研究課題/領域番号 |
23K23814
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補助金の研究課題番号 |
22H02550 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43010:分子生物学関連
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
村山 泰斗 国立遺伝学研究所, 遺伝メカニズム研究系, 准教授 (60531663)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2023年度: 6,760千円 (直接経費: 5,200千円、間接経費: 1,560千円)
2022年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | 姉妹染色分体間接着 / 染色体分配 / コヒーシン / 生化学 |
研究開始時の研究の概要 |
遺伝情報の担体である染色体は正確に複製され、過不足なく次世代の細胞へと分配される。DNA複製により生じる2本の染色体は、物理的に接着して核内に存在する。この接着と呼ばれる高次染色体構造は、有糸分裂における正確な染色体分配を保証し、細胞増殖に不可欠である。 接着はコヒーシンと呼ばれるリング構造のタンパク質複合体により形成される。コヒーシンはリングの中にDNAを取り込む特殊なDNA結合を介して接着を形成すると考えられているが、その分子機構は不明である。本研究は、精製タンパク質を用いて、DNA複製時におこる接着形成を試験管内で再構成し、その形成分子メカニズムの解明を目指す。
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研究実績の概要 |
細胞分裂における正確な染色体の分配は、染色体ペアの間に形成される接着構造に依拠する。コヒーシンはリング構造のATPase複合体で、リング内にDNAを通すトポロジカルDNA結合を介して接着を形成すると考えられている。接着はDNA複製の最中に形成されることが知られるが、その形成メカニズム及び接着の分子構造は未だ不明である。本研究は、精製した出芽酵母のコヒーシン及びDNA複製因子を用いて、複製に共役した接着形成過程を試験管内で再構築することで、その分子機構の解明を目指すものである。 2022年度は、コヒーシンとDNA複製反応を共役させ、その応答について詳細に解析した。まず DNA複製に対するコヒーシンの影響を調べるため、複製開始点を持つ環状の基質DNAにコヒーシンを先にローディングさせ、次に複製反応を行ったところ、複製反応そのものにコヒーシンは影響が見られなかった。この反応後、免疫沈降法でコヒーシンを回収し結合DNAを解析したところ、コヒーシンは複製が完了した産物と結合し続けていたことが判明した。改変コヒーシンを用いた解析から、複製DNAとの結合はコヒーシンのリング構造に依拠するトポロジカル結合を介することがわかった。一方で、複製反応後にコヒーシンを添加した場合は、複製DNAとの結合量は大幅に低下した。興味深いことに、出芽酵母の代わりに分裂酵母のコヒーシンを用いた場合でも、同様の結果が得られた。これらから、コヒーシンがDNAに結合し続けた状態で、DNA複製反応は開始から完了まで起こったと結論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コヒーシンとDNA複製因子を合わせ25種類以上の精製タンパク質・複合体を共役させるとことで、DNA複製に対するコヒーシンの初期応答を検出した。現状、この再構成で接着が形成されている直接証拠は得られていないものの、さらなる解析を進めることで接着形成の基本原理に迫れるものと期待される。
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今後の研究の推進方策 |
上記結果の最もシンプルな解釈は、DNAに結合するコヒーシンを超えて複製が完了したというものである。その場合、現状の再構成で複製された姉妹DNAの間で接着が形成されている可能性がある。そこで、複製DNAに結合したコヒーシンを精製し、その分子構造を高速原子間力顕微鏡により可視化する。並行して、姉妹染色分体間接着の形成に機能することが知られる複製装置結合タンパク質 (Ctf4, Csm3/Tof1, Chl1, Mrc1, Ctf18複合体, Eco1) を加え、コヒーシンに対する効果について解析を進める。
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