研究課題/領域番号 |
23K23802
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補助金の研究課題番号 |
22H02537 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分42040:実験動物学関連
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
堀居 拓郎 群馬大学, 生体調節研究所, 准教授 (00361387)
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研究分担者 |
森田 純代 群馬大学, 生体調節研究所, 助教 (40589264)
安部 由美子 群馬医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (70261857)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
13,650千円 (直接経費: 10,500千円、間接経費: 3,150千円)
2024年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
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キーワード | エピゲノム編集 / メチル化 / DNAメチル化 / dCas9 / プラダー・ウィリー症候群 |
研究開始時の研究の概要 |
DNAメチル化をはじめとするエピジェネティック修飾は、遺伝子発現や染色体構造を制御し、その破綻は様々な疾病を引き起こすと考えられる。本研究ではDNAメチル基転移酵素であるDnmt3aやDnmt3b、補因子であるDnmt3lやKRABなどをマウス初期胚で共発現することにより、安定したメチル化編集法を確立する。また、この方法を用いて、Snrpn遺伝子のDNAメチル化可変領域(DMR)が過剰にメチル化される疾患であるプラダー・ウィリー症候群(PWS)モデルマウスの作製を試みる。PWSの患者では過食、肥満、糖尿などの症状が見られるが、樹立したモデルマウスでも表現型を再現することができるのか検証する。
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研究実績の概要 |
DNAメチル化をはじめとするエピジェネティック修飾は、遺伝子発現や染色体構造を制御し、その破綻は様々な疾病を引き起こすと考えられる。これまでに我々は高効率エピゲノム編集法を開発し(Nat Biotechnol 2016)、標的領域のDNA脱メチル化により、インプリンティング疾患であるシルバー・ラッセル症候群のエピゲノム編集モデルマウスの作製に成功した(Genome Biol 2020)。一方、DNAの過剰メチル化による疾患モデル動物の報告はまだない。その原因として、導入したDNAの過剰メチル化状態を個体で維持することが難しい点が挙げられる。令和4年度は、DNAメチル基転移酵素であるDnmt3aやDnmt3bに加え、補因子であるDnmt3lやKRABなどをマウス初期胚で共発現することにより、安定したメチル化編集法を確立することを試みた。Dnmt3aまたはDnmt3b単独による過剰メチル化導入では、数日でメチル化状態が元に戻ってしまうことから、補因子であるDnmt3lやKRABの共発現によりエピゲノム編集状態が長期間維持されるのか検討した。過剰メチル化の標的として、PWSの原因領域と考えられているSnrpn-DMRを選択した。マウスES細胞に、エピゲノム編集の最小単位であるdCas9-SunTagとscFv-Dnmt3b、Snrpn-DMRに対するgRNA(6種類)の発現ベクターに加え、Dnmt3lおよびKRAB強制発現ベクターをトランスフェクションし共発現させた。1ヶ月間継代培養したところ、Dnmt3bとKRABを組み合わせた場合に、最も安定的にDNAメチル化が維持された。Dnmt3b単独またはKRAB単独では十分なメチル化導入と維持を行うことができなかった。一方、Dnmt3lはDNAメチル化の長期維持に必ずしも必要な因子ではなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書で計画した研究を全て予定どおり遂行できたため、この評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に検討したうち、最も効果的かつ持続的にメチル化状態を維持できる発現ベクターの組み合わせを使って、モデルマウス作製を行う。発生工学的手法として、下記3法を予定している。 ①トランスジェニック(TG)マウスの作製と胎子期のDNAメチル化解析:各種エピゲノム編集ベクターを線状化あるいは環状のまま受精卵の前核に注入し、エピゲノム編集胚を作製する。処理胚を偽妊娠マウスの卵管に移植し、妊娠中期(妊娠12.5日前後を予定)に回収する。胎子のメチル化解析を行い、Snrpn-DMRの過剰メチル化の維持とそれに伴う発現異常が惹起されているのか確認する。 ②4倍体補完によるES由来個体の作製と胎子期のDNAメチル化解析:過剰メチル化させたES細胞を4倍体の宿主胚(胚盤胞)に注入し、キメラ胚を作製する。キメラ胚を偽妊娠マウスの子宮に移植し、妊娠中期(妊娠12.5日前後を予定)に回収する。4倍体補完法では、宿主胚は胎盤としてのみ寄与するため、得られる胎子はほぼ完全にES細胞由来細胞からなる。胎子のメチル化解析を行い、Snrpn-DMRの過剰メチル化の維持とそれに伴う発現異常が惹起されているのか確認する。 ③キメラマウスの作製と胎子期のDNAメチル化解析:過剰メチル化させたES細胞を宿主胚(胚盤胞)に注入し、キメラ胚を作製する。キメラ胚を偽妊娠マウスの子宮に移植し、妊娠中期(妊娠12.5日前後を予定)に回収する。回収した胎子をトリプシン消化し、繊維芽細胞(MEF)を作製する。フローサイトメーター(FACSAriaII)を用いて、ES由来細胞の寄与率の測定とソーティングを行う。ES由来細胞についてメチル化解析を行い、Snrpn-DMRの過剰メチル化の維持とそれに伴う発現異常が惹起されているのか確認する。
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