研究課題/領域番号 |
23K23922
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補助金の研究課題番号 |
22H02659 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44040:形態および構造関連
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
海谷 啓之 富山大学, 理学部, 客員教授 (40300975)
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研究分担者 |
今野 紀文 富山大学, 学術研究部理学系, 講師 (50507051)
坂田 一郎 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (80610831)
東 森生 自治医科大学, 医学部, 講師 (90709643)
竹見 祥大 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (70871440)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,770千円 (直接経費: 12,900千円、間接経費: 3,870千円)
2024年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
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キーワード | モチリン / モチリン受容体 / 魚類 / 両生類 / 哺乳類 / 延髄最後野 / 間腎腺 / カテコールアミン / メダカ / ネッタイツメガエル / スンクス / 局在 / 脳 / 腎臓 |
研究開始時の研究の概要 |
モチリンは上部消化管で産生され、胃腸管平滑筋の収縮を惹起するペプチドホルモンである。一方、モチリン受容体は胃以外の組織でも発現しており、モチリンは胃腸管運動亢進以外にも生理作用があることが示唆される。申請者らは、メダカにおいて、モチリン受容体遺伝子が延髄最後野と間腎腺のカテコラミン産生細胞に局在していることを見出した。そこで本研究では、魚類で発見された知見を深く追求し、さらには両生類・哺乳類においてもモチリン受容体発現部位やその局在(細胞)を同定するとともに、モチリン産生細胞からのモチリン分泌を刺激する因子の探索、脊椎動物における新たなモチリンの生理作用とモチリンの存在意義を明らかにする。
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研究実績の概要 |
モチリン(MLN)はヒトやイヌなどの哺乳類において胃収縮を引き起こす上部消化管で産生されるペプチドホルモンとして知られている。一方、モチリン受容体(MLNR)は胃以外の組織でも発現しており、MLNは胃腸管運動亢進以外にも生理作用があることが示唆される。本研究は、魚類、両生類、哺乳類におけるMLNRの発現部位と細胞種の同定、またMLN分泌を刺激する因子を探索し、それらから推察される生理作用の解析を行い、モチリン-モチリン受容体系の新規生理作用を明らかにすることを目的としている 申請者らは、これまでの魚類のメダカを用いて、MLNRmRNAが延髄最後野と間腎腺のカテコールアミン産生細胞に分布することをin situ hybridizationと免疫組織化学的手法により見出している。また、スンクスでも同様に延髄最後野の細胞においてMLNRmRNAの局在を確認した。この新知見は、モチリンの胃収縮以外の新たな生理作用を示唆する。 R5年度の研究では、魚類のメダカにおいては、延髄最後野のMLNR発現細胞の軸索が味覚や摂食行動に関与する迷走葉と嚥下に関与する領域に延伸していること、また間腎腺のMLNR発現細胞はノルアドレナリン産生細胞であることを突き止めた。両生類のネッタイツメガエルにおいて、CRISPR-Cas9法を用いてMLNノックアウト動物の作出を試み、F0個体を得ることができた。哺乳類のスンクスにおいて、MLNを空腹期やフェーズIII収縮が起きているときに投与した時の摂食行動を観察し、摂食が亢進する結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
R5年度では①モチリン分泌刺激因子の検討、②MLNR-EGFPトランスジェニックメダカを用いたモチリン作用領域の特定、③両生類のネッタイツメガエルと哺乳類のスンクスのおけるノックアウト動物の作出を目指して研究を遂行した。 ①において、メダカにおけるMLN発現細胞は同定できているが、その単離とRNAseq解析は完了していない。MLN発現細胞表面に存在する受容体を同定することで分泌促進因子を絞り込めるはずだが、作業が遅れている。 ②についてはメダカにおいてMLNR-EGFPトランスジェニックメダカをもちいた結果、および別法によって作用領域を絞り込むことができている。 ③については、スンクスを用いたGONAD法がうまくいっていない。根本的に方法を変える必要がある。ネッタイツメガエルではCRISPR-Cas9法を用いた方法でMLNRノックアウトのF0が得られている。これからF1を作出していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
R6年度は①メダカにおけるMLNの生理作用の解析、②モチリン分泌刺激因子の検討、③両生類ネッタイツメガエルのMLNノックアウト動物の作出、④哺乳類のスンクスにおけるMLNの生理作用の解析を行っていく。 ①において、メダカのMLN受容体が延髄最後野と間腎腺にあることを見出しているので、MLNの局所投与あるいは腹腔内投与によって起こる行動的、生化学的な変化を解析する。 ②についてはマイクロダイセクション法によって採取したMLN産生細胞のRNAseqを行い、主にGPCRを中心に解析結果を絞り込み、分泌刺激因子の同定を試みる。 ③については、CRISPR-Cas9法を用いた方法で得られたMLNRノックアウトのF0個体をかけあわせ、先ずはF1を作出することでMLNRノックアウトのホモ個体を作出することに注力する。 ④スンクスにおいてはMLNによる摂食・飲水・嘔吐行動、血糖値測定等を行い、胃腸管運動以外のMLNの生理作用を探索する。
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