研究課題/領域番号 |
23K23793
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補助金の研究課題番号 |
22H02528 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42030:動物生命科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伯野 史彦 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (30282700)
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研究分担者 |
高橋 伸一郎 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (00197146)
米山 鷹介 東京医科歯科大学, 統合研究機構, 助教 (10748289)
片岡 直行 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (60346062)
増田 正人 東洋大学, 総合情報学部, 准教授 (60708543)
西 宏起 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任研究員 (90845653)
山中 大介 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (10553266)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2022年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
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キーワード | エネルギー分配 / オルニチン / 脂質代謝 / 代謝制御性アミノ酸シグナル / オルニチンシグナル / 糖脂質代謝 / 選択的スプライシング / アミノ酸 / アミノ酸シグナル / 糖代謝 / 細胞内情報伝達経路 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者らは食餌中に含まれるアミノ酸量を制限すると、肝臓にグリコ ーゲン・中性脂肪が蓄積することを明らかにした。また、アミノ酸制限食にオルニチンを添加すると、肝臓の糖産生・脂質分泌が誘導され脂肪肝やグリコーゲン蓄積が抑制されたため、「オルニチンはタンパク質栄養状態の変化に応答して、糖脂質代謝を切り替える代謝スイッチ分子である」可能性を示していた。そこで本研究では、オルニチンが代謝関連遺伝子の転写を誘導する新規情報伝達経路を、培養細胞を用いて分子レベルで解明し、肝オルガノイドやマウスを用いて、生体内で オルニチンが糖脂質代謝を切り替える『代謝スイッチ分子』であることを証明する。
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研究実績の概要 |
これまで低タンパク食または低アルギニン食を給餌したラットで脂肪肝形成が誘導されることを明らかにしてきた。さらに、低タンパク質食給餌ラットでは新規脂質合成が促進されることによって脂肪が蓄積するが、低アルギニン食を給餌したラットでは肝臓からのVLDLの分泌が抑制されることによって脂肪肝が形成されることを示した。昨年度は、VLDLの構成分子であるアポリポタンパク質の発現を誘導するアミノ酸としてオルニチンを同定することに成功した。さらに、オルニチンを低アルギニン食に添加すると低アルギニン食給餌によって誘導された脂肪肝形成が完全に抑制された。しかし、オルニチンを腹腔内に投与しても低アルギニン食で誘導される脂肪肝形成を抑制できないことから、腸内細菌叢や小腸細胞を介して、オルニチンがVLDL分泌を促進していると考えられた。そこで本年度は、まず、低アルギニン食または低アルギニン食にオルニチンを添加した食餌を給餌したラットの門脈血のメタボローム解析を行った。その結果、腸内細菌叢で合成される二次胆汁酸の量が低アルギニン食給餌で増加し、オルニチンの添加で抑制された。そのため、胆汁酸の吸着剤を添加して脂肪肝形成を調べたが、残念ながら胆汁酸の関与は認められなかった。また、抗生物質を多量に投与して腸内細菌叢を除去したのちに脂肪肝形成を観察したが、腸内細菌叢の関与も認められなかった。今後は一部の特徴的な胆汁酸が脂肪肝抑制に関与している可能性を考えて、研究を進めていきたい。次に腸管組織において、低アルギニン食給餌やオルニチンの添加によって発現が変化する分泌タンパク質の探索を行った。その結果、多くの分泌タンパク質の遺伝子発現が変化していることを明らかにした。今後はこれらのタンパク質の発現を制御することによって脂肪肝形成に関与していることを証明したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オルニチンによって脂肪肝が抑制されるメカニズム解明のためにメタボローム解析を行って胆汁酸の関与を予想した。現在までのところ胆汁酸の関与は証明されていないが、新たに小腸の組織から分泌されるホルモンの発現がオルニチン摂取によって大きく変動することがわかってきた。このように様々な候補遺伝子やメタボライトの単理に成功しており、順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
低アルギニン食給餌やオルニチンの添加によって小腸において発現量が変化する分泌タンパク質遺伝子の単離に成功している。今後はアデノ随伴ウイルスを用いて小腸における分泌タンパク質の発現を抑制して、脂肪肝形成への関与を証明していく。
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