研究課題/領域番号 |
23K23756
|
補助金の研究課題番号 |
22H02491 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42010:動物生産科学関連
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 正寛 東北大学, 農学研究科, 教授 (70370658)
|
研究分担者 |
齋藤 ゆり子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 研究員 (20885024)
小川 伸一郎 京都大学, 農学研究科, 助教 (50804192)
西浦 明子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 主任研究員 (90602037)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
9,620千円 (直接経費: 7,400千円、間接経費: 2,220千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
|
キーワード | 制限付き選抜 / 改良目標 / 遺伝的パラメーター |
研究開始時の研究の概要 |
改良したい複数の形質の中に、集団平均が最適値に達している形質、経済性が評価できない形質、形質に改良目標値を設定する場合等には、制限付き選抜法によって遺伝的能力を評価する。 本研究では、現在用いられている制限付き選抜法の改良型を考案し、その予測精度を検証する。また、離乳前の形質のように母性遺伝が関与する形質において、改良型制限付き選抜法の利用可能性について検討する。これらの検証は、乳牛およびブタにおける実データから推定した遺伝的パラメーター等を用い、コンピュータシミュレーションにより行う。さらに、改良型制限付き選抜法の汎用プログラムを開発し、育種現場への普及を図る。
|
研究実績の概要 |
改良したい複数の形質(改良形質)の中に、①集団平均が最適値に達している形質(産卵鶏の卵重等)、②経済性が評価できない形質(体型等)、③比率の形質(飼料要求率等)を含む場合や、④改良形質に改良目標値を設定する場合(ブタの系統造成等)、改良形質の総合的な遺伝的能力は、制限付き総合育種価(RABV)の推定値によって評価される。RABVの推定法は「制限付き選抜法」とよばれ、制限付きBLUP法などが育種現場で用いられている。しかし、これらの方法は汎用性に乏しく、より優れたRABVの推定法が必要とされている。そこで本研究では、既存の制限付き選抜法に代わる汎用性の高い新たな制限付き選抜法を開発する。また、乳牛およびブタの実データから推定した遺伝的パラメーターを用いて、本研究で開発した選抜法の有効性をシミュレーションにより検証するとともに、その汎用プログラムを作成し、開発した制限付き選抜法の育種現場への普及を図る。 本年度は、新たな制限付き選抜法として、現在用いられている制限付き選抜法(FSI+BLUP法)の改良型を考案した。この方法は、集団内における選抜候補個体のすべての血縁個体の形質の記録と相対希望改良量(現集団平均の改良目標値からの偏差の比)から選抜候補個体ごとに改良形質の重み付け値を求め、RABVを推定する方法である。また、この理論を検証するため、様々な仮想の遺伝的パラメーターを用いて形質および血統データを発生させるモンテ・カルロ法によるシミュレーションプログラムを作成した。今後、このプログラムを用いて新たな理論の有効性についてより詳細な検証を進める。 また、乳牛およびブタの遺伝的パラメーターを用いた理論の検証を行うため、入手した実データにより、乳牛では乳量、乳成分量、乳成分率等、ブタでは一日平均増体重、生存産子数、離乳時生存率等の形質に対する適切な分析モデルを構築中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の達成度は、ほぼ当初の計画通り順調である。本年度は、新たな制限付き選抜法として、現在用いられている制限付き選抜法(FSI+BLUP法)の改良型を考案した。また、様々な仮想の遺伝的パラメーターを用いて形質および血統データを発生させるモンテ・カルロ法によるシミュレーションプログラムを作成し、本研究で開発した制限付き選抜法が、従来の方法よりも制限付き育種価の推定精度が高いと考えられることが明らかとなった。今回開発した制限付き選抜法は、わが国において行われているブタの系統造成に応用可能である。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は、制限付きBLUP法の改良型として、制限付きBLUP法において制限を付加する個体を選抜候補個体に限定し、制限付き混合モデル方程式を構築してRABVを推定した場合の、育種価の制限付きBLUPの精度について検証する。 次に、複数の変量効果を含む制限付き選抜法の検証として、離乳前の形質のように母性遺伝効果を含むモデルにおける制限付き選抜法の検証を行う。すなわち、遺伝モデルに複数の変量効果を含む遺伝効果に対する制限付加の可能性と、それが可能な場合、新たに開発した制限付き選抜法の有効性を検証する。 さらに、乳牛およびブタにおける実データから分析モデルを構築し、遺伝的パラメーター等を推定し、これらの遺伝的パラメーターを用いて制限付き選抜法の有効性を検証する。
|