研究課題/領域番号 |
23K23925
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補助金の研究課題番号 |
22H02662 (2022-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2022-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分44050:動物生理化学、生理学および行動学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
佐倉 緑 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (60421989)
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研究分担者 |
藍 浩之 福岡大学, 理学部, 准教授 (20330897)
岡田 龍一 神戸大学, 理学研究科, 学術研究員 (20423006)
志垣 俊介 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 助教 (50825289)
渕側 太郎 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (90802934)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2026年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2025年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | 偏光コンパス / 概日時計 / 偏光定位 / ナビゲーション |
研究開始時の研究の概要 |
昆虫は天空の偏光e-ベクトルから自らの進行方向を検出する。その際、太陽の移動にともなうe-ベクトル方向の変化が概日時計によって補償されると考えられるが、その神経機構は不明である。そこでミツバチを用い、偏光定位行動への時計の関与を行動学的・分子生物学に調べるとともに、脳の偏光情報処理経路における概日時計からの制御機構を神経生理学的に明らかにする。さらに得られた概日時計からの制御モデルを、既存の昆虫の偏光コンパスを模したニューラルネットワークモデルに組み込み、偏光コンパスナビゲーションの安定性を評価する。以上より、概日時計による脳の高次機能の制御の全容とその生理学的意義を明らかにする。
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研究実績の概要 |
昆虫は天空の偏光e-ベクトルから自らの進行方向を検出する。その際、太陽の移動にともなうe-ベクトル方向の変化が概日時計によって補償されると考えられるが、その神経機構は不明である。そこで本研究課題では、ミツバチを用いて偏光定位行動への時計の関与を行動学的・分子生物学に調べるとともに、脳の偏光情報処理経路における概日時計からの制御機構を神経生理学的に明らかにすることを目的としている。 今年度は、餌場から帰巣する個体を用いて、イソフルラン麻酔によって体内の概日時計の位相を人為的に操作した時の偏光定位行動を調べ、概日時計の行動への関与を検証した。先端に人工餌場のある採餌トンネルを野外に設置し、ミツバチがトンネルを通って人工餌場を訪問するよう訓練し、十分に学習した個体を餌場で捕獲し、一定時間暗黒下で隔離した後に、自作のフライトシミュレータに取り付け、定位する偏光のe-ベクトル方向を解析したところ、麻酔時間によって異なる効果があることがわかった。同様の麻酔処理を施した個体の脳内での時計遺伝子の発現量解析の結果と併せると、比較的長時間の位相操作を行うことで、実時刻でなく概日時計の示す時刻に従って定位方向が変化することが示唆された。 さらに、麻酔が通常の活動リズムに与える影響を評価するため、上記の行動実験と同様な麻酔処理を施した個体を用いて、恒暗条件下で隔離した際の歩行活動のモニタリングを行った。その結果、時計遺伝子の発現リズムとは異なり、実時刻に近い昼行性の活動リズムを示すことが明らかとなった。この理由については不明であり、麻酔方法や活動のモニタリング方法について、引き続き検証中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた、行動解析と時計遺伝子の発現量解析をほぼ完了することができた。行動実験については、もう少しデータ数を集めるため、次年度以降も引き続き同様な実験を行う予定である。また、次年度以降に予定している、電気生理学的実験およびモデル検証を行うための予備的な組織学的データの取得もすすんでいる。以上より、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
麻酔処理が個体の活動リズムに与える影響については、引き続き検証し、脳内の時計遺伝子の発現リズムとの整合性について調査する。 また、今年度の行動実験から偏光コンパスが概日時計の制御下にあることが示唆されたため、脳内におけるこれらの情報の統合領域を電気生理学的にさぐる。すでに、複眼の偏光検出部位であるDorsal rim areaの視細胞の光感度が、日周変動するという予備的な結果を得ており、まずはこの可能性について詳細な検討をすすめていく。これに加えて、視覚の一次中枢である視葉と偏光コンパスの高次中枢である中心複合体において、偏光感受性ニューロンからの記録法の確立と、それを用いて応答の概日性について検証する計画である。
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