研究課題/領域番号 |
23K23841
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補助金の研究課題番号 |
22H02577 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分43030:機能生物化学関連
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
山野 晃史 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (30547526)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2025年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
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キーワード | オートファジー / ユビキチン / ミトコンドリア / RAB GTPase / オートファジーアダプター |
研究開始時の研究の概要 |
損傷したミトコンドリアを検知して選択的オートファジーで分解・除去すること(マイトファジー)は、品質管理の要諦である。オプティニューリン(OPTN)とNDP52はそれぞれ独立に機能するマイトファジーに必須のオートファジーアダプターであり、ユビキチンとオートファジー膜(隔離膜)を橋渡しする。本研究では、OPTNやNDP52がミトコンドリアというサイズの大きなオルガネラを効率的に隔離膜で包囲する分子機構を、それらと相互作用するキナーゼTBK1の機能と合わせて解明する。
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研究実績の概要 |
ミトコンドリアはATPを産生するオルガネラであるが、日々様々なストレスに曝されている。そのようなストレスによって損傷を受けたミトコンドリアは適切に分解・除去されなければならない。ミトコンドリア選択的オートファジー(マイトファジー)はその品質管理の中心的役割を担う。ミトコンドリア損傷の目印は外膜タンパク質のユビキチン修飾であるが、そのユビキチン修飾とオートファジーを物理的に結びつけるタンパク質がオートファジーアダプターである。哺乳類に5種類同定されているアダプターの中で、NDP52とOPTNはミトコンドリア分解に必須である。また、OPTNをリン酸化することで、マイトファジーを制御するキナーゼとしてTBK1が知られている。しかし、マイトファジーの誘導に伴って、どのようにTBK1が活性化するかは不明な点が多く残されていた。 TBK1の活性化機構を深く理解するため、まずオートファジーアダプターを遺伝的に欠損した細胞を用いることで、マイトファジーにおいてはOPTNがTBK1を活性する最も重要なアダプターであることがわかった。さらにオートファジー因子と相互作用できないOPTN変異を用いたところ、TBK1の活性化が強く抑制されることを見出した。その他の結果も含めると、OPTNはユビキチンで修飾された損傷ミトコンドリアとオートファジーの膜(隔離膜)のコンタクトサイトに集積することで、TBK1の局所的な濃度を高くし、TBK1のヘテロ自己リン酸化を誘導すると考えられた。また、筋萎縮性側索硬化症(ALS)のTBK1変異によるマイトファジーの効果を詳しく調べる実験系を構築した。さらにOPTNとRAB GTPaseの相互作用を調べる過程で、機能未知タンパク質がRABタンパク質のシャペロンであることも見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マイトファジーを誘導するとTBK1は自己リン酸化によって活性化し、哺乳類に同定されている5種類すべてのオートファジーアダプターをリン酸化する。オートファジーアダプターの遺伝子欠損細胞を利用した結果、TBK1の自己リン酸化にはOPTNが極めて重要であることを見出した。また、オートファジーと相互作用できないOPTN変異体を使用し、OPTNが損傷ミトコンドリアと隔離膜のコンタクトサイトに集積し、TBK1のヘテロ自己リン酸化を誘導していることを明らかにした。また、筋萎縮性側索硬化症(ALS)のTBK1変異によるマイトファジーの効果を詳しく調べる実験系を構築した。さらにOPTNとRAB GTPaseの相互作用に着目して研究を行うことで、予想外の結果も得られた。すなわち、当初、OPTNと相互作用してマイトファジーを駆動すると予想された機能未知タンパク質が、リボソームで合成直後のRAB7Aを可溶性に保つシャペロンであることを見出した。さらにTBK1の活性化を制御する新規アダプターについても機能解析を行い、NDP52に依存したミトコンドリア分解の分子機構についても新たな知見が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
OPTNによってTBK1が活性化する分子機構は本研究によって明らかになったが、NDP52とTBK1の機能的関連は不明なままである。また、ミトコンドリア分解以外の選択的オートファジーにおいてもTBK1の活性化が重要であることを見出しているため、今後はマイトファジーの枠に捉われず、ユビキチン依存性の選択的オートファジー全般におけるTBK1の活性化機構の解明を進めたい。また、筋萎縮性側索硬化症(ALS)のTBK1変異によるマイトファジー効果を調べる実験系を構築した。そこで、この実験系を利用して、変異によるTBK1自身のタンパク質の安定性、マイトファジーにおける自己リン酸化も含めたキナーゼ活性を測定したい。
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