研究課題/領域番号 |
23K23749
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補助金の研究課題番号 |
22H02484 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分41050:環境農学関連
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研究機関 | 国土技術政策総合研究所 (2024) 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 (2022-2023) |
研究代表者 |
藤井 彩子 国土技術政策総合研究所, 上下水道研究部, 研究官 (40896172)
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研究分担者 |
和木 美代子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 上級研究員 (10355092)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2025年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
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キーワード | リン回収技術 / 養豚排水 / MAP / HAP / リン酸マグネシウムアンモニウム / ヒドロキシアパタイト / リン回収 |
研究開始時の研究の概要 |
我が国はリンを輸入に依存している。一方、環境水中に放出されたリンは水質汚濁や温室効果ガス増加の一因となっている。 下水処理では専門家の維持・管理付きリン回収技術が確立されているが、養豚排水は個々の養豚農家が維持・管理をする必要があり劇薬を使わず手頃な価格の装置であることが普及に必須で、その技術はまだ確立されていない。 また、養豚排水はリンを多量に含んでおり、これを塩基性にすることで純度の高いリン結晶を回収できる可能性が高いので、養豚排水からのリンの析出化に最適な資材の組み合わせや手法を開発し、効率的にリンの資源化と排水中のリン濃度を水質基準値以下にすることを目指す。
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研究実績の概要 |
R4年度試験に用いた養豚排水の活性汚泥処理(4サンプル)のリン、アンモニア、マグネシウム、カルシウム濃度を模した合成排水を作成し、NaOHを用いてpHを9にした場合の結晶化によるリンの減少量を比較した。その結果、リンの減少量は合成排水のほうが実排水に比べて1.1倍から5.3倍高い結果が得られ、その差は実排水中の炭酸塩濃度が高い程、顕著であった。そのため、炭酸塩濃度を考慮した合成排水を試作した。 実排水の中で最もリン濃度の高かった汚水を模した合成排水を用いて、連続式リアクターを運転した(Step2)。R4年度の試験結果で有望視された水酸化カルシウムを用いてpHを9に調整し、HRT 0.95日の条件下で運転した結果、流入水の全リン濃度は31mg/L、処理水の全リン濃度は12mg/L であり、全リン濃度の低下は見られた。 R5年度中は、水質汚濁防止法生活環境項目の一律排水基準(平均8mg/L)を満たすには至らなかったが、R6年度は、合成培地を用いたバッチ試験による再確認や、リアクターの運転手段の再検討を行い、一律排水基準の達成を目指す。 また、上記と並行して、アルカリ性資材として各種バイオ炭を用い、固液分離後(活性汚泥処理前)の養豚排水pHを上昇させる手法についても検討してきた(Step1)。これまでに、バイオ炭を用いて養豚排水のpHを9程度まで上昇・維持させる手法を見いだした。またこの際、バイオ炭の使用により栄養塩類が回収されていることも確認している。R6年度は早急にラボスケールの装置化を行い(Step2)、本手法での栄養塩類回収効率向上に向けた最適な運転条件の確立を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
養豚排水からのリン除去技術の開発におけるHAP回収としては、R4年までに複数の活性汚泥処理後の養豚排水を入手し、リン除去を目的とした析出条件検討(Step1)を行った。曝気、アルカリ資材の添加等を検討した結果、炭酸カルシウムをpH上昇資材として選択した。養豚排水の活性汚泥処理水について、実排水は防疫上の理由で大量入手が難しいことから、R4年度に試験した養豚排水の濃度を参考にした合成排水の調整を試み、pH上昇によるリン除去性能の違いを比較して、炭酸塩濃度を考慮する必要性を明らかにした。その後、炭酸カルシウムをpH上昇資材として、合成排水を用いて連続式ラボスケールリアクターの運転を行った(Step2)。運転の結果、全リン濃度の水質汚濁防止法生活環境項目の一律排水基準(平均8mg/L)を満たすには至らなかったが、大きく減少できたことから、R6年度は連続式リアクターの運転条件を精査し、リン除去性能の改善を目指す。 また、MAP回収としては、アルカリ性資材として各種バイオ炭を用いて、固液分離後(活性汚泥処理前)の養豚排水pHを上昇させる手法を検討してきたが(Step1)、多数の手法検討・反応試験からバイオ炭を用いて養豚排水のpHを9程度まで上昇・維持させる手法を見いだしている。今後の試験継続によって、さらに確かな技術とすることを目指す。
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今後の研究の推進方策 |
HAP回収として、R5年度は養豚排水の実排水を模した合成培地を用いて、ラボスケールリアクターを運転した。その結果、全リン濃度の減少は確認できたものの、水質汚濁防止法の一律排水基準を満たすことは出来なかった。原因として、連続運転による大気中二酸化炭素混入による結晶化の阻害や、生成した結晶の分離の不調などが考えられた。R6年度は、合成培地を用いたバッチ試験によるリン除去性能の再確認や、リアクターにおける水酸化カルシウム添加方法の検討などを行い、リン除去処理後の一律排水基準の達成を目指す。 MAP回収として、これまでアルカリ性資材として各種バイオ炭を用い、固液分離後(活性汚泥処理前)の養豚排水pHを上昇させる手法を検討してきた。R6年度は早急にラボスケールの装置化を行い(Step2)、本手法での栄養塩類回収効率向上に向けた最適な運転条件の確立を行う。
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