研究課題/領域番号 |
23K23832
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補助金の研究課題番号 |
22H02568 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43030:機能生物化学関連
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
田村 康 山形大学, 理学部, 教授 (50631876)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
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キーワード | ミトコンドリア / 小胞体 / 液胞 / オルガネラコンタクトサイト / リン脂質 / オルガネラ / オルガネラコンタクト / 核 / NVJ |
研究開始時の研究の概要 |
我々は任意のオルガネラ間コンタクトサイトに集積するタンパク質を空間特異的にビオチン化修飾する方法,CsFiND法を独自に開発した。そこで本研究では,CsFiND法を用いて,出芽酵母やヒト培養細胞における様々なオルガネラ間コンタクトサイトに集積タンパク質を同定し,それらの因子の機能を解析することで,オルガネラ間コンタクトサイトの形成機構や生理的意義を明らかにするものである。このような研究の展開により,異なるオルガネラ同士が高度に連携しながら機能する仕組みの理解を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究ではオルガネラ膜間コンタクトサイト(Membrane Contact Site, MCS)に集積する因子を同定し,その機能解析を行うことで新たなMCSの機能を明らかにすることを目指した。これまでにMCSに集積するタンパク質を網羅的に同定する実験系を独自に開発し,この手法が実際にMCSタンパク質の同定に効果的であることを見出して論文として発表した(Fujimoto et al. Contact, 2023)。この独自の実験系を駆使することで,ヒト培養細胞の小胞体-ミトコンドリア間MCS,小胞体-リソソーム間MCSに加え,出芽酵母のミトコンドリア-液胞間,核膜-液胞間MCSに集積する因子を網羅的に同定した。現在,同定された因子の機能解析を現在進めているところであるが,これまでの顕著な成果として,出芽酵母の小胞体-ミトコンドリア間MCSを形成するERMES複合体が,ERストレスに応答して解離することで,ERからミトコンドリアへの脂質輸送を抑制し,その結果ER膜が拡大することでERストレス軽減に貢献することを見出した(Kakimoto et al., iScience, 2022)。また飢餓条件に応じて,出芽酵母の核膜-液胞間MCSが大きく拡大し,細胞内の代謝を調節することでストレスに応答することを示唆する興味深い研究結果が得られている。引き続き研究を進めることで,MCSの新しい生理機能の解明につながる研究成果が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでにER-ミトコンドリア間コンタクトサイトを形成するERMES複合体がERストレス条件下で解離し,その結果,ERからミトコンドリアへの脂質輸送を抑制することで,ERストレス軽減に重要なER膜の拡大に貢献するという新しいERストレス応答機構の解明に成功した(iScience, 2023)。また,出芽酵母における核膜ー液胞膜間コンタクトサイト(Nuclear-Vacuole Junction, NVJ)に集積する新規タンパク質を3種類同定し,その機能解析を進めた結果,NVJがグルコース飢餓時に誘導される脂肪滴の分解に貢献するという新規知見を得ることに成功した。これらの研究成果は,MCS研究だけでなく細胞生物学分野にも大きなインパクトを持つ重要な発見である。このように,MCSが関与する新しい生命現象を順調に発見できていることから,研究が概ね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は,ヒト培養細胞の小胞体-ミトコンドリア間MCS,小胞体-リソソーム間MCSに集積する因子の機能解析を更に進展させ,これらのMCSの形成機構や生理的意義の解明を目指す。また出芽酵母に関しては,グルコース飢餓時の脂肪滴の分解に,具体的にNVJのどのような機能が関与するのか,その分子メカニズムを明らかにする。さらに出芽酵母ミトコンドリア-液胞間MCSに集積する新規因子に関しても,飢餓条件でMCSへの集積が顕著になることを見出したため,引き続きこの因子の細胞ストレス応答への関係を解析していく。以上の研究により,通常状態のMCS形成機構の解明にとどまらず,ストレス条件に応答してダイナミックに変化するMCSの生理的役割を解析していくことで,ストレス条件下でさまざまなオルガネラがその機能をチューニングする分子機構の解明につなげる。
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