研究課題/領域番号 |
23K23924
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補助金の研究課題番号 |
22H02661 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44050:動物生理化学、生理学および行動学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小島 大輔 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (60376530)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2025年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 光受容 / 視覚 / 体色変化 / 概日リズム / 機能成熟 / ゼブラフィッシュ / 網膜 / 錐体 / 分化 / マウス / 行動リズム |
研究開始時の研究の概要 |
動物は視覚に加え、体色変化や概日リズムなど様々な生理機能の制御にも光を利用する。これらの多彩な光受容は動物の生存戦略において重要な役割を果たすが、光受容システムが個体の発達・成長とともにどのように分化・機能成熟するのかについてはその多くが未解明のままである。本課題では、視覚と非視覚光受容における分化・機能成熟として、網膜の色受容細胞の分化、体色変化制御システムの光成熟、行動リズム成熟をもたらす光シグナル、の3点に注目してそのメカニズムを明らかにする。
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研究実績の概要 |
動物の光受容システムが個体成長と共に分化・機能成熟するメカニズムを明らかにするため、次のように研究を進めた。 ゼブラフィッシュは4種類の錐体をもつが、そのうち緑錐体の分化の決定要因は不明である。緑錐体分化の決定要因を探るため、緑以外の錐体分化をそれぞれ制御する、3種の転写因子を同時欠損する多重変異系統の作成を試みた。その結果、赤椎体と青錐体の分化制御因子を同時欠損する二重変異系統の樹立には成功したが、三重変異体は致死となることがわかった。 ゼブラフィッシュは明暗周期下で生育すると、背地適応制御の光受容システムが成熟する。この成熟をもたらすメカニズムを解明するため、背地適応制御に関わる網膜光受容細胞に注目し、特異的な遺伝子発現を誘導する動物系統構築を試みた。その結果、光受容細胞の一つ、mRGC(神経節細胞の一種)にレポーター遺伝子発現を誘導する、GAL4ドライバー系統の樹立に成功した。この系統では他の網膜神経節細胞の一部にもレポーター発現が誘導されたため、今後はさらに特異性の高い系統の樹立を目指す。 マウス網膜の光感受性神経節細胞ipRGCは概日リズムの光同調に主要な役割を果たし、成育途上の光受容により、その投射先である時計中枢の機能成熟をもたらすことが示唆されている。機能成熟のメカニズムを明らかにするため、ipRGCの新規シグナル経路の活性化が機能成熟を誘導する可能性を検証する。本年度は、この経路を活性化する人工GPCR(DREADD)を、ipRGC特異的に発現誘導するマウス系統の樹立に成功した。DREADDリガンド投与によりこのシグナル経路を一時的に活性化したところ、予想通り、行動リズムの位相シフト自体は誘導されなかった。一方、視覚が未発達な時期の新生仔マウスの行動を調べたところ、光曝露によって顕著な行動抑制が観察され、すでに光感受性を備えていることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は大きく分けると、以下の3つの研究項目からなる:(1) 色覚を担う中波長領域の錐体サブタイプの分化メカニズム、(2) 体色変化を制御する光受容システムの成熟メカニズム、(3) 行動リズムの成熟におけるipRGCの光シグナル経路の役割。研究実績の概要に記載したように、本年度は上記3項目すべてにおいて計画を進め、それぞれにおいて進展が見られた。だたし、(3)については動物飼育装置に不測の故障が生じたため、変異マウスの作製に支障をきたしたが、期間延長によって、当初の計画通りのマウス系統を作製し、解析することができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降も、当初計画に記載した研究を進めるとともに、本年度に完了していない部分についても引き続き研究をすすめる。とくに錐体分化制御因子の三重変異体が致死になることは予想外であったので、今後は別アプローチによりこの困難を回避する方策を検討したい。
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