研究課題/領域番号 |
23K23901
|
補助金の研究課題番号 |
22H02638 (2022-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44020:発生生物学関連
|
研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
隈元 拓馬 公益財団法人東京都医学総合研究所, 脳・神経科学研究分野, 主席研究員 (10570880)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2026年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2025年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
|
キーワード | 神経発生 / 神経前駆細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
神経前駆細胞のサブタイプは近年急速に細分化されている。前駆細胞サブタイプの細分化に伴い、想定されうる神経前駆細胞の分化パターンは複雑化してきた。そこで脳構築原理を理解するうえで、非自律的な神経細胞分化決定メカニズムの解明は重要な課題である。本研究では、独自の遺伝ツールを用いて1-異なる前駆細胞由来の神経細胞の産生と配置パターン、2-同一クローン「内」細胞間相互作用からくる分化決定メカニズム、3-隣接クローン「間」細胞間相互作用からくる分化決定メカニズム、を解明する。これらの解析から大脳皮質構築における産生細胞数制御を行う前駆細胞分化様式を明らかにすることを目的とする。
|
研究実績の概要 |
近年、哺乳類大脳新皮質の神経前駆細胞におけるサブタイプは急速に細分化されている。前駆細胞サブタイプの細分化に伴い、想定されうる前駆細胞の分化パターンは複雑化してきた。そこで脳構築原理を理解するうえで、細胞間相互作用から生まれる「非自律的」な神経細胞分化決定メカニズムの解明は、産生細胞数の制御機構を理解する上でも重要な課題である。本研究では、1つの幹細胞から生み出される細胞群(=クローン)に着目し、代表者独自の遺伝ツールを用いて、1)異なる前駆細胞由来の神経細胞の産生と配置パターン、2)同一クローン「内」細胞間相互作用からくる分化決定メカニズム(クローン依存)、3)隣接クローン「間」細胞間相互作用からくる分化決定メカニズム(クローン非依存)、を解明するための3つの実験計画を計画した。2022年度はその中の、計画1を実施した。本実験計画においては、NestinFlpOER:Tbr2Cre:Scrambleの3つの遺伝子が挿入されたトリプルトランスジェニックマウスを用いる。このような場合、ヘテロマウス同士の交配では、3遺伝子陽性の個体を産むことが確立的に非常に難しいため、まず初めにマウスラインのホモ化に着手した。いつのラインのホモマウスを確認するのには、大変な時間を要するため、この作業に多くの時間を費やした。計画の最初の年に、scrambleのホモマウスを作製できたことは今後の研究展開に大きな意味を持つ。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
R26Scrambleマウスを使い、異なるRGC及びBP由来神経細胞のマッピングを行った。前駆細胞サブタイプであるRGCとBPの標識には、NestinFlpOER:Tbr2Creの二重KIドライバーマウス用いた。NestinはRGC由来の、Tbr2はBP由来の神経前駆細胞を標識することができる。最初のトリガーであるNestinに対しFlpOER(タモキシフェン誘導型Flp)を用いて、薬剤投与により任意のタイミングでのクローン標識を可能にした。当該年度では、これらマウスラインのホモラインを作成するのに長い時間を要したため、進捗状況がやや遅れた。マウスのホモライン作製を進めながら、並行してタモキシフェン投与実験の検討も始めた。タモキシフェンの打つ量と時期により、最終的なクローンサイズが変わってくるため、先行研究及び研究室のこれまでの他のマウスラインでの条件を参考に、3つの異なるステージで、3つの濃度を試した。R26Scrambleが予想通り作用すると、タモキシフェン投与後RGC由来の細胞は核赤で標識される。次にBPへ分化した場合のみ、核赤から緑に色が変わる。そして生後解析を行うと、RGCから直接産生した神経細胞は核赤、RGCからBPを介して間接産生した細胞は緑で識別できる。そこでE10-E12に時期にタモキシフェンを異なる濃度で投与し、E19で解剖、脳切片を染色した結果、適した濃度、時期の薬剤投与条件を確立した。一方で、実際の解析であるP21では、少々薬剤投与条件が変わる恐れもあり、今回決定した条件をもとに再検討をしていく。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度以降ではホモラインの樹立を目指す。並行して行ってきた、タモキシフェンの投与実験の結果を、まずは胎児の結果(E19胚)を用いて定量化を行う。実際はE19ではまだ細胞移動が終わっておらず、正確なクローン情報を得るのは難しい。そこで、脳構造がほとんど出来上がる生後21日目(P21)を本実験のサンプル採取時期とするタモキシフェン投与を行った母親は、正常分娩が難しいため、仮親を用意して帝王切開後に仮親に預ける必要がある。そのため今後の実験において、タモキシフェン投与を行いながら、仮親に預ける操作を身につけていく。
|