研究課題/領域番号 |
23K23829
|
補助金の研究課題番号 |
22H02565 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43020:構造生物化学関連
|
研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
玉田 太郎 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, 上席研究員 (50391248)
|
研究分担者 |
リントゥルオト 正美 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (10275191)
福田 庸太 大阪大学, 大学院薬学研究科, 助教 (20783179)
平野 優 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, 主幹研究員 (80710772)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
15,990千円 (直接経費: 12,300千円、間接経費: 3,690千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
|
キーワード | タンパク質 / 立体構造 / 中性子・X線 / 量子化学計算 / 窒素循環 / 中性子・X線 |
研究開始時の研究の概要 |
地球上の窒素循環中の脱窒過程において亜硝酸イオンを一酸化窒素に一電子還元する反応を触媒する銅含有亜硝酸還元酵素(CuNIR)に着目し、水素原子の直接観察に長け、無損傷状態での回折データ収集が可能な中性子を中核に据え、X線を相補的に組み合わせた構造解析を実施する。また、中性子構造解析で正確に決定した原子核位置に基づき、化学反応に直接関わる価電子を超高分解能X線構造解析で描写し、生体高分子内金属反応場の分子軌道情報を取得する。さらに、実験構造との整合性を担保した量子化学計算により各スナップショット間を補完しながらCuNIRの反応機構の全体像を映出する。
|
研究実績の概要 |
本年度は昨年度に引き続き、基質結合酸化型としてT1Cu認識に関与するシステイン残基(Cys135)をアラニンに置換したC135A変異体と基質である亜硝酸イオンとの複合状態での中性子結晶構造解析結果と量子化学計算結果の検証を行い、溶媒の誘電率の効果を考慮した計算により双方の実験結果の整合性を得ることが出来た。また、さらに触媒残基の1つであるアスパラギン酸残基(Asp98)をアスパラギンに置換したC135A/D98N変異体と亜硝酸イオンとの複合状態でのX線結晶構造解析を0.9Å分解能で実施し、亜硝酸イオンの複数の結合モードを確認した。 また、休止状態酸化型においてT2Cuに配位した水酸化物イオンの状態を再検証するために、中性子回折データ収集を室温下で実施し、1.6Å分解能程度の回折点を確認できた。現在、中性子回折データの処理を実施中である。さらに、CuNIRに電子を供与するシュードアズリン(Paz)の構造解析を室温下で収集した回折データ(中性子:1.9Å分解能、X線:1.3Å分解能)を用いて実施した。併せて低温下でのX線結晶構造解析を0.86Å分解能で行い、得られた解析結果から活性中心の銅イオン認識に関与するヒスチジン残基(His81)のアミド窒素およびプロトンがペプチド平面からずれ、同じく銅イオン認識に関与するシステイン残基(Cys78)の硫黄原子と弱いNH-S結合を形成していた。中性子構造を用いて量子化学計算を実施した結果、この弱いNH-S結合がLUMOのエネルギー準位を低下させることで、酸化還元電位を上昇させていることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
基質結合酸化型の構造解析を完了したことに加え、電子伝達パートナータンパク質の構造解析結果を論文発表することが出来た。
|
今後の研究の推進方策 |
基質結合酸化型から基質結合還元型への反応過程の検証を実験と計算の双方から行い、その成果を論文発表する。
|