研究課題/領域番号 |
23K23796
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補助金の研究課題番号 |
22H02531 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42030:動物生命科学関連
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
今村 拓也 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 教授 (90390682)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,550千円 (直接経費: 13,500千円、間接経費: 4,050千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2022年度: 7,410千円 (直接経費: 5,700千円、間接経費: 1,710千円)
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キーワード | ノンコーディングRNA / 大脳 / 進化 / エピゲノム / 神経幹細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトをヒトたらしめる因子として、ヒト特異的なタンパク質とそれをコードする遺伝子の機能解析がよく進行してきた。これに対し、タンパク質に変換されないいわゆるヒト特異的ノンコーディングRNAが遺伝子の10倍以上存在することから、本研究ではそれらの機能性を多階層にわたって包括的に明らかにすることで、動物種に固有のネットワークモジュール群を解明し、新しい実験動物提供等の応用基盤創出に繋いでいく。
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研究実績の概要 |
獣医学・畜産学領域ではさまざまな動物を取り扱うため、個体や臓器の高度な活用や疾病治療に向けては、種にしたがったロジックの違いをよく理解するための動物生命科学を発展させる必要がある。本研究では、ヒト・非ヒト霊長類・マウスを分ける分子群、特に種特異的ノンコーディングRNAに着目し、細胞の時空間相互作用を通じてほ乳類脳の形態・機能を変遷させてきた礎を明らかにする。本年度は、ほ乳類脳機能発達を支える神経幹細胞におけるエピジェネティック制御の種差形成がRNA分子により駆動されることを明らかにした。まず、膜タンパク質遺伝子に焦点を絞った解析を進行し、マウスに比較してヒトで顕著に高発現するTMEM25とCD63という鍵分子とそれぞれのノンコーディングRNA(ncRNA)とのペアを得た。TMEM25遺伝子の場合、ヒト特異的なncRNAが進化的に獲得されており、細胞膜タンパク質として神経幹細胞増殖に機能することで大脳皮質の拡大に寄与することを発見した。また、CD63遺伝子については、エクソソームのマーカー分子をコードしていたため、その発現種差情報がエクソソームを介して隣接細胞に伝わることでトランスクリプトームを同期させる協調効果をもたらしうるかを検討した。その結果、1) CD63遺伝子プロモーターにもヒト特異的なncRNA (pancRNA)が進化的に獲得されており、ヒト特異的CD63遺伝子発現活性化に機能すること、2) CD63のノックダウン・強制発現がそれぞれ神経幹細胞の増殖抑制・促進に機能すること、3) CD63強制発現した神経幹細胞由来エクソソームの胎仔大脳への脳室投与により中間前駆細胞が顕著に増加すること、を明らかにした。TMEM25に関する成果に関しては2023年に出版し (An et al., FEBS Lett, 2023)、CD63に関する成果についても投稿準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
種特異的ncRNAパートナー遺伝子であるTMEM25を解析する過程で、この遺伝子を基点とする細胞内シグナルカスケードの下流に別のヒト特異的遺伝子でありミトコンドリアの膜透過性制御因子であるARHGAP11Bが位置していることがわかった。大脳において、「ヒト特異的ncRNA獲得→種で共通な遺伝子の発現調節の高度化(エピゲノム変化)→ヒト特異的遺伝子産物の機能修飾」メカニズムが機能する、ncRNAと遺伝子の協調進化のさまが見えてきたのである。この成果はconservation=重要、という従来概念から脱却し、数多のnon-conservationから同様に重要性を見出すための道筋になると考えており、次年度には「動物種特異的遺伝子 x 動物種特異的ncRNA」のシナジーの意義解明にチャレンジしていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
本年度までの知見をベースに、エピゲノムを種分化させうるゲノムエレメント候補を順次マウス脳オルガノイドに賦与する研究を効率的に推進し、各臓器における細胞の振る舞いを定量化する(ncRNA獲得様式の定量化)。また、定量情報を機械学習を含む統合解析に供与し、遺伝子発現の調整と細胞の振る舞い変化の効果が様々な階層に敷衍していくさまを、進化の「素子」と「ネットワーク」レベルで体系的に解明する(定式化)。さらに、公共のデータベース由来のゲノム配列情報など、利用可能な全情報を紐づけて、各現象を特徴づける遺伝子発現量と遺伝子配列から構成される特徴量を抽出し、各現象を規定しうる細胞状態を表すベクトルを得てゆく方針である。
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