭味被害抑止対策を新たに提案するものです。世界中の湖沼等で,シアノバクテリアが産生する2-メチルイソボルネオール(2-MIB)によるカビ臭被害が生じています。そこで本研究では,2-MIB被害が頻発している汽水湖において,2-MIB産生菌の種類や動態を明らかにします.そして,水質や気象などの環境因子を用いて2-MIB発生を定量的に予測するモデルを構築します。その上で,2-MIB産生菌を溶菌するバクテリオファージを活用し,2-MIB産生菌の増殖を抑制する生物学的防除技術「ファージレメディエーション」を開発します。
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研究実績の概要 |
■小川原湖では,2-MIBが発生する時期はPseudanabaenaが優占するが,2-MIBを産生するのはその一部の種に限られ,種構成も年によって変化する.そこで2-MIB産生種を解明するため,2-MIB構成遺伝子(cnbA,mic,mtf,cnbB)の配列を精査し,2-MIB産生種の網羅的菌叢解析を行うためのプライマー設計を試みた.結果,cnbBとmicの両方で,菌叢解析を行うプライマーが設計可能であった.また,小川原湖の環境DNAでPCRを行った結果,目的の位置に増幅産物が確認され,菌叢解析に適用可能と判断した. ■小川原湖における2-MIBの発生を定量的に予測するための基礎データとして,水質(栄養塩類および有機物関連項目,水温,溶存酸素濃度等)および2-MIB産生Pseudanabaena密度の経時変化データを,毎月のモニタリング調査から蓄積した. ■2-MIB産生シアノバクテリアは底質で増殖し,水中への供給源となっていると考えられる.そこで,2-MIB産生シアノバクテリアが増殖しやすい底質環境を明らかにするため,小川原湖全域にわたるサーベイ調査を9月に実施した.今後,2-MIB産生Pseudanabaena密度と底質の化学的性質との関連を明らかにしていく予定であるが,今年度の調査から,水深12m以下の地点の底質は還元的になっており硫化水素が高い濃度で存在することが示された. ■小川原湖内で異なる時期に採取した湖水と泥から,シアノバクテリア株A1F1-4, A1F1-26に感染するファージ探索を行った.まず,今年度は,効率的なスクリーニングを行うことを目的に,培養株の生育状況を寒天培地と液体培地で比較したところ,0.5~0.7%寒天培地が効果的であることがわかった.一次スクリーニング後に培養液が透明化したものについて,再現性のチェックを兼ねて精製を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2-MIB産生種の網羅的菌叢解析を行うために必要なプライマーを,予定通り設計することができた.また,毎月のモニタリング調査も予定通り進行しており,データおよび試料を順調に蓄積している.また,2-MIB産生菌に感染するファージの探索も大きなトラブルなく進行している.以上のことから,本研究は,おおむね順調に進展している,と判断された.
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今後の研究の推進方策 |
■2-MIB産生シアノバクテリアの菌叢解析■ 定期的に採取した小川原湖水中の微生物を集菌し,DNAの抽出を行う.2022年度に選抜したプライマーを用いて,mic遺伝子を増幅し,次世代シークエンス(NGS)によりmic遺伝子を網羅的に解析する.これより,2-MIB産生菌の構成比を菌株レベルで整理し,地理的・経時的動態を明らかにする.同時に,DNA解析(菌の存在)とRNA解析(菌の活性)の結果を比較し,2-MIBを産生している主要な菌株を明らかにする. ■小川原湖の水質および2-MIB産生シアノバクテリア密度のモニタリング■ 2022年度に引き続き,小川原湖の2-MIB産生菌の量的動態をmic遺伝子の定量PCRにより解析するとともに,水質環境を定期的にモニタリングする.さらに,小川原湖内の2-MIB産生菌株を単離してコレクションを拡充し,NGSの結果を基に,2-MIB産生寄与率が高い産生菌株を選抜する. ■ファージコレクションの拡充,ファージの性状解析,ファージ感染が2-MIB産生菌の増殖へ及ぼす影響評価■ 2022年度に引き続き異なる時期・地点より採取した湖水や底質中からファージを分離・精製する.得られたファージの形態学的特徴と遺伝的特徴を明らかにする.同定したファージ株を2-MIB産生菌株に接種し,ファージ感染時の2-MIB産生菌の増殖特性を把握する.■ファージ密度の高いエリアの探索および試料の採取■ ファージを高密度に含有する試料を採取し,各種検証試験を行うため,小川原湖内の2-MIB産生菌高密度水域(即ち,ファージ高密度水域)を探索し,採取する.
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