研究課題/領域番号 |
23K23881
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補助金の研究課題番号 |
22H02618 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44010:細胞生物学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
池ノ内 順一 九州大学, 理学研究院, 教授 (10500051)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2022年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
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キーワード | 生体膜 / スフィンゴミエリン / コレステロール / タイトジャンクション / 微絨毛 / 上皮細胞 / 膜ドメイン / クローディン / パルミトイル化修飾 / ZO |
研究開始時の研究の概要 |
上皮細胞のアピカル膜には外界からの物質の吸収に関わる微絨毛、ラテラル膜にはタイトジャンクションなどの細胞間の接着構造が形成される。これらの固有の形態と機能を持つ細胞膜構造形成において、重要なタンパク質群の同定や機能解析は進んだ一方で、細胞膜の主たる構成成分である脂質が、どのような機能を担うのかという点については明らかになっていない。本研究では、上皮細胞特異的なスフィンゴミエリンの脂質分子種の機能解析やスフィンゴミエリンの量や形質膜への輸送を制御する分子メカニズムの解明から、上皮細胞の細胞膜構造形成において脂質の果たす役割を明らかにする。
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研究実績の概要 |
上皮細胞には、外界からの栄養吸収を担う細胞膜構造である微絨毛や上皮細胞同士の結合や情報伝達の場として機能する細胞接着装置などの細胞膜構造が存在する。近年、これらの細胞膜構造を構成する膜タンパク質の同定が進んだものの、脂質と膜タンパク質が集合体を形成し、細胞膜構造の形成に至る過程はほとんど明らかになっていない。私たちの研究室では、これらの膜構造形成において、膜タンパク質の集合・離散の制御にスフィンゴミエリンが重要な役割を果たしていることを見出した。本研究では、上皮細胞における細胞膜構造形成を可能にする細胞内でのスフィンゴミエリンの個々の分子種の機能や輸送・局在化の分子機構の解明を通して細胞膜構造の構築メカニズムの解明を目指して研究を進めている。私たちは、以前の研究でタイトジャンクションに極長鎖脂肪酸スフィンゴミエリン及びコレステロールが豊富に存在することを報告した(Shigetomi et al. J Cell Biol 2018)。しかし、これらの脂質の集積がタイトジャンクション形成に積極的に寄与しているのか、それとも、クローディンの集積によって二次的にこれらの脂質がTJ領域に集積しているのかは不明であった。そこで、今年度は、マウス乳腺由来上皮細胞のEpH4細胞を用いて、6種類のクローディンのアイソフォームをすべてノックアウトしたCld null細胞を樹立し、クローディンとは独立にコレステロールやスフィンゴミエリンが集積した膜領域が細胞接着領域に形成されることを見出し、論文に纏めた(Shigetomi et al. PNAS 2023)。また、クローディンがタイトジャンクションに集積する上で、コレステロールとスフィンゴミエリンが集積した膜ドメインがクローディンの集積を促す足場として必須の役割を果たすことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上皮細胞のタイトジャンクション形成において、コレステロールおよび極長鎖脂肪酸スフィンゴミエリンが集積した膜ドメインが、接着分子クローディンが集積する上での足場として機能することを明らかにした。また、これらの膜ドメインの形成に、裏打ちタンパク質ZOが必要であることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
細胞接着領域にコレステロールや極長鎖脂肪酸スフィンゴミエリンを集積させる分子メカニズムの解明を行う。また、極長鎖脂肪酸スフィンゴミエリンがタイトジャンクション形成において果たす役割についても解析を進める。
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