研究課題/領域番号 |
23K23797
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補助金の研究課題番号 |
22H02532 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42030:動物生命科学関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
永松 剛 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (70453545)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
15,990千円 (直接経費: 12,300千円、間接経費: 3,690千円)
2024年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2022年度: 5,330千円 (直接経費: 4,100千円、間接経費: 1,230千円)
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キーワード | 生殖細胞 / 原始卵胞 / 休眠 / 圧力刺激 / リン酸化 / 物理ストレス / 活性化 |
研究開始時の研究の概要 |
生殖細胞は遺伝情報を次世代につなぐ唯一の細胞であり、特に卵子は個体発生に中心的な役割を担う重要な細胞である。卵子の元となる卵母細胞は始原生殖細胞を起源とし、胎生期に減数分裂に入るため、出生後は限られた数の卵母細胞を原始卵胞として維持しながら一部を活性化させることで生殖期間を維持している。そのため加齢に伴い卵母細胞そのものの数が減ってしまう。原始卵胞の休止と成熟開始のバランスは雌の生殖能力を決定する上で極めて重要であるが、そのバランスを制御するメカニズムは不明な点が多い。本研究は卵巣組織における環境要因という新しい視点からこのバランスを決定するメカニズムに迫る。
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研究実績の概要 |
これまでに圧縮圧力に反応して転写因子FOXO3が卵母細胞内で局在を変化させていることを見出し、SCFによって誘導されるcKitの719番目のチロシン残基リン酸化が圧縮圧力によって抑制されることを明らかとしている。すなわち圧縮圧力は卵母細胞に直接作用しcKitのリン酸化を調節することで静止期維持に働いていることが示唆される。これまでに組織内の卵母細胞の免疫染色においてcKitが細胞室内で凝集している像が観察されることがあったがその意味はわかっていなかった。圧縮圧力の作用によって細胞表面のcKitが細胞内に凝集するのではないかと仮説を立てその検証を試みた。まず圧縮圧力を作用させることで細胞質のc-Kitの凝集が増加するのかを解析したところ、圧縮圧力により卵母細胞内でc-Kitの凝集量が増加することが明らかとなった。この際にcKitの可視化は蛍光ラベルの抗体で行っており、圧縮圧力の作用前に染色している。そのため圧縮圧力による細胞質のcKitの凝集量の増加は細胞表面のcKitが移動したものと考えられる。次に、エピトープの異なる2種類のcKit抗体を用いて圧縮圧力を作用させる前後で2つ目の抗体を作用させるという実験を行ったところ、圧縮圧力作用後に抗体を作用させた場合には細胞表面のcKitは染色されるものの、細胞質の凝集したcKitは染色されないことが明らかとなった。これらのことから圧縮圧力はcKitの細胞表面から細胞質への移動と凝集体の形成を促すことで細胞外からのSCFとの結合を阻害しシグナルを抑制していることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
圧力の作用点についてcKitの細胞質への移動と凝集によるリン酸化制御であることを明らかにしたものの、ライブイメージングの構築により卵母細胞の反応をリアルタイムで観察することはできていない。また、生体内において圧力値を測定する為のFC-70やTension Sensorについても構築中である。
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今後の研究の推進方策 |
卵母細胞が圧力に反応する様をリアルタイムで観察するのみならず生体内の圧力値を測定する為のTension sensorのキャリブレーションにも必要な為、本年度は加圧ライブイメージングの構築を集中的に行う。さらにライブイメージングの活用により圧力により調節されるcKitの局在変化について観察を行う。
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