研究課題/領域番号 |
23K23757
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補助金の研究課題番号 |
22H02492 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42010:動物生産科学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
上本 吉伸 東北大学, 農学研究科, 准教授 (50606837)
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研究分担者 |
北澤 春樹 東北大学, 農学研究科, 教授 (10204885)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,810千円 (直接経費: 13,700千円、間接経費: 4,110千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2022年度: 10,790千円 (直接経費: 8,300千円、間接経費: 2,490千円)
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キーワード | 腸内細菌叢 / ブタ育種 / 予測モデル / Microbiability / 遺伝率 / ブタ / SNP / ホストジェネティクス |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、ブタにおける産肉形質の改良速度を高めるため、宿主のゲノム情報と腸内細菌叢の情報を組み込んだ新たな育種価予測モデルを開発し、腸内細菌叢と家畜育種学を融合した新規ブタ育種基盤を構築する。本研究では、民間育種会社で飼養されているデュロック種集団約1000頭について、産肉形質の表現型値、糞便サンプル、および、DNAサンプルを収集する。そして、糞便サンプルからは腸内細菌叢組成、DNAサンプルからは高密度SNPチップを用いてSNP遺伝子型を測定する。これら情報を用い、一日平均増体重などの産肉形質について、SNP情報とともに腸内細菌叢の情報を学習用データとした育種価予測モデルを開発する。
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研究実績の概要 |
本研究では、ブタにおける産肉形質の改良速度を高めるため、宿主のゲノム情報と腸内細菌叢の情報を組み込んだ新たな育種価予測モデルを開発し、腸内細菌叢と家畜育種学を融合した新規ブタ育種基盤を構築することを目的としている。本研究では、三元交雑豚の止め雄として利用されるデュロック純粋種を対象に、最終的に約1000頭のサンプルを用いた解析を目標としている。 2023年度では、解析に必要なサンプル収集を図ることが主な課題であり、産肉形質の記録、SNP遺伝子型判定用のDNAサンプルの収集、菌叢解析用の糞便サンプルの収集を行った。糞便サンプルは、直接能力検定修了時にサンプリングを行い、1300頭以上のサンプルが得られた。このうち1039頭について、得られた糞便サンプルから細菌DNAを抽出し、次世代シークエンサー解析により16S rRNA遺伝子可変領域の遺伝子配列を解読することで腸内細菌叢の遺伝的組成を明らかにした。これにより、1000頭の目標を達成した。 その後、得られたデータを用いて遺伝解析を実施し、ホストジェネティクス、産肉形質、腸内細菌叢間の関係を調査した。まずは、ホストジェネティクスと腸内細菌叢が産肉形質に与える寄与であるMicrobiabilityを推定した。一日平均増体重では、遺伝子配列の類似性でグルーピングしたASVを菌叢情報として用いた場合、遺伝率が0.36でありMicrobiabilityは0.22と中程度の値が推定された。一方、遺伝子配列をデータベースに参照することで菌属分類した菌叢情報を用いた場合、遺伝率が0.40でありMicrobiabilityは0.08と低い値が推定された。この結果、ASVの方が一日平均増体重に寄与することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、約1000頭のデータを用いた解析を目標としている。2023年度までに1039頭のサンプルを収集し、糞便サンプルを用いた菌叢解析を実施し、各個体の菌叢データを得た。そのため、サンプル収集は目標を達成できていると判断している。これら菌叢データを用いた統計解析を実施し、産肉形質におけるMicrobiabilityを推定できたことから、当初計画していた計画を十分に達成している。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度では、この約1000頭のサンプルについて、高密度SNPチップを用いたSNP遺伝子型判定を行い、宿主のゲノム情報を収集する。次に、これら必要なデータセットが得られ次第、遺伝解析を実施し、ホストジェネティクス、産肉形質、腸内細菌叢間の関係を明らかにする。また、SNP情報と腸内細菌叢の情報を用いた場合の表現型値の予測精度を検証することで、これら情報が選抜に有効かを検証する。予測モデルの作成には、GBLUP法を応用した手法を用いるとともに、機械学習・深層学習で用いられる各種教師あり学習も用いる。モデルの予測精度評価は、クロスバリデーションにより実施する。また、これら予測モデルの開発に必要な一連の解析用ソフトウェアをR、Python、fortranなどのプログラミング言語により開発する。これにより、SNP遺伝子型と腸内細菌叢を学習データとした新たな育種価予測モデルを開発する。
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